2026年10月、南座で上演される「市川團十郎特別公演」の演目に、見慣れない名前を見つけた方も多いのではないでしょうか。
それが「荒事 大力天無双(あらごと だいりきてんのむそう)」。
公演チラシや番付で初めてこの名前を見て、「一体どんな演目?」と検索した方も多いはずです。
本記事では、「大力天無双」の読み方と正体、公演の概要、あらすじ・見どころ、配役までをわかりやすく解説します。
「荒事 大力天無双」とは?読み方と演目の正体
「荒事 大力天無双」は「あらごと だいりきてんのむそう」と読みます。
結論から言うと、これは新しい演目ではありません。
歌舞伎十八番の一つ「押戻し(おしもどし)」を、2026年10月の南座「市川團十郎特別公演」限定で特別に銘打ったタイトルです。
歌舞伎美人(松竹公式サイト)の公演情報にも「五、荒事 大力天無双(あらごと だいりきてんのむそう) 市川團十郎 市川新之助『歌舞伎十八番の内 押戻し』相勤め申し候」と明記されており、押戻しの上演であることが公式に示されています。
「大力天無双」は文字通り「力が並外れて強く、天下に並ぶ者がいない」という意味の言葉。
押戻しが演じる怪力の荒事ヒーローの豪快さを表す、いわば今回限りの”二つ名”のような位置づけと考えられます。
押戻しそのものの意味や由来、代表的な役名についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

市川團十郎特別公演2026(南座)の公演概要
「大力天無双」が上演されるのは、2026年10月に南座で行われる「市川團十郎特別公演」です。
公演期間:2026年10月3日(土)~25日(日)
昼の部:午前11時30分~
夜の部:午後4時~
劇場:南座
この特別公演は、成田屋(市川團十郎家)の節目を祝う恒例シリーズとして続いており、初めて歌舞伎を観る方から通のファンまで楽しめる構成が特徴です。
「大力天無双」が組み込まれているのは夜の部『Invitation to KABUKI 歌舞伎の世界』で、これは幅広い観客に歌舞伎の世界を伝えることを目的とした特別プログラムです。
昼の部では『鞘當』『与話情浮名横櫛 源氏店』『勧進帳』、夜の部では『義経千本桜 鳥居前』『英執着獅子』『七つ面』『ご挨拶』『大力天無双(押戻し)』と、世話物・時代物・舞踊・荒事がバランスよく揃った構成になっています。
歌舞伎が初めての方でも、一日で歌舞伎のさまざまな魅力に触れられる贅沢な公演です。
昼の部・夜の部それぞれの全演目とあらすじは、以下の記事で詳しくまとめています。

「大力天無双」を観るなら花道脇の席がおすすめ
押戻しは花道の揚幕から登場し、花道上でしばらく怨霊・妖怪と睨み合ってから本舞台へ押し戻していく演出です。
そのため、花道をすぐそばで見られる「花道脇」の席を選ぶと、隈取の迫力や見得を切る瞬間を間近で堪能できます。
特に役者が一旦立ち止まって見得を切る「七三(しちさん)」付近の席は、押戻しの登場シーンを見逃さない絶好のポジションです。
南座は劇場によって花道の位置や見え方が異なるため、座席の見え方や七三の位置を事前に知っておくと、当日の座席選びに役立ちます。

なぜ「大力天無双」という特別な名がついたのか
押戻しは本来、独立した演目名ではなく「役どころ・演出」の名称です。
上演する作品や役者によって「大館左馬五郎」「竹抜五郎」などさまざまな役名が付けられてきました。
今回の南座公演で「大力天無双」という名が選ばれた正式な理由は公表されていませんが、夜の部が『Invitation to KABUKI 歌舞伎の世界』という初心者にも親しみやすいプログラムであることを踏まえると、押戻しという専門的な名称よりも、荒事の豪快さがひと目で伝わるキャッチーな名前を採用したのではないかと考えられます。
押戻しは、市川團十郎家に伝わる荒事(あらごと)を象徴する演目の一つです。
荒事とは、超人的な力を持つ主人公が誇張された衣裳・隈取・様式美あふれる動きで悪を退治する、江戸歌舞伎ならではの演技様式のこと。
荒事について詳しくは、以下の記事もご参考にしてください。

あらすじ・見どころ|押戻しの演出とは
押戻しには決まった物語(ストーリー)がありません。
芝居の大詰めで舞台に怨霊や妖怪が現れて混乱が起きたとき、それを鎮める役として最後に登場する”締めくくりの一幕”です。
登場するのは、勇壮な隈取を施し、蓑(みの)を羽織り、竹笠と太い青竹を手にした荒事姿の人物。
花道の揚幕から姿を現し、暴れる怨霊・妖怪を睨みつけながら本舞台へぐいぐいと押し戻していきます。
ストーリーの緻密さよりも、圧倒的な体格の大きさ・隈取の迫力・見得の様式美を楽しむのが押戻しの醍醐味です。
台詞よりも、豪快な立ち姿と睨みそのものが主役といえる、まさに荒事の集大成のような演出です。
「大力天無双」というタイトル通り、並外れた力強さを体現する團十郎・新之助の存在感そのものが最大の見どころになります。
配役|市川團十郎・市川新之助 親子共演
「大力天無双」(押戻し)は、市川團十郎(十三代目)と市川新之助(八代目)の親子共演で上演されます。
2026年10月時点で新之助はまだ10代前半。
成田屋の芸を受け継ぐ次世代として、父・團十郎とともに荒事の大役を勤める姿は、この特別公演ならではの貴重な見どころです。
同じ夜の部の「ご挨拶」でも親子で舞台に立ちます。
二人のプロフィールや成田屋の系譜について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。


まとめ
「荒事 大力天無双」は、2026年10月の南座「市川團十郎特別公演」夜の部で上演される、歌舞伎十八番「押戻し」の特別なタイトルでした。
市川團十郎・市川新之助の親子共演による荒事の大役は、この特別公演ならではの見どころです。
物語よりも、隈取・装束・見得の様式美を楽しむ演目なので、歌舞伎初心者の方でも身構えずに楽しめます。
公演の全演目・あらすじは、こちらの記事もあわせてご覧ください。
【演目決定】2026年「市川團十郎 特別公演」昼の部・夜の部の公演内容解禁!10月 南座
よくある質問(FAQ)
- 「大力天無双」はどう読みますか?
-
「だいりきてんのむそう」と読みます。
全体では「荒事 大力天無双(あらごと だいりきてんのむそう)」です。 - 「大力天無双」と「押戻し」はどう違うのですか?
-
別の演目ではありません。
「大力天無双」は、2026年10月の南座「市川團十郎特別公演」限定で、歌舞伎十八番「押戻し」に付けられた特別なタイトルです。 - 歌舞伎初心者でも楽しめますか?
-
はい。
押戻しは物語の複雑さがなく、迫力ある隈取・装束・見得を楽しむ演目なので、予備知識がなくても視覚的に楽しめます。
上演されるのも初心者向けプログラム『Invitation to KABUKI 歌舞伎の世界』内です。 - チケットはいつからどこで買えますか?
-
2026年9月9日(水)午前10時から、チケットWeb松竹・チケットホン松竹・南座窓口で発売開始予定です。
最新情報は歌舞伎美人の公式サイトでご確認ください。
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