平成26年3月に歌舞伎座で上演された
『身替座禅』を観ました。
歌舞伎『身替座禅(みがわりざぜん)』ってどんな歌舞伎?
『身替座禅(みがわりざぜん)』は、能狂言「花子(はなご)」をもとに創作された舞踊劇です。
能や狂言を原作とする演目は松羽目物(まつばめもの)と呼ばれ、 舞台背景に能舞台を模した大きな松が描かれているのが大きな特徴で、様式美を重んじた演出が魅力です。
あらすじ
山蔭右京は、大の恐妻家でありながら、筋金入りの浮気性。
かつて美濃国で出会った花子から「ぜひもう一度お会いしたい」と文が届き、何とかして逢瀬を叶えようと必死に思案します。
玉の井に「仏詣に出かけたい」と願い出ますが、あっさり却下。
そこで右京は、せめて屋敷内の持仏堂で一晩座禅を組みたいと懇願します。
疑い深い玉の井も、渋々ながら“一晩だけ”という条件付きで許しを与えます。
ところが右京の狙いは別にありました。
家来の太郎冠者を自分の身替りとして座禅させ、自分はこっそり花子のもとへ向かおうという魂胆です。
こうして右京は、逢瀬を楽しみにいそいそと屋敷を抜け出しますが――
果たしてその企てはうまくいくのでしょうか。
歌舞伎『身替座禅』の登場人物
山蔭右京(やまかげ うきょう):七代目尾上菊五郎
大名。
大の恐妻家でありながら浮気性という、なんとも人間くさい主人公。
花子との逢瀬を叶えるため、家来を身替りに仕立てるという大胆(?)な策に出ます。
威厳と情けなさのギャップが見どころ。
奥方玉の井(たまのい):中村吉右衛門
右京の正妻。
気品を備えつつも嫉妬深く、それも夫を愛するがゆえ。
物語の緊張感を生み出すキーパーソンで、怒りの場面では舞台の空気を一変させます。
太郎冠者(たろうかじゃ):中村又五郎
右京の家来。
主人の命令で身替りとなり、持仏堂で座禅を組まされる羽目に。
板挟みにあいながらも必死に取り繕う姿が滑稽で、狂言味あふれる役どころです。
侍女千枝:中村壱太郎
侍女小枝:尾上右近
『身替座禅』を観ての感想
普段は女形を演じない立役の役者が玉の井を勤めるのも見どころの一つ。
怒れば恐ろしく、それでいて夫を一途に思う妻という役どころを、男性が演じるというギャップが独特の面白さを生み出します。
もとが狂言なので、登場人物が客席に向かってこれから起こそうとしていることや、自分の思惑を語って聞かせる場面があります。
いわば“種明かし”をしながら物語が進むため、状況がとても分かりやすいのも魅力のひとつ。
初めて観る人でも筋を追いやすく、笑いどころもはっきり伝わります。
身替座禅のみどころ
太郎冠者の“身替り”奮闘
主人の代わりに座禅を組まされる太郎冠者。
玉の井に問い詰められながら、何とかごまかそうとするやり取りは狂言由来ならではの軽妙さ。
間(ま)や表情、細やかな所作が笑いを生みます。
太郎冠者と入れ替わってる玉の井
座禅衾の中が奥方と入れ替わってるとも知らず、のろける右京と座禅衾をとった後の玉の井、右京の表情がおかしくってたまりません。

気の強ぇ女房ながら、右京への惚れっぷりを隠さねぇ玉の井、そのあたりがまた可愛げでござんす。
松羽目物ならではの様式美
背景に大きな松を描いた能舞台風の装置。
写実的な芝居というよりも、型・動き・音楽で見せる世界観が魅力です。狂言のユーモアと歌舞伎舞踊の美しさが融合した作品といえます。
また、最初は常磐津だけですが奥方と入れ替わると後ろの幕が上がり長唄が加わり華やかに盛り上げます。
鑑賞レーティング
総合満足度 ★★★★★★★★★☆
初心者おすすめ度 ★★★★★★★★☆☆
見どころの密度 ★★★★★★★★☆☆
心に残る度 ★★★★★★★☆☆☆
再観たい度 ★★★★★★★★☆☆
「※評価は個人の好みが反映されています」
かぶしげオススメの席の選び方
舞台全体を観るなら中央7~9列目あたりいわゆる『とちり席』2階最前列『天覧席』
花道そばも◎
右京が花道で舞踊を披露する時間も多く後半の千鳥足も見どころで、ご贔屓の役者さんがいらっしゃれば『花道脇』『どぶ席』もオススメ。





狂言ゆかりの歌舞伎ぁ、初めての方でも安心して楽しめやす。


執筆時点の上演情報
四国こんぴら歌舞伎大芝居
旧金毘羅大芝居(金丸座)で上演予定です。
2月16日(月)チケット発売予定
2026年4月10日(金)~26日(日)
第一部 午前11時~
第二部 午後3時~
【休演】16日(木)




コメント