鬼一法眼三略巻『菊畑(きくばたけ)』 初心者向けのあらすじ見どころ解説

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鬼一法眼三略巻『菊畑(きくばたけ)』 の名場面

2007年4月
中村信二郎改め 二代目中村錦之助襲名披露四月大歌舞伎での
鬼一法眼三略巻『菊畑(きくばたけ)』を観たのであらすじと見どころをご紹介。

目次

鬼一法眼三略巻『菊畑』とは?

『菊畑』ってどんな歌舞伎?

文耕堂と長谷川千四の合作による全五段の時代浄瑠璃『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』は、のちに歌舞伎へと移入された作品です。
その三段目にあたるのが「菊畑」です。

初段と二段目では、鬼若丸――のちの武蔵坊弁慶――の出生から幼少期までが描かれ、豪胆で奇想天外な展開が繰り広げられます。
そうした前段を経て、物語は三段目「菊畑」へと移ります。
菊畑」は、美しい情景の中に忠義、策略、恋心が織り込まれた見どころ豊かな場面。
華やかさの裏に秘められた緊張感と、若き義経の未来を予感させるドラマが凝縮された名場面です。

江戸っ子ってぇやつぁ、みんな牛若丸が大好きでさぁ。

上演時間はどれくらい?

『菊畑』の上演時間は、
約1時間前後が目安です。

上演形態(通し上演か、舞踊としての上演か)や配役によって多少前後します

ざっくりあらすじ

「菊畑」は、満開の菊が咲き誇る庭園を舞台に、若き牛若丸(源義経)兵法の極意書「三略巻」を手に入れようとする物語の一幕です。

舞台は兵法学者・鬼一法眼の館
かつて源氏に仕えながら、今は平家方に属している吉岡鬼一のもとで、奴・智恵内(ちえない)として働く男の正体は、鬼一の弟・鬼三太
兄の真意を探りつつ、秘蔵の「三略巻」を奪おうとしています。
一方、牛若丸も虎蔵という奴に身をやつし、平家討伐の志を胸に機会をうかがっています。

鬼一の娘・皆鶴姫(みなづるひめ)は、身分を隠した虎蔵(牛若丸)に恋心を抱きますが、やがて彼の正体と大望を知ることに。
恋と忠義のはざまで揺れる皆鶴姫の心情も、この場の大きな見どころです。

※奴は武家の中間(ちゅうげん)や下僕を指します

菊畑までのあらすじは文末で書いてますのでご興味ある方はぜひご覧ください。

鬼一法眼三略巻『菊畑』の主な登場人物

吉岡鬼一法眼(よしおかきいちほうげん):中村富十郎

法眼とは、剣術をはじめ兵法全般を指南する立場を指します。
吉岡家は源義朝の代まで源氏に仕えた兵法の家で、鬼一は三兄弟の長男にあたる当主。
父の遺言により家名を守りつつ、源氏の血を引き将器を備えた人物に秘伝の兵法書『六韜三略(りくとうさんりゃく)』の虎の巻を授ける使命を担っています。
そのため、現在はあえて平家に従う立場を取っていますが、その胸中には源氏再興への思いが秘められています。

虎蔵(とらぞう)実は牛若丸(うしわかまる):中村錦之助

源義朝の八男、のちの源義経
鞍馬山で修行中、大天狗・僧正坊(その正体は鬼一)から剣術を授けられました。
源氏再興の志を抱き、『六韜三略』虎の巻を得るため、変名を使い鬼三太とともに鬼一の館へ下男として潜入します。
その正体を知らぬ鬼一の娘・皆鶴姫から想いを寄せられます。

智恵内(ちえない)実は鬼三太(きさんだ):中村吉右衛門

鬼一の末弟。
次兄・鬼次郎とともに熊野の山奥で密かに育てられたため、長兄・鬼一の顔も知らずに育ちました。
牛若丸に従い、鬼一が真に源氏に味方する人物かを見極めるため、智恵内と名乗り下男として仕えています。
忠義と慎重さを併せ持つ存在です。

皆鶴姫(みなづるひめ):中村時蔵

鬼一の娘。
女性ながら剣術に秀で、清盛の御前試合で父の弟子・堪海を破るほどの腕前を持ちます。
ふとしたきっかけで虎蔵の正体が牛若丸であると知りますが、それでもなお彼への想いを貫こうとします。
恋と家の立場との間で揺れる心情が、この場の大きな見どころです。

