上村吉太朗(かみむらきちたろう)プロフィール完全解説|28年ぶりの上方部屋子から『刀剣乱舞』『エヴァンゲリオン』まで

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上方歌舞伎の灯を守る若手として、28年ぶりとなる上方の部屋子という立場から着実に力をつけてきたのが初代上村吉太朗(かみむら きちたろう)です。
近年は『刀剣乱舞』や『エヴァンゲリオン』とのコラボ企画にも続けて出演し、歌舞伎とサブカルチャーとの橋渡し役としても大きな注目を集めています。

この記事では、上村吉太朗の生い立ちから、師匠・上村吉弥との関係、初舞台の経緯、そして近年のアニメ・ゲームコラボ作品での活躍まで、まとめて解説します。
情報が比較的少ない役者ではありますが、確認できる範囲でできるだけ丁寧に紹介していきます。

目次

上村吉太朗 プロフィール|読み方は「かみむら」

生年月日2001年2月26日
出身大阪府
屋号美吉屋(みよしや)
初舞台2007年5月、ワッハホール(大阪)『傾城阿波の鳴門』お鶴役

「上村」という姓は「うえむら」ではなく「かみむら」と読みます。
同じ「上村」姓の役者に上村吉弥(かみむら きちや)がいますが、こちらも「かみむら」と読み、上方歌舞伎に伝わる屋号「美吉屋」を共有する間柄です。

読み方をめぐっては、ニュース記事やSNSで誤って「うえむら」と表記されることも少なくありません。
正しい読み方を知っておくと、上方歌舞伎に関する情報を調べる際にも役立つはずです。

屋号は師匠と同じ「美吉屋」で、定紋は「折敷型世の字」です。
2001年2月26日生まれで、大阪府の出身と伝えられています。

師匠・上村吉弥と後見人・片岡我當|28年ぶりの上方部屋子

上村吉太朗が歌舞伎の道に入ったきっかけは、祖父が六代目上村吉弥の学生時代の同級生だったという、ごく個人的な縁でした。
この縁から幼い頃に上村吉弥と出会い、以来「叔父格」として師事することになったといいます。

本人は上村吉弥について「第2のお母さん」と表現するほど近しい関係にあると語っており、単なる師弟関係にとどまらない、家族のような結びつきがあることをうかがわせます。
2009年12月、京都・南座にて五代目片岡我當の部屋子となり、『時平の七笑』でお披露目されました。
これは上方歌舞伎において実に28年ぶりとなる部屋子の誕生で、上方歌舞伎の継承という観点からも大きな意味を持つ出来事でした。

部屋子とは、名門の役者の家に住み込みで仕え、身の回りの世話をしながら芸を学ぶ、歌舞伎独特の徒弟制度です。
血縁関係のない役者が、こうした部屋子という立場を経て名題(役の格を持つ役者)へと成長していくのは、江戸時代から続く歌舞伎界の伝統的な人材育成の仕組みのひとつです。

上方歌舞伎とは、京都・大阪を中心に発展してきた歌舞伎の一系統で、江戸で発展した荒々しい「荒事」に対し、しっとりとした色恋沙汰を描く「和事」を得意とすることで知られています。
しかし戦後、東京中心の興行体制が強まる中で、上方出身の若手役者は年々減少しており、後継者の育成が長年の課題となってきました。
そうした状況の中で、28年ぶりに上方で部屋子が誕生したことは、上方歌舞伎の将来にとって非常に大きな意味を持つ出来事だったのです。

なお、同世代の役者に中村莟玉(かんぎょく)がいますが、上村吉太朗とは屋号も系統もまったく異なる別人であり、直接の関係はありません。
中村莟玉は中村梅玉の部屋子で屋号は「高砂屋」、上村吉太朗は片岡我當の部屋子で屋号は「美吉屋」と、混同しないよう注意が必要です。

初舞台から現在まで|上方歌舞伎の担い手として

2007年5月、大阪のワッハホールで開催された「みよし会」第3回公演にて、『傾城阿波の鳴門』の「どんどろ大師の場」でお鶴役を演じ、6歳で初舞台を踏みました。
この舞台で「上村吉太朗」という、それまで誰も名乗ったことのない新しい名前をスタートさせています。

