尾上右近(おのえうこん)プロフィール完全解説|家系図・清元栄寿太夫との二刀流・研の會2026年完結まで

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歌舞伎役者でありながら、清元節(きよもとぶし)の太夫(たゆう、語り手)としても舞台に立つ——そんな異色の「二刀流」を貫いているのが尾上右近(おのえ うこん)です。
2026年には大河ドラマ出演や自主公演「研の會」の完結など、大きな節目が重なりました。

この記事では、尾上右近の家系図・経歴から、清元の太夫としての活動、自主公演「研の會」、そして映像作品での活躍まで、まとめて解説します。
これから尾上右近を追いかけたい方にも分かりやすいよう、経歴の背景や周辺情報もあわせて紹介していきます。

目次

尾上右近 プロフィール・家系図

本名岡村研佑(おかむら けんすけ)
生年月日1992年5月28日
出身東京都世田谷区
屋号音羽屋
襲名2005年1月、新橋演舞場にて二代目尾上右近を襲名

尾上右近の家系は、三つの異なる芸能の血筋が交わっているのが特徴です。
曽祖父は昭和を代表する名優・六代目尾上菊五郎(音羽屋の当主)。
父は歌舞伎役者ではなく、清元節の家元七代目清元延寿太夫(きよもとえんじゅだゆう)という、浄瑠璃の宗家筋にあたります。
さらに母方の祖父は、昭和の銀幕スターとして知られる俳優・鶴田浩二です。

2000年、歌舞伎座『舞鶴雪月花』で本名「岡村研佑」として初舞台を踏み、2005年1月、新橋演舞場で二代目尾上右近を襲名しました。
役者としての師匠は尾上菊五郎(音羽屋当主)で、歌舞伎役者としての芸を受け継いでいます。
なお、父の従兄弟にあたる十八代目中村勘三郎も、初舞台の縁に関わった人物として知られています。

3歳のとき、祖母の家で曽祖父・六代目尾上菊五郎の舞台を収めた記録映画『鏡獅子(かがみじし)』(小津安二郎監督)を見たことが、役者を志す原点になったと伝えられています。
幼い頃から舞踊の才を高く評価され、立役・女方の両方をこなす芸域の広さも大きな魅力です。

二刀流|歌舞伎役者と清元栄寿太夫、二つの名前を持つ理由

尾上右近最大の特徴は、歌舞伎役者でありながら、清元節の太夫としても舞台に立っていることです。

2018年2月、歌舞伎座で「六代目清元延寿太夫三十三回忌追善」を兼ねた興行にて、七代目清元栄寿太夫(きよもとえいじゅだゆう)を襲名。
同時に、実の兄である清元昂洋も三味線方として初代清元斎寿を襲名し、親子三人が同じ舞台に揃う共演が実現しました。
同年11月には『十六夜清心』で、清元の太夫として初めてお目見えしています。

歌舞伎役者が、下座音楽を担う清元の太夫を正式に兼務するのは前例のないことで、恩師である七代目尾上菊五郎がこの兼務を後押ししたことが実現の鍵になったといわれています。
本人は七代目菊五郎について「最高の恩人」と語っており、役者と太夫という二つの芸を、恩師の理解のもとで両立させてきました。

歌舞伎の舞台に役者として立ちながら、清元の演奏会「延寿会」などでは太夫として語りを務める——歌舞伎400年の歴史の中でも極めて珍しい、二つの顔を持つ役者です。

清元節は、歌舞伎の下座音楽・出語りに欠かせない三味線音楽の一流派で、繊細で色気のある表現を得意とすることで知られています。
役者自身が、演奏する側の内側の呼吸まで理解しているというのは、他の役者にはない大きな強みです。
実際、清元の太夫としての経験が、舞踊の間合いや台詞回しの呼吸感にも生きているといわれています。

スーパー歌舞伎II『ワンピース』での代役

尾上右近の名前を広く知らしめた出来事のひとつが、スーパー歌舞伎II『ワンピース』での代役です。
2017年10月、主演の市川猿之助が公演中に左腕を骨折する事故に見舞われ、翌日以降の公演は尾上右近がルフィ・ハンコック役を引き継ぐことになりました。

