2023年9月28日、東京・千代田区の国立劇場大劇場で「第39回俳優祭」が開催されました。
公演に掲げられたのは、「初代国立劇場さよなら記念」という名称。
同年秋に一時閉場する初代国立劇場への感謝を込め、舞台、映像、模擬店、展示、ゲームコーナーなどが用意された一日でした。
日本俳優協会の公式記録によると、俳優祭が開かれたのは7年ぶりでした。
そして2026年には、第40回俳優祭が歌舞伎座で開催されることになっています。
歌舞伎座での俳優祭としては、2017年の第38回以来、9年ぶりの開催です。
第39回は、初代国立劇場が同年秋に一時閉場することになっていたため、「さよなら記念」として国立劇場で開催されました。
本記事では、初代国立劇場への感謝を込めて行われた第39回俳優祭について、当時発表された演目や出演者、館内企画、チケット情報を記録として振り返ります。主催である日本俳優協会公式サイトの第39回俳優祭アーカイブページも、あわせてご確認ください。

俳優祭とは?第39回が「さよなら記念」となった背景
昭和32年から続く日本俳優協会の催し
俳優祭は、歌舞伎俳優・新派俳優を中心とする公益社団法人日本俳優協会が主催する催しです。
その歴史は、昭和32(1957)年に始まりました。
俳優祭の沿革や伝統的なプログラム、歴代の伝説的な新作については、俳優祭とは?歴史・目的から天地会、模擬店、伝説の新作まで徹底解説でまとめて解説しています。
通常の歌舞伎公演とは異なり、俳優が企画した芝居に加え、模擬店や展示、観客参加型のコーナーなどが組み込まれる催しです。
第39回でも、舞台に加え、劇場2階の画廊や1階・3階のゲームコーナーなど、館内各所で複数の企画が用意されました。
舞台プログラムと館内企画を組み合わせた構成でした。
前回の第38回は、平成29(2017)年に歌舞伎座で開催されていました。
第39回は、日本俳優協会の公式記録で「七年ぶりの開催」とされています。
昼の部と夜の部が設けられ、同じ日に二部制で行われました。
初代国立劇場との別れを記念した第39回
第39回には、「初代国立劇場さよなら記念」という名称が添えられました。
会場となった初代国立劇場が、2023年秋に一時閉場することになっていたためです。
開催には、コロナ禍のなかで歌舞伎を応援し、支えてきたファンへの感謝も込められていました。
あわせて、初代国立劇場への感謝を込めた催しとして実施された第39回。
7年ぶりとなる俳優祭と、初代国立劇場の一時閉場を前にした時期が重なる開催でした。
初代国立劇場の一時閉場後に歌舞伎公演が行われる会場については、新国立劇場とは?国立劇場休館中の歌舞伎公演会場を解説でも紹介しています。
「国立劇場」と「新国立劇場」の違いを整理したい場合は、そちらも参考にしてください。
第39回俳優祭の開催概要
第39回俳優祭は昼夜二部制で行われ、上演演目そのものは昼夜同一でした。
ただし、『戯場八景名残隼』では出演者の一部が昼の部と夜の部で異なっていました。
開催当日の基本情報は、次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名 | 第39回俳優祭「初代国立劇場さよなら記念」 |
| 開催日 | 2023年9月28日(木) |
| 会場 | 国立劇場大劇場 |
| 所在地 | 東京都千代田区隼町4-1 |
| 主催 | 公益社団法人日本俳優協会 |
| 開演時間 | 昼の部12時/夜の部17時 |
| 上演形態 | 昼夜二部制(上演演目は昼夜同一、一部の出演者は異なる) |
| 開催間隔 | 7年ぶり(日本俳優協会の公式記録による) |
舞台プログラムには、伝統歌舞伎保存会研修発表演目『菅原伝授手習鑑』、映像で振り返る「初代国立劇場の思い出」、『戯場八景名残隼』が組まれました。
その間には、お楽しみ模擬店をはじめとする館内企画も設置。
演目の上演と映像上映、館内での催しが同日のプログラムに含まれていました。
また、夜の部では日本俳優協会賞の授賞式も行われ、奨励賞に京純・咲十郎、日本俳優協会賞に國矢が選ばれ、中村梅玉が授与を務めました。
歌舞伎の演目だけでなく、俳優が企画・構成に携わった催しを複数の形で紹介する内容でした。
舞台では研修発表演目と『戯場八景名残隼』を上演し、映像企画では初代国立劇場を回顧。
さらに、模擬店、展示販売、ゲームコーナーも行われました。
演目・出演者と館内企画を振り返る
伝統歌舞伎保存会研修発表演目『菅原伝授手習鑑』