2018年頃には、中村獅童が手がける「オフシアター歌舞伎」の『女殺油地獄』にも出演し、歌舞伎の枠を超えた現代演劇の演出に触れる経験を積みました。
2022年5月には南座の歌舞伎鑑賞教室『吉野山』で佐藤忠信を、8月には坂東玉三郎の特別公演『東海道四谷怪談』でお梅を演じるなど、着実に大役を任されるようになっています。

2023年1月には新橋演舞場『SANEMORI』でSnow Manの宮舘涼太と共演するなど、ジャニーズ系アイドルとの共演を通じて、歌舞伎とは異なる客層にも触れる機会を重ねてきました。

こうしたアイドルグループのメンバーとの共演企画は、近年の歌舞伎界で増えている「新しい客層の開拓」を目的とした取り組みのひとつです。
普段歌舞伎に馴染みのないファン層にも劇場に足を運んでもらうきっかけとなるこうした公演に、上村吉太朗は若手のうちから数多く出演してきました。
異なるジャンルの表現者と同じ舞台に立つ経験は、歌舞伎の型を守りながらも、新しい表現の可能性を模索する土台になっているのでしょう。

『刀剣乱舞』『エヴァンゲリオン』|アニメ・ゲームコラボでの活躍

上村吉太朗の近年の活動で特に注目したいのが、人気アニメ・ゲーム作品とのコラボレーション企画への出演です。
2024年にはシネマ歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』に膝丸役で出演し、2025年7月〜8月には歌舞伎『刀剣乱舞』の舞台公演(新橋演舞場・博多座・南座)でも同じ膝丸役を演じました。

2023年頃には、IHI STAGE AROUND TOKYOで上演された新作歌舞伎「ファイナルファンタジーX」にも出演しています。
そして2026年2月23日、横浜アリーナSTAGE AREAでは「EVANGELION:30+ 30th Anniversary」のフィナーレを飾る特別企画「歌舞伎交響曲第急番 エヴァンゲリオン」にて、主人公・碇シンジ役を演じることが発表されました。
共演には尾上左近が渚カヲル役で出演し、脚本・演出は戸部和久、振付は藤間勘十郎、音楽は山田文彦が担当しています。

本人は「『エヴァンゲリオン』と歌舞伎のコラボという初の試みに携わることができますこと、今からとてもワクワクいたします」とコメントしており、新しい挑戦への意欲をのぞかせています。
刀剣乱舞・ファイナルファンタジー・エヴァンゲリオンと、いずれも国内外に熱心なファンを持つ人気コンテンツとのコラボに続けて起用されていることは、上村吉太朗が持つ表現力の幅広さを物語っているといえるでしょう。

『刀剣乱舞』は人気ゲーム・アニメを原作とした演目で、すでに歌舞伎座や新橋演舞場で複数回上演されている人気シリーズです。
膝丸という役どころは、実在する日本刀を擬人化したキャラクターで、原作ファンからの視線も厳しい役どころですが、複数回にわたって同じ役を任され続けていることは、原作ファンと歌舞伎ファン双方から一定の評価を得ている証といえるでしょう。

『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年に放送が始まったアニメ作品で、放送から30年を経てなお国内外に根強いファンを持つ日本を代表するコンテンツのひとつです。
その30周年記念企画の一環として歌舞伎とのコラボレーションが実現したこと自体が異例であり、主人公・碇シンジという重要な役を任されたことは、上村吉太朗にとって大きなチャンスであると同時に、これまでの実績が評価された結果ともいえます。

受賞歴

  • 2011年5月:十三夜会賞奨励賞
  • 2013年4月:十三夜会賞奨励賞
  • 2019年6月:国立劇場奨励賞(『神霊矢口渡』傾城うてな役)
  • 2022年度:咲くやこの花賞(演劇・舞踊部門)

咲くやこの花賞は、大阪市が優れた芸術活動を行う若手芸術家を顕彰する賞で、上村吉太朗は21歳という若さで受賞しています。
受賞理由には「古典から新作まで幅広く演じ、上方の味や古典の匂いを身に着けていることは芸の継承に大きな武器となり、上方歌舞伎に光をあてる存在」とあり、上方歌舞伎の担い手としての活躍が高く評価されました。
師匠である上村吉弥がこの賞を32歳・4回目の候補でようやく受賞したのに対し、吉太朗は21歳での受賞となり、本人も「運がいい」と振り返っています。
師匠を上回るスピードでの受賞は、それだけ早くから実力が認められてきたことの何よりの証明といえるでしょう。