実はこの公演には、若手俳優を中心とした特別マチネ「麦わらの挑戦」が別途企画されており、尾上右近はそこで既にルフィ・ハンコック役を演じる予定になっていました。
そのため、不測の事態にもかかわらず、大役を一夜にして通常公演でも任されながら舞台を務め上げ、当時大きな話題となりました。
立役・女方どちらも演じ分けられる芸域の広さと、急な代役にも動じない対応力を証明した出来事だったといえます。

「研の會」|10年続けた自主公演、2026年に完結

尾上右近は2015年8月、23歳のときに自主公演「研の會(けんのかい)」をスタートさせました。
「自主公演をやるなら10回は続けないと」という先輩役者からの助言を受け、市川猿之助の「亀治郎の会」や尾上松也の「挑む」といった、いずれも10回で完結した先例にならう形での船出でした。

そして2026年、ついに第十回「研の會」FINALを迎えることになりました。
記者会見では、23歳当時の自分に宛てた手紙を朗読し、「ラストはひとりで終えたいという気持ちが大きかったので、イメージ通りになりました」とコメント。
「年齢と経験を重ねて責任ある立場になると、その立場らしい振る舞いになってしまう」ことを見据え、初心に立ち返る「むきだしの自分」を見せる場として、あえて節目の完結を選んだことを明かしています。

「研の會」の詳しい演目・日程・チケット情報は、尾上右近自主公演 第十回「研の會」FINALの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

舞台以外の活躍|大河ドラマから映画まで

尾上右近は、歌舞伎の舞台にとどまらず、映画やテレビドラマでも幅広く活躍しています。

2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では孝明天皇役を、映画『燃えよ剣』(2021年)では松平容保役を演じ、この松平容保役で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。
2026年1月からのNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』では、室町幕府最後の将軍・足利義昭役を演じています。
ほかにも映画『わたしの幸せな結婚』(2023年)、『身代わり忠臣蔵』(2024年)、『八犬伝』(2024年)など、時代劇を中心に映像作品への出演を重ねています。

ラジオ番組『KABUKI TUNE』(NHK-FM)のパーソナリティーを2018年から務めるなど、歌舞伎の魅力を発信する活動にも積極的です。
2021年には情報番組『めざまし8』の月曜スペシャルキャスターを1年間務めるなど、歌舞伎の枠を超えたメディア露出も目立ちます。

『KABUKI TUNE』では、歌舞伎初心者にも分かりやすい語り口で演目の見どころや役者の素顔を紹介しており、歌舞伎ファンの裾野を広げる役割も担っています。
こうしたメディア露出は、歌舞伎座に足を運んだことのない層に「まず知ってもらう」入り口としても機能しており、伝統芸能の担い手でありながら、その魅力を外部に発信する橋渡し役も果たしているといえます。

特に2022年、第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したことは、歌舞伎役者としての評価に加えて、映像俳優としての実力も広く認められた出来事でした。
時代劇を中心とした役柄を得意としながらも、現代劇や情報番組など幅広いジャンルに挑戦を続けています。

受賞歴

  • 2018年2月:松尾芸能賞新人賞
  • 2022年:第45回日本アカデミー賞新人俳優賞(映画『燃えよ剣』)
  • 2023年10月:重要無形文化財(総合認定)保持者として認定、伝統歌舞伎保存会会員に
  • 2026年2月:第33回読売演劇大賞 杉村春子賞
  • 2026年3月:第76回文化庁芸術選奨 文部科学大臣新人賞(演劇部門)

ほかにも国立劇場奨励賞・国立劇場優秀賞など、若手時代から数々の賞を重ねてきました。
2026年に入ってからも大きな賞を立て続けに受賞しており、実力が正当に評価され続けていることがうかがえます。

読売演劇大賞の杉村春子賞は、その年に最も優れた成果を挙げた新人俳優に贈られる賞で、演劇界における登竜門的な位置づけとして知られています。
また文化庁芸術選奨は、舞台芸術・映像・音楽など各分野で顕著な業績を上げた人物に贈られる国の顕彰制度であり、歌舞伎役者としてだけでなく、映像作品も含めた活動全体が総合的に評価された結果といえます。
一年のうちに演劇界と国の双方から新人賞を受けたことは、尾上右近のキャリアにおいて大きな転機になったといえるでしょう。

