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前回のブログでは大阪松竹座さよなら公演「御名残四月大歌舞伎」の
午後の部で観たい演目『菅原伝授手習鑑-寺子屋』のあらすじと見どころをお伝えしましたが
今回は午前の部で観たい演目の一つ!中村獅童さんが出られる『彦山権現誓助剱~毛谷村』
こちらの予習がてら、観てまいりましょう。
彦山権現誓助剱は、浄瑠璃を原作とする全十一段からなる敵討を題材にした長編の時代物です。
しかし通しで上演されることはほとんどなく、現在では九段目にあたる「毛谷村」の場を中心に、吉岡一味斎の娘・お園と毛谷村六助による仇討ちの物語として上演されるのが通例となっています。

歌舞伎ぁ通しでやると長ぇもんで、いい場面だけ抜き出して掛けるんだが、初めての人にゃちと不親切ってぇ話でさぁ。
キャラが立ってる登場人物が多いところが魅力の仇討物語ですね。



ズバリ先に申し上げておきやしょう!
かぶしげ的初心者さんへのおすすめ度は★4!
ちぃっとばかし予習しておきゃぁ万事OKでさぁ。
『彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)~毛谷村』のあらすじ
毛谷村までの簡単なあらすじ
長州藩の武芸師範を務めていた吉岡一味斎(いちみさい)は、試合の遺恨から京極内匠(きょうごくたくみ)に闇討ちされ、命を落とします。
敵討ちを許された妻と娘たちは内匠を追うが、妹娘のお菊は無残にも返り討ちに遭ってしまいます。
しかし、お菊の子である弥三松(やそまつ)だけは難を逃れ、毛谷村に住む百姓・六助に拾われる。
その六助、見た目は素朴ながら武芸にすぐれ、実はかつて一味斎から極意を授けられたほどの腕前でした。
折しも小倉藩は、
「六助と試合をして勝った者を五百石で召し抱える」
という高札を掲げています。
杉坂墓所の場(毛谷村といっしょに上演されることがある場)
母を亡くし、墓所で供養していた六助のもとに、耳の遠い老婆を連れた侍が現れます。
微塵弾正(みじんだんじょう)と名乗るその男は、母を養うため仕官したいと、手合わせでわざと負けてほしいと頼む。
その親孝行心に心を打たれ、六助は申し出を受け入れます。
毛谷村のあらすじ
六助と弾正の立ち合い
六助の家で六助(中村吉右衛門)と微塵弾正(中村歌昇)の試合が行われてる場面から始まります。
六助は約束どおり、わざと弾正に負けてやります。
すると弾正は態度を一変させ、横柄な振る舞いで六助の眉間を扇で打ち、傷を負わせます。
それでも六助は、親孝行の手助けができたことを喜び、笑顔で弾正を見送るのでした。



わざと負けてやって、傷を負わされても相手を思いやり、にこにことしてる、こりゃあ粋ないい男でさぁ。
そこへ、謎の老婆が休ませてほしいと言って現れました。
怪しみながらも六助は家の中へ通し、親切に応対します。すると老婆は「自分が母親になってやろう」と言い出しますが、六助は訳も分からぬまま、とりあえず奥で休んでもらうことにします。
そうこうしてると、弥三松(やそまつ)が遊びから帰ってきて、母が恋しいと泣くので、六助はやさしく寝かしつけてやります。



突然「母になってやろう」なんて言い出す婆さま、いったい何者だってんでぇ?
虚無僧の出
六助は家の前に弥三松の着物を干し、縁者が現れるのを待っていました。
そこへ虚無僧に扮した女が現れ、家来の仇!と六助に斬りかかります。
すると弥三松が飛び起きて、「おばさま!」と呼んで女にすがります。六助は子どもをあやしながら弥三松を預かった経緯を語り、名を名のった途端に。女はそれまでの勇ましさはどこへやら、「わたしゃお前の女房じゃ」と口走り、急にしおらしくなります。



次から次へと、急に母御やら女房やらが出来るたぁ、こりゃあ一体どうなってるんでござんしょう?
実は、その女の正体は、吉岡一味斎の娘・お園(中村福助)でした。
父は京極内匠に闇討ちにされ、妹のお菊とともに仇討ちの旅に出たのです。
しかし、そのお菊も内匠に返り討ちに遭い、六助が助けた幼子こそ、お菊の子・弥三松だったのでした。
そこへ先ほどの旅の老婆が現れ、一味斎の後室・お幸(中村吉之丞)であると身分を明かし、六助とお園が許嫁であることを告げます。
六助は、生前の師との約束を果たし、仇討ちに加わる決意を固め、お幸の仲立ちによって、お園と祝言を挙げるのでした。



