四代目尾上松緑(おのえ しょうろく)は、荒事や時代物、江戸の暮らしと人情を描く世話物、日本舞踊など、多彩な分野で活動する音羽屋の歌舞伎俳優です。
祖父は二代目尾上松緑、父は初代尾上辰之助。自身も左近、辰之助を経て、松緑の名跡を受け継ぎました。
1989年には藤間流の六世藤間勘右衞門を襲名し、日本舞踊でも名跡を継承しています。
この記事では、四代目尾上松緑のプロフィールと本名、襲名の歩み、音羽屋の家系、当たり役、受賞歴、息子・三代目尾上辰之助への継承、2026年の主な出演情報を紹介します。
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尾上松緑(四代目)のプロフィール
| 芸名 | 四代目尾上松緑(よだいめ おのえ しょうろく) |
| 本名 | 藤間あらし(ふじま あらし) |
| 生年月日 | 1975年2月5日 |
| 出身地 | 東京都 |
| 屋号 | 音羽屋(おとわや) |
| 定紋 | 四ツ輪に抱き柏 |
| 日本舞踊家としての紋 | 藤輪に花菱 |
| 初お目見得 | 1980年、国立劇場『山姥』の怪童丸で藤間嵐を名のる |
| 初舞台 | 1981年2月、歌舞伎座『幡随長兵衛』の長松で二代目尾上左近を名のる |
| 舞踊名 | 六世藤間勘右衞門 |
四代目尾上松緑は1975年2月5日、東京都に生まれました。
屋号は音羽屋、定紋は「四ツ輪に抱き柏」です。
舞台では『勧進帳』の武蔵坊弁慶をはじめ、力強さが求められる荒事や時代物の大役を担う一方、『魚屋宗五郎』『髪結新三』などの世話物にも取り組んできました。
歌舞伎俳優として活動するとともに、1989年には藤間流の六世藤間勘右衞門を襲名しました。
日本舞踊家として用いる紋は「藤輪に花菱」。
歌舞伎と日本舞踊の双方で名跡を継承し、舞台経験を重ねています。

本名・襲名の経緯|藤間嵐から二代目左近、二代目辰之助を経て四代目松緑へ
尾上松緑の本名は、藤間あらし(ふじま あらし)です。
幼い頃から現在の芸名を名のっていたわけではなく、初お目見得以来、藤間嵐、尾上左近、尾上辰之助、尾上松緑と、節目ごとに名を改めてきました。
それぞれの襲名は、音羽屋の系譜と本人の歩みを知るうえで重要な出来事です。
初お目見得は1980年。
国立劇場で上演された『山姥』の怪童丸を勤め、「藤間嵐」を名のりました。
翌1981年2月には、歌舞伎座『幡随長兵衛』の長松で「二代目尾上左近」を名のり、初舞台を踏んでいます。
次の大きな節目となったのが1991年5月です。
歌舞伎座『対面』の曽我五郎ほかで、「二代目尾上辰之助」を襲名しました。
辰之助は父が名のった芸名であり、初代から二代目へと親子で受け継がれた名跡でした。
そして2002年5月と6月、歌舞伎座で「四代目尾上松緑」を襲名。
襲名披露では『勧進帳』の弁慶、『蘭平物狂』の蘭平ほかを勤めました。
祖父が名のり、父にも没後に追贈された松緑という名を継ぎ、音羽屋を代表する名跡の一つを担うことになったのです。

