新作歌舞伎『流白浪燦星(ルパン三世)』第二弾「碧翠の麗城(へきすいのれいじょう)」は、2026年9月2日から26日まで、京都・南座で上演されました。
2023年12月に新橋演舞場で初演された『流白浪燦星(ルパン三世)』の続編にあたり、ルパン三世の世界と歌舞伎ならではの演技や舞台機構を組み合わせた作品となっています。
2026年9月、京都・南座でこの「碧翠の麗城」を観てきました。
諏訪の太守の息女・瀬織姫が、お家存続のために執権・瀧津弾正久永との望まぬ婚姻を強いられそうになるなか、寺に貯め込まれた金を狙う流白浪燦星、すなわちルパン三世と出会う物語。
峰不二子に背中を押された瀬織姫が、自由を求めて自分の意志で動き出すヒロインの物語が軸になっています。
片岡愛之助さんが流白浪燦星(ルパン三世)と石川五ェ門を早替りで演じる、一人二役の舞台です。
花道や舞台装置を生かした場面に加え、宙乗りや客降りなど、客席を巻き込む演出も盛り込まれていました。
この記事では、実際に観劇して感じたことを率直にまとめます。
あらすじ・配役の詳細については、以下の記事で詳しくまとめています。

早替りが多くて少し忙しく感じた冒頭
冒頭は早替りが多く、その点がどうしても気になりました。
片岡愛之助さんがルパン三世と石川五ェ門という二つの役を担い、短い間に姿を替えながら演じ分けていく構成は、この新作歌舞伎の目玉の一つです。
ただ、次々と役が切り替わるため、私は物語そのものよりも、早替りがどのように行われているのかという部分に意識が向いてしまったのです。
一人二役ならではの趣向であることは分かるものの、私には少し慌ただしく感じられ、冒頭から物語の中へ入り込んで楽しみきれなかったのが正直なところでした。

石川五ェ門の斬鉄剣、原作そのままの一振り
石川五ェ門が斬鉄剣で建物を切るシーンは、アニメ原作を彷彿とさせました。
五ェ門といえば、斬鉄剣であらゆるものを鮮やかに斬る姿がおなじみでしょう。
その五ェ門らしい見せ場が、建物そのものを切るという大きな舞台演出になっており、原作で親しんできたイメージが歌舞伎の舞台上に現れた場面でした。
ルパン三世の世界観と、舞台ならではの仕掛けが結び付いたシーンとして印象に残っています。
瀬織姫を追う船のシーン、回り舞台の演出が秀逸
特に印象に残ったのが、瀬織姫が一人で船に乗って逃げているところを、ルパン三世が助けるシーンです。
瀬織姫は、父母の急死後、お家を存続させるために瀧津弾正久永との望まぬ婚姻を迫られている姫。
その瀬織姫が自由を求めて行動を起こし、一人で船に乗る場面でルパンと関わることになります。
海とも川とも見える水上の場面は、回り舞台を使って表現されていました。
舞台そのものの動きによって周囲の景色が移り変わり、船が水の上を進んでいくように見せる工夫が秀逸だったと思います。
二幕目冒頭はあらすじのおさらいと、前作おなじみのマモちゃん
二幕目に入ると、まず一幕のあらすじをおさらいしてくれる場面がありました。
前作と同じように、お約束のタイミングでマモちゃんが登場し、物語について丁寧に説明してくれます。
初めて観る方にも配慮された構成だと感じました。
一方でこの二幕目、石川五ェ門の登場回数は少なめでした。
物語の設定上、五ェ門は遠くへ行っていることになっており、早替りで一人二役をこなす片岡愛之助さんの出番配分にもメリハリが感じられました。
市川中車の銭形刑部が抜群にうまい
市川中車さんが演じる銭形刑部は、とにかく上手かったです。
銭形刑部は、原作アニメにおける銭形警部にあたる役どころで、ルパンを追う存在として物語に登場します。
歌舞伎の世界に合わせた「銭形刑部」という人物になっていても、おなじみの立ち位置が分かりやすく伝わってきました。
銭形刑部が登場する場面では、私は自然と市川中車さんの芝居に目を引かれたものです。

