山帰強桔梗(やまがえりまけぬききょう)とは?あらすじ解説|歌舞伎座 錦秋十月大歌舞伎で23年ぶり上演

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山帰強桔梗

2026年10月の歌舞伎座『錦秋十月大歌舞伎』の演目に、見慣れない「山帰強桔梗」という名前を見つけた方も多いのではないでしょうか。
23年ぶりの上演ということもあり、詳しい内容を知らない方も多いはずです。

本記事では、山帰強桔梗の読み方・由来・あらすじを、わかりやすく解説します。

目次

山帰強桔梗とは?読み方と概要

「山帰強桔梗」は「やまがえりまけぬききょう」と読みます。
通称は「山帰り(やまがえり)」で、こちらの略称で呼ばれることの方が一般的です。

清元(きよもと)を伴奏とする歌舞伎舞踊で、1823年(文政6)8月、江戸・森田座で三世坂東三津五郎が初演しました。
七代目森田勘弥の五十回忌追善興行として上演された、五つの変化舞踊から成る演目『法花姿色同(のりのはなすがたのいろいろ)』のうちの一節にあたります。
作詞は二代目桜田治助、作曲は初代清元斎兵衛、振付は藤間大助(のちの二代目藤間勘十郎)が手がけました。

以来、坂東三津五郎家(大和屋)の芸として代々受け継がれてきた舞踊です。
一曲の中で異なる魅力を見せる変化舞踊は他にもあり、例えば『英執着獅子』も同様に踊り分けの妙が見どころの一曲です。

歌舞伎舞踊全般の基礎知識を先に押さえておきたい方は、以下の記事もご参考にしてください。

由来|大山詣りを描いた清元舞踊

山帰りが描くのは、相模国・大山(おおやま)の石尊大権現(現在の大山阿夫利神社)へお参りをした、江戸の仕事師(鳶の者)の帰り道の姿です。

大山は江戸時代、現世利益の神として庶民の信仰を集め、特に旧暦6月27日から7月17日は奥の院への参詣が許されて大いに賑わいました。
大山詣りは信仰だけでなく、藤沢や江の島など近郊での遊興、さらには借金の催促を逃れる口実としての側面もあったと伝わり、仕事師などが多く参詣したといわれています。
参拝者が「奉納大山石尊大権現」と記した木太刀(きだち)を担いで山へ向かい、お参りを終えると納めてくるという風習でも知られ、本作にも木太刀や梵天(ぼんてん)、わら細工のらっぱといった小道具が登場します。

2009年、題材の地・大山阿夫利神社での初奉納

2009年9月16日・17日には、十代目坂東三津五郎が題材の地である大山阿夫利神社の能楽殿で「山帰り」を奉納しました。
三世坂東三津五郎の初演以来、坂東流のお家芸として代々受け継がれてきた「山帰り」ですが、その舞台となった大山阿夫利神社での奉納舞踊はこれが初めてのことでした。
当日は落語家・林家正蔵による奉納落語「大山詣り」の口演や、大山阿夫利神社宮司・書家との座談会もあわせて行われ、三津五郎の舞踊には「大和屋!」の掛け声とともに大きな拍手が贈られたと伝えられています。

あらすじ・内容|いなせな仕事師の自嘲と粋

物語は、梵天を担いだいなせな仕事師の登場から始まります。
格好いい江戸の男の姿を見せるのかと思いきや、実際に語られるのは自らの間抜けぶりです。

博打に負けたうえにひどい女を買わされたこと、馴染みの女郎の移転先をようやく訪ねたのに、他の女の名前を彫った腕の彫り物を消していなかったために振られてしまったこと——そんな失敗談を、仕事師は自嘲気味に語ります。
土産に買った麦わらのラッパを煙管(きせる)や遠めがねに見立てて踊る振りや、梵天を使った踊りも見どころです。
最後は「江戸っ子はさっぱりしていて、ものごとに執着しないものだ」と言って幕となります。

タイトルの意味|「強桔梗」に込められた江戸っ子気質

タイトルの「強桔梗(まけぬききょう)」は、失敗談を語りながらも執着せずさっぱりとした江戸っ子のちょっとした強がりや潔さに、桔梗の凛とした佇まいを重ねたものと考えられます。
江戸っ子の魅力が感じられる、粋な命名といえるでしょう。

2026年10月、23年ぶりの上演

山帰強桔梗は、2026年10月2日(金)〜20日(火)、歌舞伎座『錦秋十月大歌舞伎』第二部で上演されます。
2003年に歌舞伎座で十代目坂東三津五郎が勤めて以来、実に23年ぶりの上演です。

今回は、十代目三津五郎の長男である坂東巳之助が、山帰り大吉役を洒脱に踊ります。
坂東三津五郎家に代々伝わる芸を、父の急逝後に家元を継いだ息子が受け継ぐ舞台としても注目されます。

坂東巳之助のプロフィールについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

まとめ

山帰強桔梗(山帰り)は、大山詣りを終えた江戸っ子の帰り道を、失敗談を交えながら粋に描いた清元舞踊です。
木太刀や梵天といった小道具、さっぱりとした江戸っ子気質を表す幕切れなど、江戸の風俗が凝縮された一曲です。
2026年10月の歌舞伎座では23年ぶりの上演となり、坂東巳之助が家の芸を受け継ぎます。

よくある質問(FAQ)

山帰強桔梗はどう読みますか?

「やまがえりまけぬききょう」と読みます。
通称「山帰り(やまがえり)」の方が一般的に使われます。

どんな内容の演目ですか?

相模・大山への参詣を終えた江戸の仕事師が、帰り道で博打や女に振られた失敗談を自嘲しながら踊る清元舞踊です。
最後は江戸っ子らしいさっぱりとした幕切れになります。

いつ、どこで上演されますか?

2026年10月2日(金)〜20日(火)、歌舞伎座『錦秋十月大歌舞伎』第二部で上演されます。
2003年以来23年ぶりの上演で、坂東巳之助が勤めます。

歌舞伎初心者でも楽しめますか?

はい。
失敗談を自嘲する軽妙な内容で、深刻なストーリーを追う演目ではないため、予備知識がなくても楽しめます。

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