劇団☆新感線を代表する伝説の舞台『髑髏城の七人』が、「LAST STAND」として新橋演舞場に登場します。
正式名称は「2026年劇団☆新感線46周年興行・冬公演 いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』」。
東京公演は2026年11月14日(土)から12月25日(金)までです。
歌舞伎ファンにとって注目したいのは、松嶋屋の片岡千之助が兵庫役で出演すること。
人間国宝・十五代目片岡仁左衛門の孫である千之助にとって、劇団☆新感線への参加は今回が初めてとなります。
ただし、ここで最初に確認しておきたいのが「いのうえ歌舞伎」という名称です。
これは歌舞伎座で上演される歌舞伎の演目とは異なります。
劇団☆新感線が、自らの時代活劇シリーズに付けている独自の呼び名です。
会場となる新橋演舞場は、歌舞伎の公演でも使われる劇場です。
ただし、今回上演されるのは劇団☆新感線の作品。
歌舞伎俳優の片岡千之助が出演するものの、「歌舞伎の公演」ではないという違いを踏まえたうえで、本作の成り立ちや配役、見どころを見ていきましょう。
『髑髏城の七人 LAST STAND』新橋演舞場公演の概要
『髑髏城の七人 LAST STAND』は、劇団☆新感線の46周年興行・冬公演として上演されます。
作を手がけるのは劇団の座付作家・中島かずき、演出は劇団☆新感線主宰のいのうえひでのりです。
東京公演の会場は新橋演舞場。
公演期間は2026年11月14日(土)~12月25日(金)で、11月からクリスマスまでの上演となります。
東京公演を終えた後は、2027年1月に長野のホクト文化ホール、2月に石川・金沢の金沢歌劇座と、大阪のフェスティバルホールを巡演する予定です。
長野・石川・大阪公演の正確な日程については、ここでは月単位での案内にとどめます。
「LAST STAND」という題名が示す通り、今回は劇団☆新感線による最後の『髑髏城の七人』本公演です。
作の中島かずきと演出のいのうえひでのりが、それぞれのコメントで最後の本公演にあたることを明言しています。
1990年の初演から演出や出演者を変えながら歩んできた作品は、今回で通算11バージョン目。
長く続いてきた『髑髏城の七人』の歴史に、一つの節目を刻む公演となります。

「いのうえ歌舞伎」とは?伝統芸能の歌舞伎との違い
「いのうえ歌舞伎」は、劇団☆新感線が1986年の『星の忍者-THE STRANGE STAR CHILD-』から銘打つようになったシリーズ名です。
神話や史実などをモチーフに、ケレン味を効かせた時代活劇を展開する作品群を指します。
つまり、「いのうえ歌舞伎」の「歌舞伎」は劇団独自の呼称です。
歌舞伎座などで上演される歌舞伎と同じものではありません。
近年の「いのうえ歌舞伎」は、ケレン味のある時代活劇という持ち味に加え、ドラマ性を重視し、人間の業を浮き彫りにする作品作りへと転化してきました。
歴史上の人物や出来事をモチーフにしながら、登場人物同士の因縁や葛藤を描くシリーズです。
演出を担ういのうえひでのりは、本名を猪上秀徳といい、1960年に福岡県で生まれました。
1980年に劇団☆新感線を結成し、1995年から演出に専念。
ハードロックやヘヴィメタルを大音量で用い、ライブコンサート並みの派手な照明を駆使する演出を特徴としています。
一方、中島かずきは劇団の座付作家です。
1987年の『阿修羅城の瞳』をはじめ、劇団を代表する作品を数多く執筆してきました。
『髑髏城の七人』も、中島の作といのうえの演出によって長年育てられてきた「いのうえ歌舞伎」の代表作です。
『髑髏城の七人』とは?1990年から続く上演の歴史
『髑髏城の七人』の初演は、1990年11月16日。
東京・池袋西口公園に設けられた特設テントで幕を開けました。
企画のきっかけとなったのは、東京国際演劇祭の共通テーマ「新東京物語」です。
これを「江戸ができた話にしよう」と曲解したことから、物語が生まれたとされています。
初演では古田新太が主人公の捨之介と敵役の天魔王を一人二役で演じました。