あれこれ事実が明かされちまって、頭が追いつかねぇほどでさぁ!
そこへ杣(そま、木こり)の斧右衛門(中村 東蔵)が、母が何者かに殺されたとして、仲間とともに敵討ちを頼みにやって来ます。
六助がその亡き骸を見ると、それは、微塵弾正が「母」と言っていたあの老婆でした。
六助をだますために利用され、口封じのために殺されたのです。
さすがの六助も、これには激怒します。
さらに、お幸とお園の話から、微塵弾正こそが仇の京極内匠であると判明します。
六助たちは遺恨を晴らすべく身支度を整え、いよいよ出立するのでした。



めったに掛かりゃしませんが、この先に大詰めがござんして、九州平定を終えた太閤秀吉の小倉の本陣で、六助とお園らが、めでたく一味斎の敵を討つってぇお話でさぁ。
登場人物
毛谷村六助【けやむらろくすけ】:中村吉右衛門
豊前国英彦山の麓、毛谷村に暮らす青年。
かつて高良明神の使いと名乗る吉岡一味斎から剣術の奥義を授けられました。
孝行と忠義を重んじる、実直で心優しい人物です。
お園【おその】:中村福助
吉岡一味斎の長女。
大力で武術に秀でた「女武道」を代表する役柄でありながら、会ったこともない許嫁の六助を一途に想う、娘らしい一面も併せ持っています。
父を暗殺され、仇を求めて虚無僧姿で六助のもとを訪れ、六助が許嫁だと知ると、可憐な女性らしさを見せます。
吉岡一味斎【よしおかいちみさい】:この場では出ません
長門国・郡家の剣術指南役です。
妻のお幸との間に、長女お園、次女お菊、目の不自由な息子・三之丞がいます。
御前試合で京極内匠を打ち負かしたことから恨みを買い、内匠に短銃で闇討ちされます。
微塵弾正 実は 京極内匠【みじんだんじょう じつは きょうごくたくみ】:この場では出ません
微塵流の剣術の達人で、郡家のもう一人の剣術指南役でした。
一味斎を暗殺した後、名を変えて微塵弾正と名乗り、六助に勝ちを譲らせて、小倉藩の剣術指南役の座に収まります。
お菊【おきく】:この場では出ません
吉岡一味斎の次女。
郡家の家老・衣川弥三左衛門の息子、弥三郎と人目を忍ぶ仲となり、弥三松という子をもうけます。
父の仇を求めて旅に出ますが、途中で京極内匠に返り討ちにされます。
弥三松【やそまつ】:坂本達哉
お菊の子で、父は衣川弥三郎(郡家の家老の息子)です。
母とともに仇討ちの旅に出た末、流転の果てに偶然、六助に保護されます。
お幸【おこう】:中村 吉之丞
吉岡一味斎の後室(未亡人)です。
身分を隠して六助のもとを訪れ、物語の要所で真実を明かし、六助とお園の縁を取り持ちます。
斧右衛門【おのえもん】:中村 東蔵
毛谷村の杣(そま/木こり)です。
母が殺されているのを見つけ、六助のもとへ敵討ちを頼みにやって来ます。
毛谷村を観て
当たり役など
当たり役
見どころ
お園の「女武道」と娘心
武術に秀でたお園は、豪快な立廻りで舞台を引き締める一方、
許嫁と言われていた六助だとわかったとたん、かわいい女子になってしまいます
勇ましさとやさしさ、その対比がこの役の大きな魅力です。
毛谷村六助という人物
おだやかで人の心のわかる優しく、素朴で実直な六助
親孝行と忠義を重んじ、傷つけられてもなお人を信じるその姿が、心が清くなる気持ちがします。
「毛谷村」の場の名場面
急に母になるという老婆がきたり、切りかかったかと思うと急に嫁になってみたりと展開が早くて楽しい場面がいっぱいでした。
鑑賞レーティング
総合満足度 ★★★★★★★★☆☆
初心者おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
見どころの密度 ★★★★★★★☆☆☆
心に残る度 ★★★★★★★☆☆☆
再観たい度 ★★★★★★★★☆☆
※評価は個人の好みが反映されています
かぶしげオススメの席の選び方
舞台全体を観るなら中央7~9列目あたりいわゆる『とちり席』2階最前列『天覧席』
花道付近の席
微塵弾正の引っ込み、お園お幸の出くらいなので、贔屓の歌舞伎役者さんが通られるようならいいかもしれませんが個人的には中央付近がおすすめ!
最初は登場人物や出来事がバラバラに出てきて、
「これ、どうなるんだろう?」って思いながら観ていました。
でも話が進むうちに、ひとつひとつがちゃんとつながっていって、
最後に「なるほど、そういうことか」と腑に落ちる感じがして、すごく気持ちよかったです。



中村獅童さんが、どんな六助を見せてくれるのか、今から楽しみでさぁ!
近々、毛谷村が見られるのはこちら
大阪松竹座で
大阪松竹座さよなら公演御名残四月大歌舞伎
2026年4月3日(金)~26日(日)






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