坂東玉三郎お正月お年玉-お話とシネマのひととき-へ行ってきました。

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南座で『坂東玉三郎お正月お年玉-お話とシネマのひととき-』を観てきました。
今日のゲストは、笑福亭鶴瓶さん、日替りシネマは『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』
シネマ歌舞伎が『かごつるべ』なので何かかけてるのか勘ぐってしまいましたが、特に関係なさそうでした。

目次

玉三郎さんと鶴瓶さんのお話

おふたりとも中村勘三郎さんと仲が良かったそうで勘三郎さんとの思い出話がたくさん聞けて大満足でした。

名刀「籠釣瓶」で八ツ橋を斬る場面。
多くの役者は、斬ったあとも「籠釣瓶は、よく切れるなぁ……」と刀に視線を向け続けたまま幕となります。

しかし、勘三郎さんは違いました。

次郎左衛門は「八ツ橋を自分だけのものにしたい」という思いで斬る。そして「籠釣瓶は、よく切れるなぁ……」とつぶやいたあと、落とす視線の先は刀ではなく、
“自分だけのものになった八ツ橋”を見る目線なのだと。

そう演じていいか、と事前に確認していた——
そんなエピソードを語られていました。

シネマ歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』

今回上映されたのは坂東玉三郎・中村勘三郎・片岡仁左衛門による『籠釣瓶花街酔醒』
以前さよなら歌舞伎座のDVDでも観たことがあったので2度目の観劇。

2010年2月 
建て替え前の歌舞伎座に別れを告げる「さよなら歌舞伎座」公演。
その舞台で上演されたものとほぼ同じだったかと思います。

『籠釣瓶花街酔醒』のあらすじ

『籠釣瓶花街酔醒』は、江戸時代の吉原で実際に起きた事件をもとにした歌舞伎の名作です。
1888年(明治21年)に初演され、今もなお人気の高い演目として上演されています。

物語の舞台は、江戸随一の遊郭・吉原
佐野の絹商人 佐野次郎左衛門 (中村勘三郎)が江戸土産を求めて吉原を訪れ、
吉原一の花魁・八ツ橋(坂東玉三郎)の美しさに一目惚れします。

次郎左衛門はやがて八ツ橋の上客となり、身請けを決意しますが、
八ツ橋には浪人 繁山栄之丞(片岡仁左衛門) という想い人がいました。
さらに、八ツ橋の養父・釣鐘権八の身勝手な行動が原因で、
身請け話が栄之丞の耳に入ってしまいます。

板挟みになった八ツ橋は、やむを得ず次郎左衛門に愛想尽かしをします。
深く傷ついた次郎左衛門は一度は吉原を去りますが、
やがて名刀 「籠釣瓶」を手に、再び八ツ橋のもとへ――。

籠釣瓶花街酔醒のあらすじ詳細

吉原仲之町見染の場

佐野の絹商人 佐野次郎左衛門(中村勘三郎) は、江戸に絹を売りに来たついでに、
下男の 冶六 (中村勘九郎)を連れて、物珍しさから吉原見物に来ました。

いかにも田舎者といった感じの二人は、吉原の客引きに騙されそうになりますが、
立花屋の主人 長兵衛 に助けられ、
「今日はやめておいたほうがいい」と諭されて、今日のところは宿に帰ることにします。

田舎ものと江戸とは着物の感じが違うんですよね

劇中の次郎左衛門の顔の丸い跡は、疱瘡(天然痘)の後遺症によるあばたでございます

宿へ戻ろうとしたそのとき、二人は
遊女、九重(中村魁春)七越(中村七之助)たちの 花魁道中に出くわします。
その中でもひときわ絢爛豪華な装いで歩く八ツ橋(坂東玉三郎)の姿に、次郎左衛門は思わず立ち尽くし、
八ツ橋はひとえみし花道から引っ込みます

花魁が高下駄で外八文字(そとはちもんじ)で歩くのは、昔は砂利道でしたので転ばないように砂利を避けるために外八文字で歩いたんだとか。

次郎兵衛はこのひとえみに完全に心を奪われてしまいます

完全に心を鷲掴みされてました!

