中村鶴松が主催する「鶴明会」は、鶴松自身が舞台に立つ自主公演です。
第一回では、制作・運営にも自ら携わりました。
第一回は2022年6月に浅草公会堂で開催され、『高坏』と『春興鏡獅子』を上演。
鶴松は運営から主演、出演者のギャラ交渉まで、公演に関わるすべてを一人で担いました。
1日2回の単独公演で、合計2000人を動員しています。
それから第二回として確認できる公演が、2025年9月の「第二回 鶴明会」です。
こちらでは『仮名手本忠臣蔵』五段目・六段目と、六役の早替りを見せる舞踊『雨乞狐』を上演しました。
この記事では、第一回と第二回の演目や配役を整理するとともに、鶴松が取材会で語った演目選びの経緯、公演に込めた思いを紹介します。
「鶴明会」とは?中村鶴松が自ら制作を手がける自主公演
「鶴明会」は、二代目中村鶴松が主催する自主公演です。
中村鶴松は1995年生まれ、東京都出身。
十八世中村勘三郎の部屋子となり、勘三郎の逝去後も六代目中村勘九郎、二代目中村七之助とともに中村屋を盛り立てながら、修行を重ねています。
立役と女形の双方を勤めるだけでなく、異形や人外の役もこなしてきました。
そんな鶴松が、自ら公演を立ち上げて主役を勤めたのが「鶴明会」です。
第一回では、鶴松が主演するだけでなく、運営や出演者のギャラ交渉を含む公演全体を一人で担いました。
自主公演という言葉から、出演者が演目を選んで舞台に立つ姿を思い浮かべる人も多いでしょう。
第一回鶴明会では、舞台上の仕事に加え、公演を成立させるための制作面も鶴松が引き受けています。
第一回で掲げた演目は『高坏』と『春興鏡獅子』。
第二回では『仮名手本忠臣蔵』五段目・六段目と『雨乞狐』を選びました。
鶴松のほか、第一回には中村勘九郎と中村七之助、第二回には中村勘九郎、中村莟玉、中村福之助、中村歌之助、中村梅花、中村歌女之丞、澤村精四郎が出演しています。
なお、確認できる開催は、第一回にあたる2022年公演と、第二回にあたる2025年公演です。
2023年および2024年の開催の有無については、ここでは断定できません。

第一回公演(2022年)|『高坏』『春興鏡獅子』、2000人を動員
第一回の鶴明会は、2022年6月5日に浅草公会堂で開催されました。
午前11時と午後4時に開演する、1日2回公演です。
演目は『高坏』と『春興鏡獅子』。
その間には、中村勘九郎と中村七之助が出演するトークコーナーも設けられました。
『高坏』の配役
| 役名 | 出演 |
|---|---|
| 次郎冠者 | 中村鶴松 |
『高坏』では、鶴松が次郎冠者を勤めました。

続くトークコーナーには、中村勘九郎と中村七之助が出演。
舞台上の演目だけでなく、トークを通じて出演者の言葉に触れられる構成となっていました。
『春興鏡獅子』の配役
| 役名 | 出演 |
|---|---|
| 小姓弥生、のちに獅子の精 | 中村鶴松 |
『春興鏡獅子』では、鶴松が小姓弥生と、のちに現れる獅子の精を演じました。
中村七之助と中村勘九郎も出演しています。
立役と女形の双方に取り組み、異形や人外の役もこなしてきた鶴松。
その鶴松が二つの演目の中心に立ち、自身の自主公演として観客に届けたのが第一回鶴明会でした。
特筆すべきは、鶴松の仕事が出演だけにとどまらなかった点です。
公演の運営、主演、出演者のギャラ交渉など、公演に関わるすべてを一人で担当しました。
自主公演を企画し、自ら出演しながら、舞台の外側にある交渉や運営まで担う。
第一回は、鶴松が自分の名前を掲げ、運営・主演・出演者のギャラ交渉を一人で担った公演でした。
そして第一回は、1日限りの単独公演で2000人を動員しました。
午前と午後の2公演を通じ、多くの観客が会場を訪れたことになります。