最初の舞台プログラムは、伝統歌舞伎保存会研修発表演目『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』でした。
尾上松緑が企画・構成を担当し、「加茂堤の場」と「吉田社頭車引の場」が上演されました。
「加茂堤の場」で発表された主な配役は、以下の通りです。
| 役名 | 出演者 |
|---|---|
| 舎人桜丸 | 市川團子 |
| 桜丸女房八重 | 片岡千之助 |
| 齊世親王 | 中村玉太郎 |
| 三善清行 | 中村吉之丞 |
| 苅屋姫 | 中村莟玉 |
このほかの出演者も加わり、「加茂堤の場」が披露されました。
続いて上演された「吉田社頭車引の場」の主な配役はこちらです。
| 役名 | 出演者 |
|---|---|
| 舎人梅王丸 | 中村鷹之資 |
| 舎人松王丸 | 市川染五郎 |
| 舎人桜丸 | 尾上左近 |
| 舎人杉王丸 | 市川福太郎 |
| 金棒引藤内 | 市川福之助 |
| 藤原時平公 | 尾上松緑 |
企画・構成を担った尾上松緑は、藤原時平公として舞台にも出演しました。
市川染五郎、中村鷹之資、尾上左近らも配役に名を連ねた研修発表演目。
二つの場が一つ目の舞台プログラムとして上演されました。
お楽しみ模擬店・画廊・ゲームコーナー
第39回俳優祭では、舞台プログラムに加えて、館内にもお楽しみ企画が用意されました。
お楽しみ模擬店の企画・構成は、中村又五郎と坂東彦三郎が担当。
国立劇場の食堂・ロビー・売店など館内各所で、俳優が店主となってお客様と交流する趣向でした。
公式グッズには市川染五郎・中村種之助・尾上右近が描いたイラストが使われ、そのほか押隈や直筆色紙を扱う「画廊」も設けられました。
模擬店で扱われた商品の価格帯は、企画・構成を担当した坂東彦三郎の公式ブログでも紹介されています。
物販では金券1,000円、プログラム2,000円、Tシャツ4,000円、トートバッグ3,000円、クリアファイル1,000円など。
飲食では日本酒2,000〜6,000円、クラフトビール900〜1,000円、唐揚げや焼きそば・焼き鳥などが800円前後、大福やクリームパンなどの菓子が300〜400円、飲料が200円という価格帯でした。
画廊での押隈は手付金1万円からの入札形式、色紙は1万〜3万円という価格帯。
福引も設けられており、開場は開演の30分前、入場後はまず金券とプログラムを購入するよう案内されていました。
劇場2階の画廊で行われたのは、押隈と色紙の展示販売です。
さらに劇場1階と3階には、俳優と一緒に楽しむゲームコーナーも設けられました。
企画ごとに実施場所や内容が分かれていた形です。
館内企画として確認できるのは、グッズを扱うお楽しみ模擬店、2階画廊での押隈と色紙の展示販売、1階・3階のゲームコーナーでした。
舞台での上演とは別に、こうした複数の催しが同日に行われました。
映像で振り返る「初代国立劇場の思い出」
映像プログラムとして用意されたのは、映像で振り返る「初代国立劇場の思い出」でした。
企画・構成は尾上菊之助が担当しています。
「初代国立劇場さよなら記念」と銘打たれた第39回で、国立劇場の思い出を映像によって振り返る企画でした。
芝居や館内イベントとともに、当日のプログラムを構成した企画の一つです。
映像上映という形でも、初代国立劇場を振り返る企画が用意されました。
初代国立劇場の一時閉場を前に開催された第39回において、舞台演目とは異なる形式で組み込まれた回顧企画でした。
『戯場八景名残隼』の配役
もう一つの舞台演目は、『戯場八景名残隼(ゆめのくにへようこそありがとうこくりつ)』でした。
松本幸四郎が企画・構成を担当しています。
演目名は「戯場八景名残隼」と表記され、読みは「ゆめのくにへようこそありがとうこくりつ」。
その読み方には、「ありがとうこくりつ」という言葉が含まれていました。
発表当時の告知では主な出演者が五十音順で案内されていましたが、日本俳優協会公式サイトのアーカイブには、役名を含めた配役が公開されています。
市川團十郎白猿は昼の部のみ、片岡愛之助は夜の部のみに出演。
上演演目そのものは昼夜同一でしたが、この演目では出演者の一部が昼夜で異なっていました。
配役は次の通りです。
| 役名 | 出演者 |
|---|---|
| 軽業 曲屁高麗吉 | 松本幸四郎 |
| 山伏 法螺尾福童 | 中村獅童 |
| 歯技師 辺田奈四海 | 坂東巳之助 |
| 医者 山井直仙 | 坂東新悟 |
| 三途の川の婆 | 中村勘九郎 |
| 北条時政 | 坂東彌十郎 |
