『五條橋』ってどんな歌舞伎?
『五條橋』は、時代物の大作
鬼一法眼三略巻
五段構成のうち、第五段目にあたる一幕です。
平家全盛の世にあって、源氏再興を願う人々の思いを描く本作。
その物語の終盤に位置するのが、牛若丸と弁慶の出会いを描く「五條橋」です。
上演時間はどれくらい?
『五條橋』の上演時間は、
30分〜1時間弱が目安です。
上演形態(通し上演か、舞踊としての上演か)や配役によって多少前後します
『五條橋』のあらすじ
牛若丸は、源氏再興のために力となる者を探そうと、夜な夜な五条橋に姿を現します。
その姿はいつしか「五条橋に曲者が出る」という噂となり、荒法師・弁慶の耳にも届きます。
「その者を捕らえて従えよう」
そう考えた弁慶は、大薙刀を担いで五条橋へ向かいます。
橋の上に薄衣をまとった人影を見つけた弁慶は、最初は女人と思い、道を譲ろうとします。
しかし、それこそが牛若丸。
弁慶の腕前を試そうと、いたずらを仕掛けます。
これぞ曲者と悟った弁慶は応戦しますが、牛若丸はひらひらと橋の欄干を舞うように飛び回り、まったく捕まりません。
ついには小太刀で大薙刀を打ち落とされ、弁慶は完敗します。
恐れ入った弁慶が名を問えば、その少年こそ後の源義経――牛若丸。
こうして二人は主従の契りを結び、のちに語り継がれる名コンビとなるのでした。
五條橋の登場人物
牛若丸(うしわかまる)
のちの源義経。
源氏再興を胸に秘める若武者。
女人と見まごう美しさと、橋の欄干を自在に飛び回る俊敏さをあわせ持つ。
弁慶の腕を試すため、あえて勝負を仕掛ける。
武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)
怪力無双の荒法師。
五条橋に現れる“曲者”を捕らえ、家来にしようとする。
大薙刀を武器に立ちはだかるが、牛若丸の機敏さに翻弄され、ついに敗北。
その器量に心服し、主従の契りを結ぶ。
五條橋のみどころ
からかうようなしぐさの牛若丸と、弁慶の豪快な立廻り
『五條橋』最大の見せ場は、二人の立廻りです。
牛若丸は、まるで遊ぶかのように弁慶を翻弄します。
ひらりと身をかわし、橋の欄干を軽やかに飛び移り、時に挑発するようなしぐさまで見せる――その姿は余裕と美しさに満ちています。
一方の弁慶は、怪力を誇る荒法師。
大薙刀を振るい、力強く豪快に攻め立てますが、俊敏な牛若丸を捉えきれません。
この
- 「軽」対「重」
- 「静」対「動」
- 「遊び」対「本気」
という鮮やかな対比が、舞台を一気に盛り上げます。
そして最後、小太刀で大薙刀を打ち落とす瞬間。
からかうように舞っていた少年が、真の強さを見せるのです――
『五條橋』の舞台
歌舞伎や能の演目『五條橋』の舞台となっているのは、京都市東山区と下京区にまたがる五条大橋です。
牛若丸と弁慶が出会った場所として広く知られ、現在の五条大橋西詰北側には、二人の名場面を再現した「牛若丸・弁慶像」が設置されています。
橋の上で繰り広げられた伝説の一戦。
その物語は、時代を超えて語り継がれ、今も京都の風景の中に息づいています。




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