第二回公演(2025年)|『仮名手本忠臣蔵』五六段目・『雨乞狐』
第二回鶴明会は、2025年9月18日と19日に、第一回と同じ浅草公会堂で開催されました。
公演日時は、9月18日午後5時30分、9月19日午前11時、同日午後4時30分の計3回。
料金は全席指定・税込で、S席1万1000円、A席8000円、B席6000円でした。
演目は、『仮名手本忠臣蔵』五段目・六段目と『雨乞狐』です。
『仮名手本忠臣蔵』五段目・六段目の配役
| 役名 | 出演 |
|---|---|
| 早野勘平 | 中村鶴松 |
| 斧定九郎 | 中村勘九郎 |
| 女房お軽 | 中村莟玉 |
このほか、中村福之助、中村歌之助、中村梅花、中村歌女之丞、澤村精四郎も出演しました。

鶴松が勤めたのは早野勘平です。
中村勘九郎が斧定九郎、中村莟玉が女房お軽を演じました。
第一回では『高坏』の次郎冠者と、『春興鏡獅子』の小姓弥生・獅子の精を勤めた鶴松。
第二回では、『仮名手本忠臣蔵』の早野勘平を勤めました。
『雨乞狐』では六役の早替りに挑戦
もう一つの演目『雨乞狐』は、鶴松が一人で六役を早替りする舞踊です。
『仮名手本忠臣蔵』五段目・六段目で早野勘平を勤めたうえで、『雨乞狐』では六役の早替りを披露する構成となりました。
一つの公演で、それぞれ趣の異なる二つの演目を上演しています。
第一回と同じ浅草公会堂を舞台にしながら、第二回では上演日が2日間、全3公演となっています。
演目と配役の違いに加え、鶴松がどのような考えから二作品を選んだのかも、第二回を知るうえで重要なポイントです。
鶴松が語る、演目選びと公演への思い
第二回公演にあたって開かれた取材会で、鶴松は演目を決めるまでの経緯を自身の言葉で明かしています。
鶴松によれば、先に上演を決めていたのは『雨乞狐』でした。
一方、『仮名手本忠臣蔵』については、「最後まで悩んだ」と語っています。
その迷いを経て上演を決心するきっかけとなったのが、兄・中村勘九郎の姿でした。
鶴松は勘九郎の姿を見て「やりたくなった」と話し、『仮名手本忠臣蔵』の上演を決めた経緯を説明しています。
先に『雨乞狐』を決定し、もう一つの演目については最後まで検討する。
その後、勘九郎の姿を見て「やりたくなった」と考え、『仮名手本忠臣蔵』の上演を決めました。
この言葉から、演目が決まるまでの経緯がわかります。
また鶴松は、2025年公開の映画『国宝』にも言及しました。
取材会では「映画を観た方は全員この公演を観に来ていただきたい」と呼びかけています。
これは映画の内容を説明したものではなく、映画を観た人に自身の公演にも足を運んでほしいという、鶴松本人からのメッセージです。
鶴松が語ったのは、鶴明会への来場だけではありません。
歌舞伎がハードルの高いものという印象を与えないようにしながら、出演者全員で新しい観客を開拓していくことの重要性も強調しました。
歌舞伎に親しんできた観客に舞台を届けると同時に、新しい観客にも劇場へ来てもらう。
そのために一人だけではなく、出演者全員で取り組むという考えです。
第一回では、出演に加えて制作・運営やギャラ交渉も鶴松が担当しました。
第二回の取材会では、新しい観客の開拓に出演者全員で取り組むという考えを語っています。
よくある質問(FAQ)
- 「鶴明会」はいつから始まりましたか?
-
確認できる第一回公演は、2022年6月5日に浅草公会堂で開催されました。
午前11時と午後4時の1日2回公演で、『高坏』、中村勘九郎・中村七之助によるトークコーナー、『春興鏡獅子』が上演されています。 - 「鶴明会」というタイトルの意味や由来は?
-
「鶴明会」という名称は、鶴松と中村勘九郎の2人で考案したものです。
鶴松の「鶴」と、十八世中村勘三郎の本名「波野哲明」から取った「明」を組み合わせ、「革命」の意味を込めて名付けられました。 - 第二回鶴明会はどこで観られましたか?
-
2025年9月18日と19日に、東京の浅草公会堂で上演されました。
9月18日は午後5時30分、19日は午前11時と午後4時30分に開演し、全3公演が行われています。 - 鶴松はなぜ『仮名手本忠臣蔵』を選んだのですか?
-
鶴松本人は、取材会で『仮名手本忠臣蔵』を上演するか最後まで悩んだと語っています。
その後、兄・中村勘九郎の姿を見て「やりたくなった」と、上演を決心した経緯を明かしました。 - 第一回の鶴明会では、鶴松は制作にも関わったのですか?
-
はい。
第一回では、運営から主演、出演者のギャラ交渉まで、公演に関わるすべてを鶴松が一人で担いました。
公演は1日2回行われ、合計2000人を動員しています。 - 2023年や2024年にも鶴明会は開催されましたか?
-
今回の事実確認で確認できる開催は、第一回の2022年公演と第二回の2025年公演です。
2023年および2024年に開催されたかどうかについては、開催・非開催のいずれも断定できません。
歌舞伎が初めての方へ
歌舞伎自体が初めてだと「どう観ればいいの?」と迷うこともあるかもしれません。
歌舞伎には独特の約束ごとや表現がありますが、基本を少し知っておくだけで、面白さがぐっと伝わりやすくなります。
歌舞伎とは?初心者向けにわかりやすく解説