初演時は稽古不足のため、ラストシーンが決まらないまま初日を迎えたといいます。
その状況から偶然生まれたのが、「7人が並び立つシルエット」というラストシーンでした。
その後は、7年ごとに演出と出演者を刷新しながら再演を重ねます。
1997年版では古田新太が一人二役を続投し、アクションクラブの参加によって、捨之介と天魔王の立ち回りが本格化しました。
2004年には、同じ年の春と秋に異なる出演者・演出で上演。
古田新太主演の「アカドクロ」と、市川染五郎主演の「アオドクロ」が誕生します。
2011年の「ワカドクロ」は、小栗旬を主演に迎えた新世代版でした。
それまで一人の俳優が演じてきた捨之介と天魔王を、別々の俳優が演じる形へ変えたことも大きな特徴です。
2017年から2018年にかけては、IHIステージアラウンド東京のこけら落とし公演として「Season花・鳥・風・月」を上演。
小栗旬が主演した「花」、阿部サダヲの「鳥」、松山ケンイチの「風」、福士蒼汰と宮野真守が出演した「月」と、異なる顔ぶれによる公演が1年3か月にわたって続き、約55万人を動員しました。
さらに2018年の「修羅天魔~Season極」は、捨之介も蘭兵衛も登場しない完全新作。
天海祐希が主演を務め、古田新太演じる天魔王との愛憎劇が描かれました。
一つの決まった形を繰り返すのではなく、演出や配役、人物の構成まで変化させてきた『髑髏城の七人』。
その積み重ねの先に置かれる11番目のバージョンが、今回の「LAST STAND」です。
『髑髏城の七人 LAST STAND』のあらすじ
物語の始まりは、天正十年六月。
織田信長は腹心・明智光秀の謀反に遭い、本能寺で斃れます。
信長が抱いていた天下統一の野望も、ここで潰えることになりました。
それから8年。
かつての主君に代わって天下統一を目指す豊臣秀吉に対し、天魔王が率いる関東髑髏党は叛旗を翻します。
彼らの拠点は髑髏城です。
髑髏城の絵図面を持って逃げた沙霧を追い、鉄機兵が村を襲撃。
兵庫が率いる関八州荒武者隊が立ち向かいますが、多勢に無勢で苦戦を強いられます。
その窮地に現れたのが、捨之介と名乗る男でした。
捨之介に救われた一同は、関東一の色里・無界の里へ向かいます。
無界の里を仕切るのは無界屋蘭兵衛。
そこでは極楽太夫が歌い舞っています。
沙霧が無界の里に身を潜めていると気づく捨之介。
再び沙霧を狙う鉄機兵を蘭兵衛が斬り倒しますが、蘭兵衛は捨之介の姿を見て驚きます。
捨之介、蘭兵衛、天魔王の3人には、織田信長をめぐる因縁があったのです。
やがて天魔王の野望が明らかになり、捨之介と蘭兵衛は天魔王を倒そうとします。
しかし、天魔の鎧をまとった天魔王には歯が立ちません。
牢人・狸穴二郎衛門の助太刀で、捨之介は危機を脱します。
無界の里を守るため、豊臣秀吉よりも先に天魔王を倒すと決意する捨之介。
天魔の鎧を斬ることのできる刀を求め、刀鍛冶の贋鉄斎のもとへ向かいます。
ところが蘭兵衛は、捨之介の帰りを待とうとはしません。
ある決意を胸に、天魔王のもとへ。
信長をめぐって結ばれた3人の因縁が、髑髏城で再び動き始めます。
配役・キャスト一覧|片岡千之助は兵庫役で出演
主人公・捨之介を演じるのは早乙女太一、天魔王役は早乙女友貴。
無界屋蘭兵衛は塩野瑛久と藤岡真威人のWキャストです。
片岡千之助は、関八州荒武者隊を率いる兵庫を演じます。
歌舞伎からの出演者である千之助をはじめ、大衆演劇、宝塚、現代劇など、異なる分野で活動してきた顔ぶれがそろいました。
| 役名 | 出演 |
|---|---|
| 捨之介 | 早乙女太一 |
| 無界屋蘭兵衛 | 塩野瑛久/藤岡真威人(Wキャスト) |
| 天魔王 | 早乙女友貴 |
| 極楽太夫 | 柚香光 |
| 兵庫 | 片岡千之助 |
| 沙霧 | 桜井日奈子 |
| 青嵐の咬牙 | 近藤頌利 |
| 三五 | 河野まさと |
| 村平 | 木村了 |
| 贋鉄斎 | 浜中文一 |
| 渡京 | 粟根まこと |
| 狸穴二郎衛門 | 山口馬木也 |
桜井日奈子、近藤頌利、藤岡真威人も、今回が劇団☆新感線への初参加です。