音羽屋の家系図|祖父・二代目松緑と父・初代辰之助、松本幸四郎家とのつながり
四代目尾上松緑の家系をたどる際には、音羽屋だけでなく、高麗屋こと松本幸四郎家とのつながりも欠かせません。
祖父・二代目尾上松緑の本名は藤間豊で、七代目松本幸四郎の三男として生まれました。
七代目幸四郎の長男が十一代目市川團十郎、次男が初代松本白鸚であるため、十一代目團十郎と初代白鸚は、四代目松緑にとって大伯父にあたります。
祖父の二代目松緑は1927年、父・七代目松本幸四郎の意向により、六代目尾上菊五郎のもとへ修業に出されました。
六代目菊五郎の薫陶を受けながら、音羽屋の芸を身につけていきます。
六代目菊五郎の没後には、尾上菊五郎劇団を率いました。
尾上松緑家の歩みには、高麗屋に生まれた二代目松緑が六代目菊五郎に入門し、音羽屋の芸を受け継いだという背景があります。
松本幸四郎家に連なる血筋と、六代目菊五郎から伝えられた芸の系譜が重なっていることが、この家の成り立ちの特徴です。
「松緑」という名跡をたどることで、高麗屋と音羽屋を結ぶ歌舞伎史の一端も見えてくるでしょう。
四代目松緑の父は、初代尾上辰之助です。
初代辰之助は1987年に亡くなり、没後に「三代目尾上松緑」の名跡が追贈されました。
当時、四代目松緑は12歳。祖父の二代目松緑も1989年に亡くなっており、そのときは14歳でした。
家系を簡潔に整理すると、祖父が二代目尾上松緑、父が初代尾上辰之助、本人が二代目辰之助を経た四代目尾上松緑です。
さらに長男は、三代目尾上左近を経て三代目尾上辰之助を襲名しました。
「辰之助」という名跡は、初代である父、二代目を名のった四代目松緑本人、そして長男の三代目へと、三代にわたって受け継がれています。

尾上松緑の当たり役と芸風|『勧進帳』の弁慶から世話物まで
四代目尾上松緑は、豪快さを求められる荒事やスケールの大きな時代物から、江戸の人情を描く世話物まで、幅広い役柄に取り組む俳優として知られています。
代表的な当たり役として挙げられるのが、『勧進帳』の武蔵坊弁慶。
四代目松緑の襲名披露でも勤めており、名跡の歩みと深く結びついた役です。
『義経千本桜』の狐忠信、『金閣寺』の松永大膳、『妹背山婦女庭訓』の鱶七なども、当たり役として紹介されています。
また、『毛抜』の粂寺弾正も主要なレパートリーの一つです。
こうした役々では、荒事や時代物を支える力強い演技に定評があるとされています。
一方、世話物では『魚屋宗五郎』の宗五郎や、『髪結新三』の新三が挙げられます。
大きな構えを必要とする時代物に加え、江戸の市井に生きる人物の感情を描く作品にも当たり役を持つ点が、松緑の芸域を示しているといえるでしょう。
荒事の豪快さと世話物の人間味を、それぞれの作品に応じて表現する俳優として評されています。
舞踊では『関の扉』『素襖落』が当たり役として知られています。
1989年に藤間流の六世藤間勘右衞門を襲名した松緑にとって、日本舞踊も活動を語るうえで欠かせない分野です。
立役として担う役柄の広さに舞踊の経験も加わり、多方面で舞台活動を続けています。

