歌舞伎観劇記『正札附根元草摺』初心者向けのあらすじ見どころ解説
2009年6月
建て替え前の歌舞伎座に別れを告げる「さよなら歌舞伎座」公演。
その舞台で上演された、尾上松緑・中村魁春による『正札附根元草摺』をDVDで鑑賞しました。
正札附根元草摺てどんな歌舞伎?
正札附根元草摺(しょうふだつき こんげんくさずり)と読みます。
通称は「草摺引(くさずりびき)」。
曽我兄弟の仇討物語をもとにした、正月によく上演される荒事の舞踊(所作事)。
今回の主役は弟の曽我五郎時致(そが ごろう ときむね)で、荒々しく血気盛んな若武者として描かれます。
仇討ちの機会に出遅れた五郎は、鎧を抱えて大急ぎで出発しようとしますが、
「まだ時期が早い」と立ちはだかるのが、小林朝比奈の妹・舞鶴です。
舞鶴は鎧の下に垂れた草摺(くさずり)をつかみ、力ずくで五郎を引き止めようとします。
しかし、武に長けた女武者とはいえ、さすがに力では五郎にかなわない。
そこで今度は一転して、しおらしく男女の情を語り、艶やかな女性らしさを前面に出して五郎を思いとどまらせようとします。
荒々しく突き進もうとする若武者・五郎と、
力と色香を使い分ける優美な女方・舞鶴。
その鮮やかな対照が見どころとなる、勇ましさと華やかさをあわせ持った、古風で大らかな曽我物の舞踊です。
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「草摺」とは?
「草摺」とは、武者が身にまとう鎧の下部にあたる部分で、前後左右に垂れ、ひらりと動くスカート状の防具のことです。
下半身を守る役割を持ちながら、馬に乗る際に邪魔にならないよう、開いたり揺れたりする構造になっています。
今回観たのは、小林朝比奈の妹・舞鶴が五郎を引き止める型ですが、
この演目には、兄の小林朝比奈が登場する別の型もあります。
その場合は、筋骨隆々の荒武者・小林朝比奈が相手役となり、怪力を活かして力ずくで五郎を止めようとしたかと思えば、一転して遊女のような色っぽい仕草で引き留めにかかるなど、荒事らしい豪快さの中に、思わず笑ってしまう滑稽味が加わります。
同じ筋立てでも、舞鶴が相手のときは優美さと情感、朝比奈が相手のときは力感とおかしみが際立つのも、この演目の大きな楽しみどころです。
正札附根元草摺の登場人物
曽我五郎時致(そがのごろう ときむね):尾上松緑
曽我兄弟の弟で、荒々しく血気盛んな若武者。
父の仇・工藤祐経を討つため、強い覚悟と執念を胸に秘めています。
小林妹舞鶴(こばやしのいもうとまいづる):中村魁春
兄・小林朝比奈に代わり、草摺をつかんで五郎を引き止める女武者。
勇ましさの中に女性らしいしなやかさをあわせ持っています。
正札附根元草摺を観ての感想
正札附根元草摺のみどころ
舞鶴ならではの舞踊
力による力比べと、優美で情感豊かな踊りとを自在に行き来する点に、舞鶴ならではの面白さ
近年は舞鶴が出ることが多いですが、全般にわたる引き合いが見どころです。

松緑さんの声も、腹に響いてたまらねぇんでござんす。



話がわかりやすいんで、初見の方にもおすすめでござんす。
鑑賞レーティング
総合満足度 ★★★★★★★☆☆☆
初心者おすすめ度 ★★★★★★★★☆☆
見どころの密度 ★★★★★★★★☆☆
心に残る度 ★★★★★★☆☆☆☆
再観たい度 ★★★★★★★★☆☆
「※評価は個人の好みが反映されています」
かぶしげオススメの席の選び方
舞台全体を観るなら中央7~9列目あたりいわゆる『とちり席』2階最前列『天覧席』
花道そばも◎
後半、時致が駆け出そうと花道が使われるのでご贔屓の役者さんがいらっしゃれば『花道脇』『どぶ席』もオススメ。







二十分ほどの一段でござんすから、肩肘張らずに観られやすな。
執筆時点の上演予定
南座歌舞伎鑑賞教室
公演期間
2026年5月15日(金)~24日(日)
劇場
南座
チケット発売日
2026年4月9日(木)発売予定
南座歌舞伎鑑賞教室の2幕目で上演されます。
配役
| 曽我五郎時致 | 片岡 千次郎 |
| 小林妹舞鶴 | 上村 吉太朗 |


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