| 滝の白糸 | 水谷八重子 |
| メイド ハリー | 中村米吉 |
| メイド ヨミ | 澤村宗之助 |
| メイド アビー | 中村鶴松 |
| メイド ヒーガン | 上村吉太朗 |
| メイド メーカー | 河合雪之丞 |
| 閻魔(昼の部) | 市川團十郎白猿 |
| 閻魔(夜の部) | 片岡愛之助 |
| 閻魔の奥さん | 中村児太郎 |
| 五官王 | 中村福之助 |
| 五道冥官 | 中村虎之介 |
| 三冠王 | 中村歌之助 |
| 閻魔の妾 | 中村七之助 |
| 弁天小僧 | 中村萬太郎 |
| 碇知盛 | 中村橋之助 |
| 林冲 | 市川猿弥 |
| 晁蓋 | 市川笑三郎 |
| お夜叉 | 市川寿猿 |
| 王英 | 中村壱太郎 |
| 姫虎 | 市川中車 |
| 青華 | 市川青虎 |
| 魯智深 | 市川笑也 |
| 李逵 | 市川門之助 |
| 花四天 | 中村鴈治郎、中村扇雀、中村芝翫、中村錦之助 |
| 鬼 | 市川段一郎、中村橋光、中村光、市川喜介、中村芝桜、市川瀧昇 |
歌舞伎俳優に加えて、新派の水谷八重子も滝の白糸役で出演。
閻魔役は昼夜で異なり、昼の部を市川團十郎白猿、夜の部を片岡愛之助が勤めました。
夜の部に出演した片岡愛之助について詳しく知りたい方は、片岡愛之助(六代目)プロフィール完全解説も参考にしてください。
チケット料金と販売方法|当時の記録
第39回俳優祭はすでに終了したイベントです。
ここでは当時の開催記録としてチケット情報をまとめており、現在販売中のチケットに関する案内ではありません。
当時の席種と料金
| 席種 | 料金(税込) |
|---|---|
| 1等席 | 20,000円 |
| 2等席 | 16,000円 |
| 3等席 | 8,000円 |
チケットは2023年9月7日(木)12時から発売されました。
当時の取り扱い先は、チケットホン松竹とチケットWeb松竹。
1回の操作または電話につき、合計2枚までという購入枚数の制限が設けられていました。
チケットホン松竹の当時の案内電話番号は03-6745-0111で、当時の受付時間は10時から17時まででした。
発売初日に限り、正午からの受け付け。
電話とウェブのいずれについても、告知された発売日時に基づく当時の案内です。
窓口販売・引き取りに関する注意事項
劇場窓口での販売と引き取りは、2023年9月9日(土)10時から始まりました。
当時対応していた窓口は、歌舞伎座、新橋演舞場、南座、大阪松竹座です。
発売開始日と窓口での取り扱い開始日は異なっていました。
- あぜくら会でのチケット販売はありませんでした。
- 国立劇場窓口でのチケット販売も行われませんでした。
- 窓口販売用に別枠の座席が取り置かれることはありませんでした。
- 国立劇場でチケットを引き取ることはできませんでした。
- 当日券の販売はありませんでした。
会場は国立劇場でしたが、国立劇場の窓口では販売も引き取りも行われませんでした。
また、窓口販売用の座席が別に確保されることはなく、当日券も販売されないという案内でした。
問い合わせ先として当時案内されていたのは、公益社団法人日本俳優協会です。
当時の案内電話番号は03-3543-0941で、問い合わせの受付時間は当時10時から18時まででした。
いずれも第39回開催時点の情報であり、現在の受付先や受付時間を示すものではありません。
第39回から2026年の第40回俳優祭へ
開催の流れを整理すると、第38回俳優祭は2017年に歌舞伎座で行われ、第39回はその7年後にあたる2023年、初代国立劇場で開催されました。
その後、2026年には第40回が歌舞伎座で開催されることになっています。
俳優祭としては、第39回から第40回まで3年。
歌舞伎座を会場とする俳優祭に限れば、2017年の第38回以来、9年ぶりとなります。
その間に位置する第39回は、閉場を控えた初代国立劇場で「初代国立劇場さよなら記念」として行われました。
第39回では、初代国立劇場の思い出を振り返る映像が上映され、館内各所にも企画が用意されました。
公演名にも「初代国立劇場さよなら記念」と掲げられ、同劇場への感謝を込めて開催された俳優祭でした。
2026年の第40回については、以下の記事で詳しく紹介しています。
第39回と第40回では開催年と会場が異なるため、それぞれの情報を分けて確認してください。

第39回俳優祭についてのよくある質問(FAQ)
- 第39回俳優祭はいつ、どこで開催されましたか?