歌舞伎『菊畑』を観ての感想

「菊畑」は、とにかく“静かな火花”が散っている場面だなと思います。

まず面白いのが、正体を隠す人物たちの駆け引き。
虎蔵=牛若丸、智恵内=鬼三太。
しかも鬼一はそれにうすうす気づいている。
全員が本音を隠したまま会話しているから、言葉の裏を探りながら観る感じがたまらないです。
「分かっているけど、まだ言わない」という緊張感がずっと続いていて、派手な立廻りがなくても舞台がピリッと張りつめています。
こういう心理の応酬が、歌舞伎の醍醐味だなと感じます。

そしてやっぱり見どころは、虎の巻をめぐる鬼一法眼と牛若丸の対峙。
鬼一は本当に平家の味方なのか、それとも源氏の再興を願っているのか。
牛若丸はまだ若いけれど、その目の奥にある覚悟が試されているように感じます。
単なる兵法書の受け渡しではなく、「この若者に未来を託せるか」という魂の見極めの場なんですよね。

歌舞伎『菊畑』のみどころ

鬼一法眼と牛若丸の緊張感ある対峙

兵法の奥義書「六韜三略」の虎の巻をめぐり、鬼一法眼と牛若丸が対峙します
鬼一は真に源氏再興を託せる人物かを見極め、牛若丸は大志と覚悟を示す。
静かな中にも火花が散る心理戦が最大の見せ場です。

正体を隠す人物たちの駆け引き

虎蔵=牛若丸、智恵内=鬼三太と、身分を隠して潜む人物たち。
誰が味方で誰が敵か、緊張感ある構図が物語を引き締めます。
正体を明かす瞬間の演技や間も大きな見せ場です。

浄瑠璃の重厚さと歌舞伎の華やかさ

原作は時代浄瑠璃ですが、歌舞伎では見得や立廻り、衣裳の美しさが加わり、より視覚的な魅力が際立ちます。
重厚な物語性と華やかな演劇性が融合した名場面です。

鑑賞レーティング

総合満足度 ★★★★★★★★☆☆
初心者おすすめ度 ★★★★★★★★☆☆
見どころの密度 ★★★★★★★★☆☆
心に残る度 ★★★★★★★★★☆
再観たい度 ★★★★★★★★☆☆

「※評価は個人の好みが反映されています」

かぶしげオススメの席の選び方

舞台全体を観るなら中央7~9列目あたりいわゆる『とちり席』2階最前列『天覧席』
舞台全体が眺められる2階最前列『天覧席』が特にオススメ

かぶりつきもおすすめ◎

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菊畑の幕まであらすじ

源頼朝・義経の父である源義朝が平清盛に討たれてから十数年――。
少年・牛若丸は鞍馬山で修行の日々を送り、天狗に武術を授けられて成長します。
その天狗の正体こそ、吉岡鬼一法眼でした。

かつて源氏の家来であった鬼一とその父は、源氏の行く末を案じます。
父は「将来、源氏に大将の器を持つ者が現れたなら、秘伝の兵法書『六韜三略』の虎の巻を授けよ」と遺言。
家名を守るため鬼一はあえて平清盛に仕え、弟の鬼次郎・鬼三太は熊野の奥山へと預けられます。

やがて十六歳となった牛若丸(義経)は、源氏再興の志を抱き、鬼三太とともに都へ
狙いは鬼一が所蔵する「虎の巻」です。
しかし鬼一はいまや清盛の家来。味方となるかどうかは分かりません。

そこで二人は身分を偽り、虎蔵(牛若丸)、智恵内(鬼三太)と名乗って吉岡家に奉公人として潜入します。
鬼一は二人の正体にうすうす気づきながらも、あえて様子を見守っています。

奉公のうちに、鬼一の娘・皆鶴姫は虎蔵に心を寄せるようになります。
そんな折、皆鶴姫は清盛からの呼び出しを受け、牛若丸は草履取として同行します。
用件は「虎の巻を差し出せ」という命令でした。

さらに皆鶴姫は重盛のもとへ赴き、この命令を父へ直接伝えるよう指図されます。
そして虎蔵を先に帰らせたことで、物語はいよいよ三段目「菊畑」へ――。

ここから、虎の巻をめぐる鬼一と牛若丸の真意の探り合い、そして皆鶴姫の恋と決意が交錯する緊迫の場面が幕を開けます。

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