御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)|あらすじ・見どころ解説

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御所五郎蔵

『御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)』は、河竹黙阿弥作『曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)』の中でも特に人気の高い場面です。

粋で色気のある“色悪(いろあく)”の代表的な役柄として知られ、花道から颯爽と登場する御所五郎蔵の姿は、歌舞伎屈指の名場面として親しまれています。

華やかな吉原を舞台に、

  • 恋と義理
  • 江戸っ子の意地
  • 侠客のやせ我慢
  • すれ違う愛

を描いた、歌舞伎らしい色気と哀愁に満ちた人気演目です。

目次

『御所五郎蔵』とは?

『御所五郎蔵』は、正式には『曽我綉侠御所染』の一場。

文久4年(1864年)に初演され、原作は柳亭種彦の小説をもとにしています。

現在では通称の『御所五郎蔵』の名前で広く知られており、片岡仁左衛門をはじめ、多くの名優によって上演されてきました。

主人公・御所五郎蔵は、“色悪”という役柄の代表格。

  • ワルっぽい
  • 色気がある
  • 洒落ている
  • でも情に厚い

という魅力を持ち、歌舞伎ファンから高い人気を集めています。

御所五郎蔵あらすじ

元武士だった五郎蔵と皐月

御所五郎蔵は、もともと大名・浅間巴之丞(あさまともえのじょう)に仕える武士でした。

その頃、同じ屋敷で奥女中をしていた皐月(さつき)と恋仲になります。

しかし当時、主家に仕える男女の恋愛は重罪。
二人は屋敷を追放されてしまいます。

ですが浅間巴之丞は、二人を死罪にはせず追放処分にとどめました。

その恩によって、五郎蔵と皐月は夫婦になることができたのです。

五郎蔵は、この恩を深く胸に刻んでいました。

遊郭で再会する因縁の相手

時が流れ、五郎蔵は侠客となり、妻の皐月は遊郭で傾城として働いていました。

五郎蔵は伊達男として知られていますが、侠客暮らしは苦しく、常に金に困っています。

そんな中、遊郭に現れたのが星影土右衛門(ほしかげどえもん)。

土右衛門もかつて浅間家に仕えていましたが、謀反を企てたことで追放された男でした。

さらに彼は、昔から皐月に想いを寄せ続けています。

因縁を持つ二人は、遊郭で再会します。

五郎蔵を救うための皐月の決断

一方、浅間巴之丞は傾城・逢州(おうしゅう)に入れ込み、多額の遊興費を滞納していました。

このままでは主君の面目が潰れる。

そう考えた五郎蔵は、二百両を工面しようと奔走します。

しかし、どうしても金は足りません。

その時皐月のもとへ、土右衛門が現れ

「二百両を貸そう」

と申し出ます。

ただし条件は、

「皐月が五郎蔵と縁を切ること」

でした。

皐月は苦しみながらも、愛する五郎蔵を救うため、愛想尽かしの芝居を打ち、離縁状を書きます。

五郎蔵の誤解

事情を知らない五郎蔵は、皐月に本当に裏切られたと思い込みます。

怒りと絶望の中で五郎蔵が吐く、

「晦日に月の出る里も、闇があるから覚えていろ」

というセリフは、本作屈指の名台詞。

強がりながら立ち去る姿には、江戸っ子らしい“やせ我慢”の美学があります。

悲劇の結末

皐月は真実を伝えるため、逢州に手紙を託します。

しかしその夜、逢州は皐月の打掛を着て、皐月の提灯を持って外へ出ます。

そこへ現れた五郎蔵は、暗闇の中で逢州を皐月と思い込み、斬ってしまいました。

灯りに照らされた顔を見て、五郎蔵は初めて、自分が主人の恋人・逢州を殺めてしまったことに気づきます。

恩人の想い人を手にかけてしまった五郎蔵。

その悲劇的な結末には、歌舞伎らしい“粋”と“哀れ”が凝縮されています。

見どころ

花道からの颯爽とした登場

『御所五郎蔵』最大の見どころは、花道からの登場シーン。

傘を差し、粋な姿で登場する五郎蔵は、まさに“江戸の伊達男”です。

特に花道の「七三(しちさん)」で止まり、見得を切る場面は大きな見せ場。

実際の観劇でも、この瞬間に劇場の空気が一気に華やぐような感覚があります。

“色悪”の魅力

御所五郎蔵は、「色悪」を代表する役柄。

  • 色気がある
  • ワルっぽい
  • 洒落ている
  • 情に厚い
  • 不器用

という魅力を持っています。

単なる悪人ではなく、“かっこつけながら苦しむ男”として描かれるところが人気の理由です。

吉原の美しい舞台

本作の舞台は吉原。

豪華な衣裳や遊郭のセット、夜の廓の幻想的な雰囲気も大きな魅力です。

悲劇でありながら、どこか美しく、妖しい色気を感じさせるところに、黙阿弥作品らしい世界観があります。

主な登場人物

御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)

元武士の侠客。
色気と侠気を兼ね備えた“色悪”の代表的存在。

皐月(さつき)

五郎蔵の妻。
現在は傾城として働きながら、夫を支えている。

星影土右衛門(ほしかげどえもん)

五郎蔵の因縁の相手。
昔から皐月に想いを寄せている。

浅間巴之丞(あさまともえのじょう)

五郎蔵の元主君。
かつて二人の命を助けた恩人。

逢州(おうしゅう)

巴之丞が愛する傾城。
悲劇の鍵を握る存在。

初心者にもおすすめな理由

『御所五郎蔵』は、

  • 主人公がとにかくかっこいい
  • ストーリーが比較的わかりやすい
  • 花道の演出を楽しめる
  • 江戸の“粋”を感じられる

という理由から、歌舞伎初心者にも人気があります。

特に、“強がりなのに切ない”五郎蔵の魅力は、現代でも共感しやすいポイントです。

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