-
2023年9月28日(木)、東京都千代田区隼町4-1の国立劇場大劇場で開催されました。
昼の部は12時、夜の部は17時に開演。
上演演目そのものは昼夜同一でしたが、『戯場八景名残隼』では一部の出演者が昼夜で異なっていました。 - なぜ「初代国立劇場さよなら記念」と呼ばれたのですか?
-
会場となった初代国立劇場が、2023年秋に一時閉場することになっていたためです。
初代国立劇場への感謝を込め、「初代国立劇場さよなら記念」と銘打って開催されました。
また、コロナ禍のなかで歌舞伎を応援し、支えてきたファンへの感謝も開催趣旨に込められていました。 - 第39回と2026年の第40回俳優祭は何が違いますか?
-
確認できる大きな違いは、開催年と会場です。
第39回は2023年に初代国立劇場で開催され、第40回は2026年に歌舞伎座で開催されることになっています。
歌舞伎座での俳優祭は、第38回が行われた2017年以来、9年ぶりです。 - 『戯場八景名残隼』にはどんな俳優が出演しましたか?
-
企画・構成は松本幸四郎で、軽業役として自身も出演。
閻魔役は昼夜で異なり、昼の部を市川團十郎白猿、夜の部を片岡愛之助が勤めました。
このほか中村勘九郎、中村七之助、中村獅童、中村鴈治郎、中村芝翫、中村扇雀、坂東巳之助、坂東彌十郎、水谷八重子ら、日本俳優協会公式サイトのアーカイブで確認できる配役に多数の俳優が名を連ねました。 - 第39回俳優祭では舞台以外に何が行われましたか?
-
公式グッズや俳優のイラスト入りグッズを扱うお楽しみ模擬店が行われました。
劇場2階の画廊では押隈と色紙の展示販売、劇場1階と3階では俳優と楽しむゲームコーナーを実施。
さらに、初代国立劇場の思い出を映像で振り返る企画も上映されました。
歌舞伎が初めての方へ
歌舞伎自体が初めてだと「どう観ればいいの?」と迷うこともあるかもしれません。
歌舞伎には独特の約束ごとや表現がありますが、基本を少し知っておくだけで、面白さがぐっと伝わりやすくなります。
歌舞伎とは?初心者向けにわかりやすく解説

まとめ|初代国立劇場への感謝を込めた俳優祭
第39回俳優祭は、2023年9月28日に国立劇場大劇場で開催された、7年ぶりの俳優祭でした。
「初代国立劇場さよなら記念」の名のもとに、『菅原伝授手習鑑』、映像で振り返る「初代国立劇場の思い出」、『戯場八景名残隼』を実施。
館内では、模擬店、展示販売、ゲームコーナーも行われました。
歌舞伎座で開催された2017年の第38回と、同じく歌舞伎座で開催される2026年の第40回。
その間に行われた第39回は、2023年秋に一時閉場する初代国立劇場への感謝を込め、「さよなら記念」として開催された催しでした。
俳優が企画・構成に携わった舞台、初代国立劇場を振り返る映像、館内各所での催しが用意された第39回。
開催日や会場、演目、出演者、チケット販売方法を含め、以上が当時発表された内容の記録です。
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