初参加の出演者と、長く劇団作品に携わってきた俳優が同じ作品に集います。
なかでも粟根まことは、初演の1990年から渡京役を5回演じてきました。
本人が「36年間に渡って同じ役をやっているライフワーク」と語る役で、今回も渡京として出演します。
LAST STANDの見どころ|初の捨之介と異ジャンルの共演
今回の大きな注目点は、早乙女太一が初めて捨之介を演じることです。
早乙女太一は過去の『髑髏城の七人』で、無界屋蘭兵衛と天魔王を演じた経験があります。
今回は、信長をめぐる因縁で結ばれた3人の一人である捨之介として「LAST STAND」に臨みます。
早乙女太一にとって、劇団☆新感線との出会いは約22年前。
13歳のときに観た「アオドクロ」が、人生で初めて観た舞台であり、初めて観た劇団☆新感線だったとコメントしています。
いのうえひでのりは、早乙女太一に捨之介を託せると思ったきっかけとして、2023年の『天號星』を挙げました。
同作で見せた早乙女太一の成長に、確かな手応えを感じたと語っています。
その捨之介と対峙する天魔王を演じるのは、実の弟である早乙女友貴です。
兄の早乙女太一が捨之介、弟の早乙女友貴が天魔王を担う配役。
捨之介と天魔王の対立を、実の兄弟が演じます。
さらに、中島かずきがコメントで触れているのが、異なるジャンルで活動してきた出演者の共演です。
大衆演劇出身の早乙女太一・早乙女友貴、宝塚出身の柚香光、歌舞伎畑の片岡千之助が一つの舞台に立ちます。
極楽太夫役の柚香光は、自らの役を「戦う極楽太夫」と表現しています。
無界の里で歌い舞う極楽太夫が、「LAST STAND」でどのような姿を見せるのかも気になるところでしょう。
歌舞伎ファンにとっては、片岡千之助の新感線初参加も見逃せません。
千之助は2023年10月を最後に歌舞伎の舞台を離れ、青山学院大学に復学し、学業と両立する時期に入っています。
歌舞伎の舞台へ復帰する時期は発表されていません。
今回の出演は歌舞伎の舞台への復帰ではなく、映像や現代劇を中心とする活動の一環として発表されたものです。
千之助自身は、「今まで経験したことのない激しいアクションで体をいっぱい使うことを楽しみにしている」とコメント。
兵庫役として、初めて劇団☆新感線の舞台に加わります。
また、無界屋蘭兵衛を塩野瑛久と藤岡真威人がWキャストで演じる点も、今回の配役の特徴です。
捨之介、蘭兵衛、天魔王には信長をめぐる因縁があり、蘭兵衛もその3人の一人。
二人の俳優が同じ役を担います。
初演から渡京を演じてきた粟根まことが参加する一方で、片岡千之助ら新感線初参加の出演者も登場する「LAST STAND」。
36年間同じ役を演じてきた俳優と、今回劇団☆新感線に初参加する俳優が共演することも、11バージョン目ならではの顔合わせです。
新橋演舞場のチケット料金・一般発売日
新橋演舞場公演のチケットは全席指定で、料金は税込です。
席種は桟敷席、1等席、2等席、3階A席、3階B席の5種類。
未就学児は入場できません。
| 席種 | 料金(税込) |
|---|---|
| 桟敷席 | 17,000円 |
| 1等席 | 16,000円 |
| 2等席 | 12,800円 |
| 3階A席 | 9,800円 |
| 3階B席 | 3,500円 |
一般発売日は、11月公演分と12月公演分で異なります。
11月公演分は2026年9月25日(金)午前10時から、12月公演分は2026年10月25日(日)午前10時から発売予定です。
| 対象公演 | 一般発売日時 |
|---|---|
| 2026年11月公演分 | 2026年9月25日(金)10:00~ |
| 2026年12月公演分 | 2026年10月25日(日)10:00~ |
同じ新橋演舞場であっても、本公演は歌舞伎の公演ではなく、劇団☆新感線の「いのうえ歌舞伎」です。
片岡千之助の出演をきっかけに観劇を検討する場合も、この点を確認したうえで席種や観劇日を選びましょう。
よくある質問(FAQ)
- いのうえ歌舞伎とは、歌舞伎座で上演される歌舞伎の演目のことですか?
