歌舞伎演目|連獅子(れんじし)登場人物・あらすじ解説

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「連獅子」は、親子獅子の物語に込められた厳しさを重ね合わせ、
舞台いっぱいを使った豪快な毛振りで知られる、歌舞伎舞踊の中でもとくに有名な演目です。

目次

連獅子(れんじし)とは?

連獅子(れんじし)とは、歌舞伎を代表する舞踊演目のひとつで、獅子の子落としの伝承を再現しながら親獅子と子獅子の物語を通して、親の愛と子の成長、そして獅子の世界の厳しさを描いた作品です。


舞台では、長く美しい毛を豪快に振る「毛振り」が最大の見どころで、とくに後半、親子が並んで舞う場面は迫力と美しさが重なり、初めて観る人でも強く印象に残ります。

また、公演では前半と後半の間に、間狂言として狂言『宗論(しゅうろん)』が上演されく、重厚な舞踊の合間に、言葉遊びと滑稽味あふれるやり取りで客席を和ませてくれます。

連獅子あらすじ

狂言師親子の出

能舞台を模した松羽目の舞台に、狂言師の右近と左近が登場します。
右近が手にする手獅子の毛と布は白、左近で、老若の対比を表しています。
二人は厳かに舞い始め、文殊菩薩の霊山・清涼山にかかる「石橋(しゃっきょう)」の情景を描き出します。
その石橋は人の手で架けられたものではなく、神仏の力によって自然に現れた橋。
空にかかる虹のようにも見え、その向こうでは、文殊菩薩の使いである獅子が牡丹と戯れている世界が広がります。

はやがて、獅子の子落としの伝承へと移っていきます。
獅子がわが子を谷底へ突き落とし、這い上がってきた強い子だけを育てる——そんな厳しい教えを再現する場面です。
右近は父獅子左近は子獅子の心になって舞い進み、父はおそろしく深い谷へと子を蹴り落とします。
子獅子は一度は必死に登ってきますが、再び突き落とされ、折からの嵐に爪も立てられず、木陰(花道)でしばし身を休めてしまいます。

なかなか子が登ってこないことに、父は「怖気づいたのではないか、育てた甲斐がなかったのでは」と胸をよぎらせます。
深い谷を覗き込むと、水面に映る影に気づき、そこに親子それぞれの姿が重なります。
父の姿を見つけた瞬間、子は勇み立ち、高い岩もものともせず、一気に駆け上がっていきます。
花道から本舞台へと勢いよく進む子と、それを迎える父——親子の再会が胸を打つ感動的な場面です。
やがて二人は再び手獅子を手にし、蝶を追いながら花道へと姿を消していきます。

間狂言

獅子の親子が引っ込むと、舞台は間狂言へと移ります。
場所は清涼山の麓
法華宗浄土宗の僧が道連れとなり、山道を登りはじめます。
最初は和やかに語り合っていた二人ですが、互いの宗旨を知るや、やがて優劣を競う宗論へと発展。

法華経の功徳のすばらしさ、念仏の御利益のありがたさを、それぞれ身振り手振りを交えて語り合います。
続いて、法華宗の僧は団扇太鼓を打ちながらお題目「南無妙法蓮華経」を、浄土宗の僧は叩き鉦を鳴らして念仏「南無阿弥陀仏」を唱え続けます。

ところが、いつの間にか二人は題目と念仏を取り違えてしまう始末
折から吹きつける暴風に、あわてふためきながら舞台を後にしていきます。

親子獅子の出

大薩摩(物語を語る浄瑠璃の一種)が、石橋の情景を雄大に描き出します。
やがて、勇壮な姿の親子の獅子の精が登場。
能の型にならい、これを「後シテ」と呼びます。

親子は牡丹の花の香りをかぎ、次第に「狂い」と呼ばれる激しい動きへと移っていきます。
やがて牡丹の枝を手に、芳しく咲く花と、それに戯れる獅子の姿を描き出し、親子の息の合った毛振りへ。
長い毛を豪快に振り、獅子の座についたところで、幕となります。

連獅子の主な登場人物

狂言師後に親獅子の精

狂言師右近
白い手獅子の毛と布を持ち、親獅子を象徴する。
わが子を谷底に突き落とし、這い上がってきた強い子だけを育てるという「獅子の子落とし」の伝承を体現します。
後半では子獅子と並び、勇壮で豪快な毛振りを見せる。

狂言師後に仔獅子の精

右近と対になる狂言師左近
赤い手獅子の毛と布を持ち、若獅子を象徴する役。
右近とともに、獅子の世界観を舞で描きます
谷底に落とされ、苦しみながらも、父の姿を見て奮い立ち、必死に岩場を駆け上がる。
後半では親獅子と並び、勇壮で豪快な毛振りを見せる。

僧蓮念

法華経の功徳を誇り、お題目「南無妙法蓮華経」を唱える。

団扇太鼓を打ちながら、浄土宗の僧と宗旨の優劣を競う。

僧遍念

念仏「南無阿弥陀仏」の御利益を説く。

叩き鉦を鳴らしながら、法華宗の僧と張り合う。

連獅子のみどころ

親子獅子の出

間狂言のあと、親子獅子は、一度花道にでたあと後ろ足で引っ込み再び出てきますが、その一度下がるさまが見事です!

親子獅子の豪快な毛振り

親と子の息の合った毛振りは、歌舞伎ならではの迫力。
子獅子が二人の場合はかなりの迫力となり、長く美しい毛を舞台いっぱいに振る姿は圧巻

間狂言『宗論』

前半と後半の間に上演され、重厚な舞踊の合間に観客を和ませる

法華宗と浄土宗の僧が宗旨の優劣を競い、題目と念仏を取り違えるコミカルな場面
清涼山を目指してたまたま道連れになった二人の僧が繰り広げる宗旨争いのとぼけたおもしろみ
大薩摩とともに情景描写にも一役買ってます

足拍子の迫力!

勇壮な舞を演出する所作板(しょさいた)での足拍子の音が舞台に響き渡り、かなり迫力があります。

オマケ 獅子と牡丹

連獅子などの「石橋もの」舞台では、必ず大輪の牡丹の花が飾られます。これは日本や中国の襖絵や屏風にも見られる、獅子と牡丹の美しい組み合わせです。

百獣の王といわれる獅子にも苦手なものがあり、それは「虫」。体に寄生する虫によって命を脅かされることがあり、これが仏教に由来する言葉 「獅子身中の虫」 です。身内でありながら災いをもたらす存在を象徴しています。

獅子身中の虫から身を守る特効薬とされたのが、牡丹の花の夜露。そのため、獅子は夜には牡丹の花の下で休むと考えられています。

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