三人吉三巴白浪~大川端庚申塚の場を鑑賞しました。
2009年2月
建て替え前の歌舞伎座に別れを告げる「さよなら歌舞伎座」公演。
その舞台で上演された、坂東玉三郎と尾上松緑・市川染五郎による『三人吉三巴白浪~大川端庚申塚の場』をDVDで鑑賞しました。
上演は三人吉三巴白浪~大川端庚申塚の場のみ。
あらすじ
『三人吉三巴白浪』は、百両の金と名刀・庚申丸(こうしんまる)をめぐり、同じ「吉三(きちさ)」の名を持つ三人の盗賊が、逃れられない因果(いんが)に翻弄されていく物語です。
登場するのは、元僧の和尚吉三(尾上松緑)、女として育てられ女装姿で現れるお嬢吉三(坂東玉三郎)、元旗本の御曹司であるお坊吉三(市川染五郎)。
身分も育ちも異なる三人が、「大川端の場」で運命的に出会い、義兄弟の契りを結びます。
他の場の詳しい内容は

三人吉三巴白浪~大川端庚申塚の場のあらすじ詳細
幕明け
因縁の元となる百両と名刀・庚申丸
世間話から研屋が預かっていた名刀・庚申丸を金貸しが奪っていきます。
全幕を観てないとわからないんですがここも重要なシーンなんです。
研屋が金貸しを追いかけていったあとに花道から夜鷹のおとせ(坂東新悟)
夜鷹とは江戸時代の最下層の街娼、その相手が百両を落としていったのでその相手のことを案じているところ
お嬢吉三の出
お嬢吉三が道を尋ね、おとせに道を案内してもらうことになりましたが
見るからに夜鷹のおとせに商売を聞いたりしてお嬢様ぶるところがクスリとします。
胸元から百両を奪うやいなや男っぽくなるお嬢吉三ですがそこはさすが玉三郎さん
男っぽいのに女っぽい!
おとせを川に突き落とすと先ほどの庚申丸を手にした金貸しが百両を奪おうとしますが
逆に庚申丸を奪い取ります。
ここで玉三郎さんの見得と
「月も朧に白魚の…
…こいつぁ春から縁起がいいわえ」の名セリフ
お坊吉三の出
駕籠(かご)の中から一部始終を見ていたひとりの浪人姿の男、盗賊のお坊吉三。
場を立ち去ろうとするお嬢吉三を呼び止め、「濡れ手で粟のその100両を渡してくだせぇ」と言うお坊吉三。
言い争う中で互いに名乗り、どちらも名の知れた盗賊だと分かると、刀を抜いての争いへ。
玉三郎さんの立廻りが新鮮です!
和尚吉三の出
そこへ止めに入ったのが、こちらも名高い盗賊の和尚吉三。
三人でのセリフの掛け合いがグッときます!
一枚上手の親分肌で、「百両を自分に渡す代わりに自分の腕を切れ」という威風ある和尚吉三の口利きに納得するお嬢吉三とお坊吉三。
心意気を感じた二人は和尚と義兄弟の契りを交わすことを申し出ます。
吉三という同じ名を持つ縁を感じ、かための血盃を交わしてその場を去るところで幕。
せりふ回し
河竹黙阿弥の七五調の名調子が耳に心地よいったらありません。
お嬢吉三の名セリフ
月も朧に白魚の篝も霞む春の空
冷てえ風も微酔に心持よくうかうかと
浮かれ烏のただ一羽塒へ帰る川端で
棹の雫か濡手で粟
思いがけなく手に入る百両
[御厄払いましょか、厄落し、という厄払いの声]
ほんに今夜は節分か
西の海より川の中
落ちた夜鷹は厄落し
豆沢山に一文の銭と違って金包み
こいつぁ春から縁起がいいわえ
三人吉三巴白浪~大川端庚申塚の場を観て
当たり役など
当たり役
和尚吉三 四代目 尾上松綠
おすすめ
お嬢吉三
尾上菊五郎 (八代目)=尾上菊之助 (四代目)
中村七之助(二代目)
鑑賞レーティング
総合満足度 ★★★★★★★★★☆
初心者おすすめ度 ★★★★★★★★★☆
見どころの密度 ★★★★★★★★☆☆
心に残る度 ★★★★★★★★☆☆
再観たい度 ★★★★★★★★★☆
「※評価は個人の好み(舞踊好き/義太夫好き)が反映されています」
かぶしげオススメの席の選び方
舞台全体を観るなら中央7~9列目あたりいわゆる『とちり席』2階最前列『天覧席』
お嬢吉三の役者さんが目当てなら花横も◎主に下手
お坊吉三の役者さんが目当てなら主に上手
『とちり席』2階最前列『天覧席』が間違いないですね!

まとめ
短い一幕物として親しまれている場面ですが、実際に観るとその密度の濃さに改めて驚かされます。
なかでも心に残ったのは、お嬢吉三の名セリフ。
闇夜の大川端に響く七五調の言葉は、美しさと同時に冷ややかな凄みを帯び、舞台の空気を一変させます。
わずかな時間の中で、お嬢吉三という人物の妖しさや危うさがくっきりと立ち上がるのが印象的でした。
この場面には、暗闇の中での出会い、三人の吉三が名乗り合う趣向、立廻りや見得など、歌舞伎らしい要素が惜しげもなく詰め込まれています。
一場面だけを切り取って上演される理由がよくわかります。
観終わったあとには、
「やはり序幕から通しで観てみたい」
という気持ちが強く残りました。
詳しいお話は
↓




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