人柄・素顔

上村吉太朗は自身のキャリアを振り返り、繰り返し「運がいい」という言葉を使います。
4歳で上村吉弥に出会い、片岡仁左衛門や片岡秀太郎、片岡愛之助中村壱太郎といった諸先輩方から幼い頃から目をかけてもらったこと、そして十八代目中村勘三郎から「歌舞伎が好きなら早く始めたほうがいい」と声をかけられたことなど、数々の出会いに恵まれてきたことをたびたび語っています。

目標は「上方の上村吉太朗」と呼ばれる役者になること。
立役・女方の両方を極めたいという思いを持っており、中村梅玉から「今の若手には本物の女方がいない、吉太朗にそうなってほしい」と直接声をかけられたエピソードも明かしています。
『女殺油地獄』や『夏祭浪花鑑』の団七といった、上方歌舞伎を代表する演目への出演を目標に掲げています。

『女殺油地獄』は、上方の和事芸を代表する近松門左衛門の名作で、放蕩者・河内屋与兵衛が油まみれになりながら人を殺めてしまう衝撃的な場面で知られています。
『夏祭浪花鑑』の団七九郎兵衛も、上方歌舞伎ならではの粋と侠気を体現する代表的な役どころです。
こうした上方歌舞伎の真髄ともいえる演目への挑戦を目標に掲げていることからも、上方歌舞伎の継承者としての自覚がうかがえます。

好物は大阪・千日前近くの「おかる」というお好み焼き店の一品だそうで、地元・大阪への愛着も垣間見えます。
Snow Manの宮舘涼太との共演をきっかけに、ジャニーズ系アイドルの自己表現の巧みさに刺激を受けたと語るなど、歌舞伎以外の芸能界からも積極的に学ぼうとする柔軟な姿勢が印象的です。

幼い頃から数々の諸先輩に目をかけてもらってきたエピソードからは、上方歌舞伎という限られたコミュニティの中で、周囲から大切に育てられてきた様子がうかがえます。
血縁によらない部屋子という立場でありながら、実の家族のような結びつきの中で芸を磨いてきたことは、上村吉太朗という役者の人柄そのものにも表れているといえるでしょう。

まとめ|28年ぶりの上方部屋子から歌舞伎とサブカルの橋渡し役へ

  • 上村吉太朗は、上方歌舞伎で28年ぶりとなる部屋子として片岡我當のもとで育った役者
  • 師匠は上村吉弥(かみむら きちや)で、「かみむら」と読む
  • 中村莟玉とは屋号・系統ともに異なる別人
  • 『刀剣乱舞』『エヴァンゲリオン』など人気コンテンツとのコラボに続けて出演
  • 21歳で咲くやこの花賞を受賞するなど、上方歌舞伎の担い手として高く評価されている

上方歌舞伎の伝統を受け継ぎながら、アニメ・ゲームファンにも歌舞伎の魅力を届ける、独自のポジションを築きつつある上村吉太朗。
「上方の上村吉太朗」を目指すその歩みから、今後も目が離せません。
上方歌舞伎の未来を担う存在として、これからの活躍にぜひ注目してみてください。

よくある質問(FAQ)

「上村吉太朗」はどう読みますか?

「かみむら きちたろう」と読みます。
「うえむら」ではなく「かみむら」であることに注意してください。

上村吉太朗と中村莟玉は関係がありますか?

いいえ、両者に直接の関係はありません。
上村吉太朗は片岡我當の部屋子で屋号「美吉屋」、中村莟玉は中村梅玉の部屋子で屋号「高砂屋」と、系統がまったく異なります。

上村吉太朗はどんなアニメ・ゲームコラボに出演していますか?

シネマ歌舞伎・歌舞伎『刀剣乱舞』(膝丸役)、新作歌舞伎「ファイナルファンタジーX」、そして2026年2月の「歌舞伎交響曲第急番 エヴァンゲリオン」(碇シンジ役)に出演しています。

上村吉太朗の師匠は誰ですか?

師匠は上村吉弥(六代目)です。
後見人は五代目片岡我當で、2009年12月に部屋子として披露されました。

「部屋子」とは何ですか?

名門の役者の家に住み込みで仕えながら芸を学ぶ、歌舞伎独特の徒弟制度です。
血縁関係がなくても、部屋子から名題役者へと成長していく道筋が、歌舞伎界には古くから存在します。

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