-
いいえ、歌舞伎座などで上演される伝統芸能の歌舞伎とは異なります。
劇団☆新感線が1986年の『星の忍者-THE STRANGE STAR CHILD-』から使っている、神話や史実をモチーフにした時代活劇シリーズの呼び名です。 - 『髑髏城の七人 LAST STAND』は今回で何回目の上演ですか?
-
1990年の初演から数えて、今回で通算11バージョン目です。
7年ごとに演出やキャストを刷新しながら再演を重ねてきました。 - 「LAST STAND」というタイトルにはどんな意味がありますか?
-
作の中島かずきと演出のいのうえひでのりが、劇団☆新感線としては最後となる『髑髏城の七人』本公演にあたることをコメントで明言しています。
タイトルには、その思いが込められています。 - 片岡千之助はなぜ歌舞伎ではなく劇団☆新感線の舞台に出演するのですか?
-
片岡千之助は2023年10月を最後に歌舞伎の舞台を離れ、青山学院大学に復学して学業と両立する時期に入っています。
今回の出演は歌舞伎への復帰ではなく、映像・現代劇を中心とする活動の一環として発表されたものです。
歌舞伎の舞台への復帰時期は発表されていません。 - 東京・新橋演舞場以外でも上演されますか?
-
東京公演の終了後、2027年1月に長野のホクト文化ホール、2月に石川・金沢の金沢歌劇座、大阪のフェスティバルホールを巡演する予定です。
正確な日程は各劇場の発表を確認してください。 - 新橋演舞場公演のチケットはいつから発売されますか?
-
一般発売は、11月公演分が2026年9月25日(金)午前10時から、12月公演分が2026年10月25日(日)午前10時からです。
チケットホン松竹や主要プレイガイドで取り扱われます。
歌舞伎が初めての方へ
歌舞伎自体が初めてだと「どう観ればいいの?」と迷うこともあるかもしれません。
歌舞伎には独特の約束ごとや表現がありますが、基本を少し知っておくだけで、面白さがぐっと伝わりやすくなります。
歌舞伎とは?初心者向けにわかりやすく解説

まとめ
劇団☆新感線を代表する伝説の舞台『髑髏城の七人』は、1990年の初演から36年、7年ごとに演出とキャストを刷新しながら再演を重ねてきました。
今回の「LAST STAND」は、作の中島かずきと演出のいのうえひでのりが最後の本公演と位置づける、通算11バージョン目にあたります。
主人公・捨之介には早乙女太一、天魔王には実の弟・早乙女友貴、そして歌舞伎からは片岡千之助が兵庫役で参加するなど、異なるジャンルの俳優が一堂に会する舞台です。
新橋演舞場での東京公演は、2026年11月14日から12月25日まで。
「いのうえ歌舞伎」と伝統芸能の歌舞伎の違いを押さえたうえで、片岡千之助の新たな一面を楽しめる貴重な機会といえるでしょう。


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