人柄・素顔

「舞台ってものすごく楽しい。もう、天国なんですよ」という発言に象徴されるように、舞台への情熱を率直に語る姿が多くのインタビューで見られます。
「面白いことに対する興味と情熱と信じる力があれば、突き進んでいける」と語るなど、まっすぐな向上心も魅力のひとつです。
取材では、幼少期に見た曽祖父・六代目尾上菊五郎の映像から受けた衝撃を今も鮮明に覚えていると話しており、原点を大切にする姿勢が随所ににじみます。

趣味は絵を描くこと・観ることや歌うことで、堀越高等学校の出身。
役者・清元の太夫という二足のわらじを履きながらも、常に「初心」を大切にする姿勢が、多くのファンから支持される理由になっています。
SNSやインタビューでは、稽古や公演の裏側を丁寧に発信することも多く、ファンとの距離が近い役者としても知られています。

師匠である十八代目中村勘三郎から受け取った「歌舞伎が好き」という気持ちを面白がってもらえた経験は、今も尾上右近自身の役者観の土台になっているようです。
役者としての実力はもちろん、清元の太夫としての鍛錬も並行して続けているからこそ、舞踊や音楽への理解の深さが、演技そのものにも表れているといわれています。

同世代の役者との交流にも積極的で、市川猿之助や尾上松也など、若手時代をともに歩んできた役者たちとの共演・交流のエピソードもたびたびメディアで語られています。
スーパー歌舞伎II『ワンピース』での代役も、こうした日頃の役者同士の信頼関係があったからこそ実現したものだといえるでしょう。
稽古熱心なことでも知られ、本番前の舞台裏では最後まで所作を確認し続ける姿がたびたび目撃されているといいます。

まとめ|二つの芸を極める稀有な役者

  • 尾上右近は、曽祖父・六代目尾上菊五郎、父・清元延寿太夫、母方の祖父・鶴田浩二という異色の家系に生まれた役者
  • 2005年に二代目尾上右近を襲名し、2018年には七代目清元栄寿太夫も襲名
  • 歌舞伎役者と清元の太夫を兼ねる、前例のない「二刀流」を実践している
  • 2015年に始めた自主公演「研の會」は、2026年の第十回で完結
  • 大河ドラマや映画でも活躍し、日本アカデミー賞新人俳優賞など受賞歴多数

歌舞伎役者としても、清元の太夫としても、それぞれ本気で芸を極めようとする姿勢が、尾上右近という役者の一番の魅力です。
これからも二つの顔を持つ稀有な存在として、長く活躍が期待されます。
「研の會」という一つの節目を終えたことで、今後は歌舞伎座や国立劇場の本興行、そして清元の太夫としての活動に、これまで以上に力を注いでいくものと考えられます。

よくある質問(FAQ)

尾上右近の父親は歌舞伎役者ですか?

いいえ、父は歌舞伎役者ではなく、清元節の家元・七代目清元延寿太夫です。
曽祖父にあたる六代目尾上菊五郎が、音羽屋の歌舞伎役者としての血筋にあたります。

「清元栄寿太夫」とはどういう役割ですか?

清元節という歌舞伎の伴奏音楽における、語り手(太夫)の名跡です。
尾上右近は2018年に七代目清元栄寿太夫を襲名し、歌舞伎役者と清元の太夫を兼務する、前例のない「二刀流」の活動をしています。

「研の會」はなぜ2026年で終わるのですか?

2015年の開始当初から「10回続ける」という目標を掲げていたためです。
本人は、責任ある立場になるほど失われがちな「むきだしの自分」を見せる場として、あえて節目での完結を選んだと語っています。

尾上右近はどんなドラマ・映画に出演していますか?

NHK大河ドラマ『青天を衝け』『豊臣兄弟!』、映画『燃えよ剣』『わたしの幸せな結婚』などに出演しています。
『燃えよ剣』の松平容保役では、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。

尾上右近は立役・女方どちらが専門ですか?

どちらか一方に限定せず、立役・女方の両方をこなす芸域の広さが特徴です。
幼い頃から舞踊の才能を高く評価されており、『春興鏡獅子』のような大曲でも活躍しています。

屋号「音羽屋」とはどういう意味ですか?

音羽屋は、尾上菊五郎家をはじめとする尾上姓の役者が代々名乗ってきた屋号です。
尾上右近も曽祖父・六代目尾上菊五郎の血筋にあたることから、音羽屋を名乗っています。

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