立花家見世先の場

吉原の引手茶屋・立花屋では、奉公人たちが佐野次郎左衛門の噂話をしています。
聞けば、次郎左衛門は花魁 八ツ橋 のもとへ通い詰め、近く身請けがまとまるというのです。

そこへ、八ツ橋の養父 釣鐘権八(坂東彌十郎) が現れ、

立花屋の主人 長兵衛 に金を無心します。
しかし度重なる無心に長兵衛はこれを拒否します。
腹を立てた権八は、
「この返報、覚えていろ!」
と捨て台詞を残し、悪巧みを思いついたように去っていきます。

そうこうしてると次郎左衛門と絹商人仲間一行が立花屋へ到着します。

すっかり吉原にも手慣れた次郎左衛門
金離れがよく、人当たりも穏やかで気性も優しいため、店の者たちからも大歓迎されています。
八ツ橋と親しげに並ぶ姿を連れの商売仲間に見せつけ、どこか誇らしげに、上機嫌なひとときを過ごしています。

この場でわかりにくい言葉は
緡売り(さしうり)=押し売り
まっぴらごめんくださいやし=平にご容赦くださいませ
なんですって!

ここでは廻り舞台を使って場面転換します

大音寺前浪宅の場

繁山栄之丞の下女と八ツ橋からの届け物の着物を持ってきた女が二人で

『苦界の楽しみというのはこうまで実を尽くすものかねえ(廓務めでのたのしみはこうまで献身的)』

などと世間話をしています。

花道から繁山栄之丞(片岡仁左衛門)がさっそうと現れると、先ほどの権八が声をかけます。

金を借りられなかった権八は、腹いせに八ツ橋の間夫(まぶ=恋人)である浪人 繁山栄之丞のもとを訪れ、
次郎左衛門による身請け話をぶち壊そうと、あることないこと吹き込みます。

話を聞いた栄之丞は激しく立腹し、権八とともに八ツ橋のもとへ向かいます

栄之丞もまんざら話が通じないわけでもなさそうですが、権八がかき回します。

兵庫屋二階遣手部屋の場

次郎左衛門は商売仲間二人を連れて遣手部屋で、座敷の用意を待っていると

栄之丞は権八とともに現れると遣手部屋へ行こうとしますが店のものが大慌てで六番座敷に一旦通します。

座敷の用意が整い呼ばれますが
次郎左衛門はちらっと見えた栄之丞が色男過ぎて、八ツ橋になにか関係ある客かなにかと気になり、六番座敷に行こうとします、すると
『廊下鳶(ろうかとんび)はいけませんよ』と女将のおきつにたしなめられ座敷へ向かいます。

遣手部屋(やりてべや)とは、遣手という監視役の女性がおり、客や女郎の行動に常に目を光らせていたそう。

廊下鳶とは廊下をあちこち歩き回って様子を伺うことです。

廻り舞台を使って兵庫屋二階廻し部屋の場へ。

兵庫屋二階廻し部屋の場

外で権八が聞き耳を立てる中
栄之丞が『よくも儂を振り捨てて身請けをされて出る気になったな!』と問い詰めます。

なんとか取り繕おうとする八つ橋ですが、栄之丞は次郎左衛門という相手のことも調べがついてる

『早く起請を返してくれ!』と迫ります

起請(文)とは、心変わりをしないことを神仏に誓うもののことです。今でいう婚約破棄みたいな感じです。

栄之丞の方こそ他の女ができたんじゃないかと誤魔化そうとするところに権八が証人として出てきて責め立てられ誤解だと言い張ると

二人して次郎左衛門に愛想尽かしをするよう迫ります

愛想尽かしとは縁を切ること。
歌舞伎では、心ならずも縁を切らなくてはいけない場面

廻し部屋(まわしべや)とは見習い遊女の共用の大部屋のことをいいます
花魁ともなると個室を持っていたそうです。

廻り舞台で兵庫屋八ツ橋縁切りの場へ。

兵庫屋八ツ橋縁切りの場

芸者や幇間(ほうかん)を交え、にぎやかな酒宴を開いています。

そこへ遅れて現れた八ツ橋は、満座の中で突然

「わちきは身請けされるのはもともと嫌でありんすから、お断り申しますよ。
どうぞ、この後わちきのところへ遊びに来てくださんすな」
と冷たく言い放ち、愛想尽かしをします

