2026年8月、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第二部で、貴重な演目『百千鳥沖津白浪(ももちどりおきつしらなみ)』が上演されます。
本興行での上演はなんと1964年以来62年ぶり。
今回、主人公である女盗賊・鬼神のお松を演じるのは、中村七之助。
七之助にとって初役となる悪婆(あくば)役への挑戦に、歌舞伎ファンから大きな注目が集まっています。
この記事では、『百千鳥沖津白浪』のあらすじ、登場人物、鬼神のお松という人物、見どころ、2026年公演情報まで詳しく解説します。
百千鳥沖津白浪とはどんな演目?
『百千鳥沖津白浪(ももちどりおきつしらなみ)』は、女盗賊・鬼神のお松を主人公とした歌舞伎作品です。
ジャンルとしては「白浪物(しらなみもの)」に分類されます。
白浪物とは、盗賊や侠客(きょうかく)、無頼の者たちを主人公にした歌舞伎の人気ジャンルです。
代表的な特徴は、
- 颯爽とした盗賊の姿
- 豪快な啖呵(たんか)
- 鮮やかな立ち回り
- 決めの見得
など。
悪事を働く人物でありながら、義理や人情、独自の美学を持つキャラクターとして描かれるところが魅力です。
『百千鳥沖津白浪』の中心人物である鬼神のお松も、単なる悪役ではなく、強さと哀しさを併せ持った人気キャラクターです。
鬼神のお松とはどんな人物?
鬼神のお松は、石川五右衛門・自来也と並び、歌舞伎や読本の世界で語られてきた「日本三大盗賊」のひとりとされる女性です。
江戸時代中期に実在した人物がモデルとされ、夫の仇討ちをきっかけに盗賊の頭領となったという伝説があります。
歌舞伎では「悪婆(あくば)」という役柄で表現されます。
悪婆とは、単なる悪女ではありません。
気が強く、度胸があり、男性にも負けない迫力を持ちながら、内面には情や悲しみを抱えている女性像です。
鬼神のお松には「骸骨お松」という異名もあり、妖艶さと恐ろしさを兼ね備えた存在として描かれてきました。
百千鳥沖津白浪のあらすじ
物語は、盗賊や武士たちの思惑が交錯する白浪物らしい展開で進みます。
主人公の鬼神のお松は、女盗賊として暗躍しながら、時には別人になりすまし、敵の懐へ入り込んでいきます。
盗賊・小助や夏目家の人々、篠原一学らが絡み合う中、お松は持ち前の度胸と知略で危機を切り抜けていきます。
正体を隠して相手を翻弄する場面、鋭い啖呵を切る場面、豪快な立ち回りなど、白浪物ならではの爽快感が楽しめる作品です。
特に注目したいのは、女性でありながら男役顔負けの迫力を見せる鬼神のお松の存在感。
「悪」と「魅力」が同居する、歌舞伎ならではの人物造形が大きな見どころです。
登場人物
| 役名 | 人物 |
|---|---|
| 鬼神のお松 | 女盗賊。物語の主人公 |
| 夏目四郎次郎 | 武家方の人物 |
| 夏目四郎太郎 | 夏目家に関わる人物 |
| 篠原一学 | 物語の鍵を握る人物 |
| 盗賊小助 実は木鼠 | お松と関わる盗賊 |
| 主水妹藤浪 | 物語に登場する女性 |
2026年 八月納涼歌舞伎『百千鳥沖津白浪』公演情報
公演名
八月納涼歌舞伎 2026 第二部
劇場
歌舞伎座
公演期間
2026年8月2日(日)〜8月26日(水)
休演日
8月10日(月)、8月18日(火)
開演時間
午後3時10分〜
出演者
| 役名 | 出演 |
|---|---|
| 鬼神のお松 | 中村七之助(初役)/尾上右近 |
| 夏目四郎次郎 | 中村米吉 |
| 主水妹藤浪 | 中村虎之介 |
| 下部柴平 | 中村歌之助 |
| 盗賊小助実は木鼠 | 中村福之助 |
| 篠原一学 | 中村歌昇 |
| 夏目四郎太郎 | 中村扇雀 |
62年ぶり上演が意味すること
『百千鳥沖津白浪』が歌舞伎座の本興行で上演されるのは、1964年以来。
長期間上演されてこなかった作品が復活する背景には、現代の役者が新たな魅力を引き出せるタイミングが整ったことがあります。
今回、大きな話題となっているのが中村七之助の鬼神のお松です。
七之助は繊細な女方として高い評価を受けていますが、鬼神のお松は妖艶さだけではなく、強烈な凄みや迫力が求められる役。
七之助がどのような悪婆像を作り上げるのかが最大の注目ポイントです。
百千鳥沖津白浪の見どころ
① 鬼神のお松という強烈な女性像
鬼神のお松の魅力は、怖さだけではありません。
強さの裏側にある情や孤独、人間味があるからこそ、観客を惹きつけます。
七之助が演じることで、どのような新しいお松になるのか期待されています。
② 白浪物ならではの爽快感
白浪物の魅力は、なんといってもテンポの良さ。
次々と展開する場面、威勢のいい台詞、華やかな立ち回りは、初めて歌舞伎を見る人にも楽しみやすい要素です。
③ 中村屋を中心とした若手俳優の共演
七之助を中心に、米吉、虎之介、歌之助、福之助ら若手俳優が集結。
現在の歌舞伎界を担う世代の共演としても注目です。
チケット情報
前売開始:
2026年7月14日(火)午前10時〜
販売:
チケットWeb松竹 などで発売予定。
まとめ|62年ぶり復活する鬼神のお松に注目
『百千鳥沖津白浪』は、女盗賊・鬼神のお松という強烈な主人公を描いた、白浪物ならではの魅力が詰まった作品です。
62年ぶりとなる今回の上演では、中村七之助が初役で挑む鬼神のお松が最大の見どころ。
華やかな立ち回り、迫力ある台詞、そして悪婆ならではの魅力を味わえる貴重な舞台になりそうです。
2026年夏の歌舞伎座でしか見られない復活公演として、歌舞伎ファンだけでなく、初めて歌舞伎を見る人にもおすすめしたい一演目です。




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