歌舞伎十八番(かぶきじゅうはちばん)は、江戸時代から伝わる市川宗家『成田屋』の家の芸を象徴する十八の演目です。
各演目には市川家ならではの荒事(あらごと)や和事(わごと)の特徴が表れており、歌舞伎ファンだけでなく初めて観る人にも魅力を感じられる内容です。
ここでは十八番の演目一覧をまとめ、それぞれの詳細記事へリンクで紹介します。
歌舞伎十八番の上演状況まとめ
たびたび上演される演目
歌舞伎十八番の中で、上演回数が群を抜いて多いのは『助六』、次いで『勧進帳』、そして『暫』です。
この三演目はいずれも、七代目・九代目市川團十郎の時代に書かれ、あるいは現在の型が整えられたもの。
言い換えれば、当時における“事実上の新作”ともいえる演目です。完成度の高さと演劇的魅力が、今日まで繰り返し上演される理由となっています。
そのほか、比較的よく上演される演目として挙げられるのが、
『矢の根』『外郎売』『毛抜』『鳴神』『景清』
です。
『矢の根』『外郎売』は『助六』と同じく「曾我物」に属し、物語や人物像が親しみやすいことが再演の多さにつながっています。
一方、『毛抜』『鳴神』は通し狂言『雷神不動北山櫻』の一部を独立させた演目で、登場人物の個性が明確である点も人気の理由です。
『景清』も現在まで伝わり、時折上演されています。
現在ほとんど上演されない演目
それ以外の演目は、今日ではほとんど上演されません。
『不動』『関羽』『象引』『七つ面』『解脱』『嫐』『蛇柳』『鎌髭』『不破』『押戻』
これら十番は、七代目團十郎が歌舞伎十八番を選定した天保年間の時点ですでに内容が詳しく分からなくなっていたとされています。
明治から昭和にかけて復活上演が試みられたものの、手がかりが一枚の木版役者絵しか残っていない演目もありました。
そのため、新歌舞伎の作者たちが大胆な創作を加え、ほとんど新作に近い形で再構築された作品もあります。
こうした復活上演は当時大きな話題を呼びましたが、千穐楽を迎えると継続的な評価には結びつかず、多くは単発上演にとどまっています。
『押戻』の現在の上演形態
『押戻』は、歌舞伎十八番の一つに数えられていますが、単独の演目として上演されることは現在ほとんどありません。
ただし、「押戻」という役どころ・演出そのものが消えたわけではありません。
たとえば舞踊の名作『娘道成寺』では、終盤に怨霊と化した白拍子花子を鎮めるために押戻が登場する演出が用いられることがあります。
つまり『押戻』は、
- 一作品としての上演は稀
- しかし「荒事の象徴的存在」として演出に組み込まれている
という形で、現在の舞台にも生き続けているのです。
歌舞伎十八番演目一覧
| 歌舞伎十八番演目名 | 概要 | 記事リンク |
| 『暫』 | 理屈抜きに、古風でおおらかな荒事の魅力を堪能できる荒事の名作 | 記事を見る |
| 『勧進帳』 | 緊迫と情感が交錯し、勇壮な舞から飛び六方まで一気に心を掴む名作。 | 記事を見る |
| 『助六』 | 江戸の粋と吉原の華やぎを凝縮した、粋で痛快な人間模様。 | 記事を見る |
| 『矢の根』 | 若さと超人的な豪快さがほとばしる、動く絵画のような荒事絵巻。 | 記事を見る |
| 『外郎売』 | 仇討ちの覚悟と早口口上が光る、粋で痛快な一幕。 | |
| 『毛抜』 | 古風なおおらかさと怪異の面白さが光る、復活上演で蘇った人気作。 | |
| 『鳴神』 | 色と激情が炸裂する、荒事の醍醐味あふれる一幕。 | |
| 『景清』 | 豪勇炸裂、牢を破って舞台を駆ける豪快無比の荒事。 | |
| 『不動』 | ||
| 『関羽』 | ||
| 『象引』 | ||
| 『七つ面』 | ||
| 『解脱』 | ||
| 『嫐』 | ||
| 『蛇柳』 | ||
| 『鎌髭』 | ||
| 『不破』 | ||
| 『押戻』 | 記事を見る |
まとめ
歌舞伎十八番は、荒事・和事を通して市川宗家の家の芸の魅力を象徴する演目です。
各演目を知ることで、舞台観劇の楽しみもさらに深まります。
気になる演目はリンク先の記事で、あらすじや登場人物、みどころをチェックしてみてください。


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