荒事(あらごと)とは?歌舞伎初心者が観る前に知りたい特徴と演目

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歌舞伎の荒事|市川團十郎が生んだ豪快な演技様式をわかりやすく解説

荒事(あらごと)とは、江戸時代に生まれた歌舞伎の演技様式のひとつで、豪快で力強い動きや派手な隈取(くまどり)が特徴です。
主に市川團十郎 (初代)によって確立され、江戸の観客に熱狂的に支持されました。
大きな見得(みえ)や誇張された所作によって、正義のヒーロー像を鮮烈に描くのが荒事の魅力です。

この記事では、荒事の意味や歴史、代表的な演目、見どころまでを初心者にもわかりやすく解説します。

荒事(あらごと)とは?意味をわかりやすく解説

荒事とは、現実的な動きよりも「様式美」を重視した力強い演技スタイルです。
大げさな動き、低く響く台詞回し、誇張されたポーズによって、人物の勇猛さや正義感を表現します

江戸の町人文化の中で生まれた荒事は、わかりやすくスカッとするヒーロー像を求める観客にぴったりの演技でした。

まさしく荒ぶるヒーローでござい!

荒事の特徴

見た目の特徴は隈取と、ど派手な衣裳が特徴です

隈取と衣装

顔には勇壮な隈取(くまどり)が施されます。
白い地色に紅の隈を引いた顔は、血潮がみなぎる血管の隆起を思わせ、正義の味方が持つ熱いエネルギーと生命力を象徴しています。
衣裳も大きく重厚で、身体を実際以上に巨大に見せることで、超人的な存在感を強調します。

紅隈(べにぐま)は正義の味方で藍隈(あいぐま)は冷酷な敵役、怨霊、権力を持つ悪役を表してます。

主な隈取
紅隈赤や紅色の隈取は善を象徴する明るいキャラクターで、正義の味方
藍隈青や藍色の色の隈取は、や冷酷さを表現し、スケールの大きな悪人
茶隈茶色系(代赭たいしゃ)の隈取は、人間以外の妖怪变化亡霊などの不気味な役
猿隈豪快な武士なのに、滑稽(こっけい)でおかしみのある役
鯰隈悪人なのに間抜けな、観客を笑わせる役に用いる隈

▼隈取・化粧についての詳しい説明はこちらへ

荒事の演技と表現の特徴

荒事の最大の魅力は、すべてが誇張され、様式化されたダイナミックな表現にあります。

見得(みえ)や豪快な所作

演技には、荒事を象徴する様式美が随所に見られます。
決定的な場面で動きを止めて観客に姿を焼きつける見得を切る、花道を豪快に踏み鳴らしながら引っ込む六方を踏む(ろっぽうをふむ)など、力と勢いを視覚的に伝える動作が特徴です。

声とセリフ

発声は高く突き抜けるような甲(かん)の声
大仰なセリフ回しとともに、舞台全体を支配する迫力を生み出します。
特大の三本太刀などの小道具も、英雄性を際立たせる重要な要素です。

初代市川團十郎がこしらえた、
荒っぽくて豪勢、腹の据わった歌舞伎の芸ってぇもんでさぁ。

荒事の成り立ち

歌舞伎の荒事(あらごと)とは、元禄時代に初代市川團十郎によって創始された、
超人的な力を持つヒーローが悪を打ち倒す、豪快で力強い演技様式です。

江戸で活躍した團十郎は、勇ましく荒々しい演技で人気を博し、その芸風は「成田屋」の芸として代々受け継がれました。

荒事は単なる派手な演技ではなく、家の芸として磨き上げられてきた伝統なのです。

現実の人間を超えた英雄豪傑を描くことを目的とし、勧善懲悪の物語の中で、正義の象徴として舞台に現れます。その圧倒的な存在感とわかりやすい構図は、当時の江戸庶民の心をつかみ、市川家の芸の源流として今日まで受け継がれています。

江戸歌舞伎の特色といえる演出で
そのほかにも和事、実事などがあり、上方の和事、江戸の荒事と言われております。

上方(かみがた)とは 京都および大坂(京坂)を指す。江戸時代、天皇のいる京都を「上」と呼び、京都へ上る、あるいは都の方角を上と称したことが由来してます。

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歌舞伎十八番ってどんなもの?

歌舞伎十八番とは、七代目市川團十郎が市川宗家の家の芸として選定した
荒事の演目18個です。

最も人気が高いのは『助六』『勧進帳』『暫』『外郎売』『毛抜』『鳴神』『矢の根』
よく上演されてる演目です。

『押戻』は、演目ではなく、最後に悪人を「押し戻す」演出です。

その他は、
『嫐』『景清』『鎌髭』『関羽』『解脱』『蛇柳』『象引』『七つ面』『不動』『不破』ですが近年あまり上演されていないです。

代表的な荒事の演目

荒事の典型とされるのが、
『暫(しばらく)』です。



巨大な衣裳をまとった主人公鎌倉権五郎景政花道から現れ、悪を一喝する場面は、荒事の象徴ともいえる名場面です。

そのほか、
『菅原伝授手習鑑』「車引」に登場する梅王丸も、荒事的な豪快さと力強さを備えた代表的な役柄として知られています。

こいつぁ演目ってほどのもんじゃねぇが、
『押戻(おしもどし)』ってぇ演出の場にしか顔を出さねぇ
役どころってぇのもいるんでさぁ。

和事との対比の中での荒事

歌舞伎の演技様式には、『曽根崎心中』のような
京で活躍した初代坂田藤十郎によって確立された、繊細で人間味あふれる和事(わごと)があります。

それに対して荒事は、
江戸で生まれた、荒々しく、派手で、英雄的な表現様式
この対比が、上方文化と江戸文化の気質の違いを映し出し、歌舞伎の多様な魅力を形作っています。

荒事の本質

荒事とは単なる「派手な演技」ではなく、
舞台上に“人間を超えた力”を出現させるための様式です。
その誇張された動き、声、化粧、物語のすべてが一体となり、観る者にすべてを一気に吹き飛ばすような爽快感を与えてくれる
――そこに、荒事ならではの魅力があります。

『荒事』と聞きゃあ、歌舞伎だってぇ話を出した途端に
「ああ、あの顔だ、あの姿だ」ってぇ、すぐ目に浮かぶ役が多いんでさぁ。
いかにも歌舞伎、ってぇ面構えが揃ってるって寸法よ。

荒事の演目一覧や上演情報は、荒事カテゴリページでまとめています。

▶荒事カテゴリページを見る

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