まとめ
「鶴明会」は、中村鶴松が主催する自主公演です。
2022年の第一回では、『高坏』と『春興鏡獅子』を上演。
中村勘九郎と中村七之助が出演するトークコーナーも設けられました。
鶴松は舞台に立つだけでなく、運営や出演者のギャラ交渉まで一人で担い、1日2回の公演で2000人を動員しています。
2025年の第二回では、『仮名手本忠臣蔵』五段目・六段目で早野勘平を勤め、『雨乞狐』では一人六役の早替りを披露しました。
『仮名手本忠臣蔵』の上演は最後まで悩んだものの、兄・勘九郎の姿を見て「やりたくなった」と決断したことを、鶴松本人が語っています。
第一回では、鶴松が出演に加えて制作・運営や出演者のギャラ交渉も担いました。
第二回の取材会では、新しい観客を開拓するため、出演者全員で取り組むことの重要性を語っています。
歌舞伎をもっと面白がるための三冊
用語やニュースをきっかけに「もう少し知りたい」と思ったときに手に取りやすいものを選びました。
読み物としても楽しめます。
[改訂新版]マンガで教養 やさしい歌舞伎鑑賞
歌舞伎の歴史や約束事、舞台の見方をマンガとイラストで解説した入門書です。
断片的に知っている知識がつながります。
歌舞伎の101演目 解剖図鑑
人気演目のあらすじや見どころを、豊富なイラストとともに紹介した一冊です。
名場面のイメージを絵でつかめます。
「歌舞伎職人」の舞台うら話
附け打ちや大道具、床山など、舞台を支える職人たちの仕事を紹介した一冊です。
裏方の視点を知ると劇場での見え方が広がります。
🎭 観劇のおともに【PR】
※本セクションには広告(Amazonアソシエイト)リンクを含みます。
- 観劇用オペラグラスをAmazonで探す — 3階席・幕見席なら必携。役者の表情や衣装の細部まで楽しめます
- 歌舞伎の入門書おすすめ5選を見る — あらすじや約束事を予習しておくと当日の楽しさが段違いです
- Amazonプライム(30日間無料体験) — お急ぎ便が使い放題、Prime VideoやPrime Readingもまとめて使えます
歌舞伎の入門書・解説本も読み放題対象多数。観劇前の予習に
映画・ドラマ・アニメが見放題。まずは30日間の無料体験から

