正月に『菅原伝授手習鑑』を通しで観てみた|観劇記

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正月に『菅原伝授手習鑑』を通しで観る

正月休みを利用して、歌舞伎の大作
『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』を通しで観ました。

寺子屋の段や車引の段など、名場面は単独で上演されることが多いものの、
通し狂言として上演される機会は実はあまり多くありません。

今回は「さよなら歌舞伎座」のDVDを使い、数日かけてじっくり鑑賞。
断片ではなく物語全体を追うことで、この作品が持つ重さと深さをあらためて実感しました。

菅丞相という役の重み

菅丞相を勤めるのは、片岡仁左衛門さん。
この役は仁左衛門さんにとっての当たり役であり、
父にとっても、祖父にとっても特別な役として受け継がれてきたものです。

静かな品格と、理不尽に耐える強さ。
「菅丞相」という存在そのものが、役者の人生を背負って立ち上がってくるように感じられました。

菅原伝授手習鑑と菅原道真

『菅原伝授手習鑑』は、菅原道真をモデルにした物語です。

近年では『呪術廻戦』の登場人物・五条悟が「菅原道真の子孫」という設定であることでも知られ、
思わぬところで道真の名が現代に息づいています。

歌舞伎では多くの場合、「寺子屋の段」で幕となりますが、
本来の物語はその先、菅丞相が雷神として昇天するという壮大な結末へと続きます。

都で相次ぐ天変地異に恐れた人々が、
道真の霊を鎮めるために都の北に祠を建てた――
それが、現在の北野天満宮

学者としての側面が強調され、
道真はやがて「学問の神様」「受験の神様」として信仰されるようになったそうです。

あらすじ(通しで見るからこそ見えるもの)

無実の罪で都を追われ、太宰府へ流される菅丞相。
その一方、都では藤原時平が権力を握り、
菅丞相の血筋を断とうと、息子・菅秀才の命を狙います。

物語の中で描かれるのは、

  • 主君への忠義
  • 我が子を犠牲にするほどの親の覚悟
  • 学問を次代へ伝えようとする師弟の情

という、人間の極限の選択。

通しで見ることで、
「なぜあの決断に至ったのか」が、胸に迫ってきます。

今回の配役

今回鑑賞したDVDで印象に残った配役はこちら。

  • 加茂堤・賀の祝
     左團次・橋之助・福助・染五郎・松緑
  • 筆法伝授の段
     仁左衛門・東蔵・梅玉
  • 道明寺の段
     仁左衛門・玉三郎・我當
  • 車引の段
     芝翫・吉右衛門・幸四郎・富十郎
  • 寺子屋の段
     幸四郎・玉三郎・勘三郎・仁左衛門

まさに「これ以上ない布陣」という印象です。

見どころと、心に残った場面

特に心に残ったのは、賀の祝の段筆法伝授の段

賀の祝では、梅王丸と松王丸の喧嘩がとにかく賑やかで楽しい。
ただ、この段だけを見ると後半が、「少し後味が悪い」と感じる方もいるかもしれません。

ですが、物語全体を知った上で見ると、
親としての思いがにじみ出る、実に切ない場面でもあります。

筆法伝授の段では廻り舞台を使った廊下の演出が印象的で、
個人的なお気に入りの場面。

そして、やはり忘れられないのが寺子屋の段

源蔵が斬りつけた刀を、
我が子の手文庫で受け止める千代。

「菅秀才のお身替り、お役に立ててくださったか、まだか、様子を聞きたい!」

と、気丈に応ずるその姿に、涙が止まりません。

菅原伝授手習鑑を観て

当たり役など

当たり役
15代目片岡仁左衛門の菅丞相と武部源蔵(寺子屋の段)
特に菅丞相が絶賛されてます。

鑑賞レーティング

総合満足度 ★★★★★★★★★☆
初心者おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
見どころの密度 ★★★★★★★★☆☆
心に残る度 ★★★★★★★★★★
再観たい度 ★★★★★★★★★☆

「※評価は個人の好み(舞踊好き/義太夫好き)が反映されています」

かぶしげオススメの席の選び方

舞台全体を観るなら中央7~9列目あたりいわゆる『とちり席』2階最前列『天覧席』
通しで観るなら全体を観れた方がいいと思うので『とちり席』『天覧席』がおすすめです!

いつか生で観たい菅丞相

通しで観たことで『菅原伝授手習鑑』が単なる悲劇ではなく、
人の覚悟と継承の物語であることが、よりはっきりと見えてきました。

いつか必ず、
片岡仁左衛門さんの菅丞相を生の舞台で拝みたい。

そう強く思わせてくれる、正月の観劇体験でした。

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