正札附根元草摺のあらすじ・みどころを詳しく解説していきます。
正札附根元草摺(しょうふだつき こんげんくさずり)と読みます。
通称は「草摺引(くさずりびき)」。
福を引き寄せるという「引き事」の代表作です。
「草摺」とは、武者が身にまとう鎧の下部にあたる部分で、前後左右に垂れ、ひらりと動くスカート状の防具のことです。
下半身を守る役割を持ちながら、馬に乗る際に邪魔にならないよう、開いたり揺れたりする構造になっています。

題名を言葉ごとにほどくと――
- 正札附:正真正銘のお墨付き
- 根元:本筋・元祖・物語の根っこ
- 草摺:鎧の草摺を引き合う、あの場面
つまりこの演目は、
「これは曽我物の本筋にあたる、正統な“草摺引”の話ですよ」
という意味合いを持つ、いわば“看板付き”の題名なのです。
『正札附根元草摺』のあらすじ解説
あらすじ(小林朝比奈が相手役の場合)
父の仇・工藤祐経を討つため、鎧を小脇に抱えて駆け出そうとする曽我五郎。
そこへ立ちはだかるのが、怪力無双の荒武者・小林朝比奈です。
朝比奈が「まだ時期が早いぞ」と引きとめようと、二人は鎧の下部に垂れた草摺をつかみ合い、力と意地の真っ向勝負を繰り広げます。
朝比奈は、時に女っぽく、五郎の行く手を阻み続けます。
花道
軽快で勇壮な動きの応酬ののち、なおも花道から進もうとする五郎と、それを押しとどめる朝比奈。
荒事らしい豪快な引き合いで幕となります。
あらすじ(小林妹舞鶴が相手役の場合)
父の仇・工藤祐経を討つため、鎧を小脇に抱えて駆け出そうとする曽我五郎。
そこへ立ちはだかるのが、小林妹舞鶴です。
舞鶴が「まだ時期が早い」と引きとめようと
二人は鎧の下部に垂れた草摺をつかみ合い、力と力の真っ向勝負を繰り広げます。
やがて舞鶴は、力比べだけでなく、しおらしく男女の情を語りかけ、艶やかな女性らしさで五郎を引き止めようとします。
花道
軽快で華やかな連舞(つれまい)を挟み、花道から再び仇討ちに向かおうとする五郎と、それを阻む舞鶴が押しとどめます。
剛毅な若武者と優美な女方の対照を描きながら、勇ましさと華やかさが古風で大らかな曽我物の舞踊です。
朝比奈と舞鶴の違い
朝比奈は、物語の軸が荒武者同士の力とぶつかり合いにあります。
猿隈の隈取に釜髭という無骨な姿の朝比奈が、曽我五郎と鎧の草摺を引き合い、怪力同士の真っ向勝負を展開します。
さらに、そんな荒々しい外見のまま、女の切ない思いを踊り分ける場面があり、力強さい朝比奈が女性っぽいしおらしさをにじませるところが、この型ならではの面白みとなっています。
舞鶴でも、舞鶴は武に長けた女武者として描かれ、五郎との力比べは決して見せかけではありません。
力で押し止めきれぬと見るや、今度はしおらしく男女の情を語り、艶やかな女性らしさを前面に出して五郎を引き留めようとします。
力による力比べと、優美で情感豊かな踊りとを自在に行き来する点に、舞鶴型ならではの面白さがあります。
主な登場人物(正札附根元草摺)
あらすじの項目で触れましたが、近年では引き止める役が、小林朝比奈ではなく妹の舞鶴で構成されることが多いです。
曽我五郎(そが ごろう)
曽我兄弟の弟で、荒々しく血気盛んな若武者。
父の仇・工藤祐経を討つため、強い覚悟と執念を胸に秘めています。
小林朝比奈(こばやしあさひな)
怪力無双で名高い荒武者。
五郎の前に立ちはだかり、鎧の草摺をつかんで引き止める役どころです。
猿隈という独特の隈取をしていて、ピエロのようなおかしみがあります。
小林妹舞鶴(こばやしのいもうとまいづる)
五郎の行く手に立ちはだかる女武者。
兄・小林朝比奈に代わり、草摺をつかんで五郎を引き止める役どころです。
勇ましさの中に女性らしいしなやかさをあわせ持ち、
力比べの場面に優美さと緊張感の対比を生み出す存在として描かれます。
見どころ(正札附根元草摺)
それぞれの面白さの違い
小林朝比奈
力強い朝比奈が廓の女性っぽいしおらしさをにじませるところが、この型ならではの面白み。
小林妹舞鶴
力による力比べと、優美で情感豊かな踊りとを自在に行き来する点に、舞鶴ならではの面白さ
近年は舞鶴が出ることが多いですが、全般にわたる引き合いが見どころです。
引き事の縁起
「引き事」は、福を招く為に物を引き合って力競べをするもので
福を引き寄せるという「引き事」の代表作である『正札附根元草摺』は縁起の良さを感じさせます
そのほかの曽我物





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