金丸座で味わう、春だけの特別な歌舞伎体験
春の琴平に、芝居の熱が戻ってきます。
日本最古の芝居小屋・旧金毘羅大芝居(金丸座)で上演される「四国こんぴら歌舞伎大芝居」。
2026年の演目は、
近松の人情、狂言由来の喜劇、嫉妬と情念の時代物、そして幻想的な舞踊――
歌舞伎の魅力を幅広く味わえる充実の構成となっています。
観劇前に押さえておきたい、今年の演目と見どころをわかりやすく紹介します。
第一部(午前の部)の演目
『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)— 土佐将監閑居の場 —
あらすじ
不遇の絵師・浮世又平は、吃音(どもり)を抱えながらも絵の道に励んでいます。
妻おとくはそんな夫をひたむきに支え続けています。
しかし土佐派の家督をめぐる事情が絡み、又平は思いがけない運命の局面へ――。
夫婦の情愛と家の因縁が交差する、近松門左衛門の名作の一幕です。
観るポイント
又平のどもりの芝居(滑稽さと切なさの同居)
妻おとくの深い愛情
幻想的な余韻を残す演出
又平はどこか可笑しく、それでいて胸が締めつけられる人物。
「笑っていいのか、泣いていいのか」迷う感覚こそ、この作品の醍醐味です。
金丸座の濃密な空間では、細やかな表情の変化がより鮮明に伝わります。
身替座禅
あらすじ
浮気心を起こした大名・山蔭右京は、家臣の太郎冠者を身替わりに立て、「座禅修行中」と偽って外出しようとします。
ところが嫉妬深い奥方・玉の井が現れ、事態は思わぬ方向へ。
嘘が嘘を呼ぶ、軽妙な騒動劇です。
観るポイント
✔右京の情けなさと愛嬌
✔太郎冠者のとぼけた間
✔奥方玉の井の迫力と可笑しみ
狂言由来の作品だけに、言葉のやりとりと“間”が命。
難しい背景知識はなくても大丈夫です。
テンポのよい会話劇を、素直に楽しみましょう。

第一部は、しみじみとした人情と軽妙な笑いのコントラストが魅力です。
第二部(午後の部)
『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 三笠山御殿』
あらすじ
杉酒屋の娘・お三輪は、恋する求女を追って三笠山御殿へ向かいます。
しかしそこは、政争と陰謀が渦巻く緊迫の場。
純真な恋心は、やがて嫉妬へと姿を変え、
お三輪は自らも気づかぬうちに大きな運命の渦へ巻き込まれていきます。
観るポイント
✔お三輪の感情の激変
✔ 鱶七の豪快で謎めいた存在感
✔ 御殿の張り詰めた空気
この場面の最大の見どころは、お三輪の心の爆発。
純粋な恋が嫉妬に転じる瞬間の迫力は、歌舞伎屈指の名場面です。
金丸座の近さは、その緊張感をいっそう濃く体感させてくれるでしょう。
▶ 妹背山婦女庭訓ー三笠山御殿の詳しいあらすじ・人物相関はこちら

『鷺娘(さぎむすめ)』
あらすじ
恋に破れた娘は、その想いを抱えたまま鷺の精となります。
降りしきる雪の中、白無垢姿で舞う幻想的な舞踊。
物語を追うというよりも、情景と感情の流れを味わう作品です。
観るポイント
✔雪景色の美しさ
✔ 花道での優雅な舞
✔ 衣裳の引き抜き(早替り)
舞踊作品は「意味を理解しよう」とするより、音楽・衣裳・所作の美に身をゆだねるのがおすすめです。
金丸座の花道は距離が近く、女形の身体表現の繊細さが際立ちます。

今年の演目の特徴
2026年は、
- 人情味あふれる近松作品
- 軽妙な狂言物
- 情念が炸裂する時代物
- 格式ある舞踊
と、ジャンルのバランスが非常に良い年です。
初めての方も、通の方も、それぞれに楽しみどころがあります。

あっし個人としちゃあ、どっちかってぇと午前のほうが好みでさぁ!
初心者ならここに注目
- まずは『身替座禅』で歌舞伎の笑いを体感
- 感情ドラマを味わうなら『三笠山御殿』
- 美を堪能するなら『鷺娘』
難しく考えすぎず、「人物の気持ち」に注目するだけで物語はぐっと近づきます。
2026年の四国こんぴら歌舞伎大芝居チケットについて
入場券のみのご購入はチケットホン松竹・チケットWeb松竹より2/16(月)より受付開始です。
席の種類がわかりにくいので一度こんぴら歌舞伎公式サイトで席種確認の上、ご購入をおすすめします。
金丸座で観るという特別
四国こんぴら歌舞伎大芝居の最大の魅力は、演目そのものだけではありません。
木造の芝居小屋。
役者との圧倒的な近さ。
花道を行き交う息づかい。
ここでは“舞台を観る”というより、“芝居小屋の空気を体験する”のです。
春の琴平で、江戸の熱気を感じてみてはいかがでしょうか。






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