受賞歴|芸術選奨文部科学大臣新人賞・日本芸術院賞
四代目尾上松緑は、2022年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞しました。
さらに2025年には、日本芸術院賞を受賞しています。
左近、辰之助、松緑と名を改めながら積み重ねてきた舞台歴のなかに刻まれた、二つの受賞歴です。
松緑が取り組んできた分野は、荒事、時代物、世話物、舞踊と一つに限られません。
『勧進帳』の弁慶から『魚屋宗五郎』の宗五郎、『関の扉』まで、性格の異なる演目に代表役を持つことで知られています。
その舞台活動を紹介するうえで、芸術選奨文部科学大臣新人賞と日本芸術院賞は重要な受賞歴といえるでしょう。
息子・三代目尾上辰之助への継承|歌舞伎座での襲名披露
四代目尾上松緑は2001年に結婚し、2003年に長女、2006年1月20日に長男が誕生しました。
2016年11月に離婚しています。
長男の本名は藤間大河で、歌舞伎俳優として舞台に立っています。
長男は2014年6月、歌舞伎座で「三代目尾上左近」を名のり、初舞台を踏みました。
尾上左近は、四代目松緑自身も初舞台から辰之助襲名まで名のっていた芸名です。
親子が同じ名跡を経て舞台経験を重ねてきたところに、歌舞伎における継承の一つの形が表れています。
2025年11月には、三代目尾上辰之助の襲名が発表されました。
そして2026年5月、歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」で三代目尾上辰之助を襲名。
初代辰之助、二代目辰之助に続き、「辰之助」の名が三代にわたって受け継がれました。
襲名披露狂言『寿曽我対面』で三代目辰之助が勤めたのは、曽我五郎です。
この役は、祖父にあたる初代辰之助と、父である四代目松緑が、それぞれの辰之助襲名披露で勤めた役でもあります。
同じ名跡の襲名披露で同じ役を演じたことにより、初代、二代目、三代目と続く辰之助の系譜が、舞台上でも示されました。

よくある質問(FAQ)
- 四代目尾上松緑の本名は何ですか?
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本名は藤間あらし(ふじま あらし)です。1980年の初お目見得では藤間嵐を名のり、その後、二代目尾上左近、二代目尾上辰之助を経て、2002年に四代目尾上松緑を襲名しました。
- 四代目尾上松緑の父と祖父は誰ですか?
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父は初代尾上辰之助、祖父は二代目尾上松緑です。初代辰之助には没後、三代目尾上松緑の名跡が追贈されました。祖父の二代目松緑は七代目松本幸四郎の三男で、六代目尾上菊五郎のもとで音羽屋の芸を学びました。
- 四代目尾上松緑の代表的な当たり役は何ですか?
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『勧進帳』の武蔵坊弁慶、『義経千本桜』の狐忠信、『魚屋宗五郎』の宗五郎、『髪結新三』の新三、『金閣寺』の松永大膳、『妹背山婦女庭訓』の鱶七、『毛抜』の粂寺弾正などが当たり役として挙げられます。舞踊では『関の扉』『素襖落』で知られています。
- 尾上松緑は日本舞踊でどの名跡を継承していますか?
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1989年に藤間流の六世藤間勘右衞門を襲名し、日本舞踊でも名跡を継承しています。日本舞踊家として用いる紋は「藤輪に花菱」です。
- 四代目尾上松緑の息子は誰ですか?
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長男は三代目尾上辰之助で、本名は藤間大河です。2014年6月に三代目尾上左近を名のり初舞台を踏み、2026年5月の歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」で三代目尾上辰之助を襲名しました。
歌舞伎が初めての方へ
歌舞伎自体が初めてだと「どう観ればいいの?」と迷うこともあるかもしれません。
歌舞伎には独特の約束ごとや表現がありますが、基本を少し知っておくだけで、面白さがぐっと伝わりやすくなります。
歌舞伎とは?初心者向けにわかりやすく解説

まとめ|四代目尾上松緑の歩みと三代にわたる辰之助の継承
四代目尾上松緑は、二代目尾上左近、二代目尾上辰之助を経て、2002年に現在の名跡を襲名しました。
『勧進帳』の弁慶をはじめとする荒事や時代物に加え、『魚屋宗五郎』『髪結新三』などの世話物、さらに日本舞踊でも活動する俳優として知られています。
祖父・二代目松緑が六代目尾上菊五郎から受け継いだ音羽屋の芸と、松本幸四郎家につながる家系。その双方が、四代目松緑の背景にあります。
自身は六世藤間勘右衞門として日本舞踊の名跡も継承し、長男は2026年に三代目尾上辰之助を襲名しました。
初代、二代目、三代目と受け継がれた辰之助の名跡を含め、親子それぞれの今後の舞台が注目されます。
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