突然の仕打ちに、次郎左衛門は

「花魁、そりゃあ、あんまり、そでなかろうぜ」

と名台詞を返します

外にいる栄之丞に次郎左衛門に気づくと

「わちきの間夫でありんす」と聞くと次郎左衛門は身請けを思いとどまり、


八ツ橋はそのまま部屋を立ち去り、
商売仲間たちも次郎左衛門を嘲笑して去ってしまいます。

すべてを失った次郎左衛門は、
長兵衛とその女房に向かって、「振られて帰る果報者とは、わしらのことでござろうよ」
と寂しげにつぶやき、
故郷・佐野へと帰っていくのでした。

次郎左衛門の前を通るときの八ツ橋の表情がたまりません!

次郎左衛門の事によったらという、復讐を予想させる台詞が耳に残ります。

立花屋二階の場

年の暮れ、引手茶屋・立花屋では、次郎左衛門が現れ、
八ツ橋に会いに来ます。

申し訳なさ気な八ツ橋をおたつどんが連れてきます

やがて八ツ橋は、次郎左衛門のもとへ姿を現し以前の不義理を詫びます。
次郎左衛門は、これまでと変わらぬ丁寧な態度で、
「過ぎたことは忘れ、また初会として遊びたい」
と穏やかに語り、周囲も和やかな空気に包まれます。

次郎左衛門が
「八ツ橋と二人きりで話したい」
と言うと、皆は席を外します。

しかし二人きりになった途端、
次郎左衛門は突然、怒りを爆発させ

「よくも先頃、次郎左衛門におのれは恥をかかせたな!」

と叫び、名刀 「籠釣瓶」 を抜き、
逃げる八ツ橋を斬り殺してしまいます。

狂気に陥った次郎左衛門は、
刀を燭台の灯に透かし、

「はて、籠釣瓶はよく切れるなあ」

と不気味に笑い、倒れている八ツ橋に目をやるのでした。

実は一段目から四段目までと七段目、八段目のはじめと大門・物取りの場はほぼ上演されません。
そのあたりの詳しいあらすじ、人物紹介も含めて知りたい方はこちらをご覧ください。

一度全段通しで上演してほしいですね!

籠釣瓶花街酔醒を観て

当たり役など

当たり役
中村勘三郎

見どころ

まずはここ!華やかな花魁道中

豪華な衣裳とゆっくりした歩き方で登場する八ツ橋は、まさに“歌舞伎らしさ”の象徴です。

愛想尽かしと心に残る名セリフ!

愛想尽かしをせざるを得なくなった八ツ橋の心情、そしてあの名セリフ「そりゃあんまり袖なかろうぜ」
突然冷たくされてしまった次郎左衛門の、戸惑いと悲しさ。

クライマックスの本心

次郎左衛門が突然、怒りを爆発させ、逃げる八ツ橋を斬り殺すシーンのスピード感と狂気がたまりません

鑑賞レーティング

総合満足度 ★★★★★★★★★★
初心者おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
見どころの密度 ★★★★★★★☆☆☆
心に残る度 ★★★★★★☆☆☆☆
再観たい度 ★★★★★★★★★☆

※評価は個人の好み(舞踊好き/義太夫好き)が反映されています

かぶしげオススメの席の選び方

舞台全体を観るなら中央7~9列目あたりいわゆる『とちり席』2階最前列『天覧席』

花道そばも◎

ちょこちょこ花道も使われるのでご贔屓の役者さんがいらっしゃれば『花道脇』『どぶ席』もオススメ
花魁道中では八ツ橋、九重の出、八ツ橋の引っ込み
次郎左衛門、治六、権八、栄之丞も多少使います。

まとめ

ほぼ籠釣瓶の感想になってしまいましたが、玉三郎さんのお話があればこその発見もありましたので、歌舞伎だけじゃなくこういったトーク企画も積極的に観てみたいものです。

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