3階5列から見た宙乗り

今回の席は、三階席中央にあたる3階5列でした。
この位置からは終盤の宙乗りがかなり近くに見え、三階席ならではの良さを感じました。
舞台を上から見渡せるだけでなく、宙を進む役者の姿が自分のいる高さに近づいてくるため、宙乗りの見え方については満足できる席。
中央寄りの席だったこともあり、その動きを見やすかったです。
一方で、長時間座っていると腰にきました。
観劇中の体への負担を考えると、腰用のクッションが欲しかったというのも正直な感想です。
弾正の館でのコミカルな掛け合い
瀧津弾正久永の館へ向かう場面では、銭形刑部とその子分たちのやり取りが印象に残りました。
瀧津弾正久永は、瀬織姫に望まぬ婚姻を強いようとする執権で、坂東彌十郎さんが演じています。
その人物の館へ向かう場面で、銭形刑部と子分たちによるコミカルな掛け合いが続きました。
ルパンを追う銭形刑部の役どころを生かしたやり取りが楽しく、銭形刑部が登場する場面のなかでも印象に残るシーンです。
まさかの客降り、ルパンが配る「桃屋のごはんですよ」
客降りでは、ルパン三世、次元大介、瀬織姫が舞台から客席へ降りてきました。
片岡愛之助さん演じるルパン三世、市川笑三郎さん演じる次元大介、中村米吉さん演じる瀬織姫が客席の間に姿を見せる演出です。
さらにルパンが配っていたのは、なんと「桃屋のごはんですよ」。
役者が客席の間を歩くだけでなく、こうした仕掛けまで用意されており、舞台と客席との距離が近くなる、客席を巻き込んだ演出の楽しさを味わえました。
ただ、客降りは1階席の通路沿いで行われるため、2階席・3階席からは客席内で何が起きているのか分かりにくいのが正直なところ。
客降りまでしっかり楽しみたい場合は、花道に近い1階1列目、通路側の席を選ぶと役者さんをより近くに感じられそうです。
客いじりの場面も多かったように感じましたが、この日は学生さんが多い回だったことも関係しているかもしれません。


カーテンコールでは撮影タイムが設けられており、SNSでの拡散を呼びかけながら、舞台の右・中央・左、そして二階・三階の客席にも順番に目線を送ってくれました。
会場のどの位置で観ていても目が合うタイミングがあったのは嬉しいポイントです。
「#ルパン歌舞伎」の看板を後方で掲げていたのは、愛之助さんがルパン三世を演じる場面で石川五ェ門役を務める影武者の方でした。
看板とともに出演者が並ぶ様子を写真に収めることができました。
よくある質問(FAQ)
- 『流白浪燦星(ルパン三世)碧翠の麗城』はいつまで南座で上演されていますか?
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2026年9月2日(水)から26日(土)まで、京都・南座で上演されました。
- 南座で宙乗りが見やすい席はどこですか?
-
今回3階5列(三階席中央)で観劇したところ、終盤の宙乗りがかなり近くに見え、満足できる見え方でした。
長時間の観劇では腰用のクッションがあると快適さが増します。 - 客降りを楽しむにはどの席がいいですか?
-
客降りは1階席の通路沿いで行われるため、2階席・3階席からは客席内の様子が見えにくくなります。
客降りまで楽しみたい場合は、花道に近い1階1列目、通路側の席がおすすめです。 - この演目のあらすじ・配役の詳細はどこで見られますか?
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あらすじ・南座公演の配役・チケット情報は、「ルパン三世 歌舞伎『流白浪燦星 碧翠の麗城』南座公演|あらすじ・配役・チケット情報まとめ」の記事で詳しくまとめています。
歌舞伎が初めての方へ
歌舞伎自体が初めてだと「どう観ればいいの?」と迷うこともあるかもしれません。
歌舞伎には独特の約束ごとや表現がありますが、基本を少し知っておくだけで、面白さがぐっと伝わりやすくなります。
歌舞伎とは?初心者向けにわかりやすく解説

まとめ|遊び心が詰まった新作歌舞伎だった
冒頭の早替りなど、私には少し気になってしまう部分もありました。
それでも、石川五ェ門が斬鉄剣で建物を切る原作を彷彿とさせる場面や、回り舞台を生かして船の動きを見せる水上の場面など、印象に残る演出があります。
市川中車さんが演じる銭形刑部の芝居や、瀧津弾正久永の館へ向かう場面での子分たちとのコミカルなやり取りも見どころでしょう。
さらに、三階席の近くを通る宙乗りや、ルパンが「ごはんですよ」を配る客降りも、この舞台ならではの趣向です。
新作歌舞伎らしい舞台上の工夫と遊び心が、随所に詰まった作品だったと思います。

これから観る方へ|座席選びのヒント
これから観劇する方は、宙乗りを近くで見たい場合、三階席中央付近も座席選びの候補になりそうです。
私が座った3階5列17番からは宙乗りがかなり近くに見え、その点では満足できました。
ただし、長時間の観劇では腰への負担も感じたので、必要な方は腰用のクッションを用意しておくとよいでしょう。
一方、客降りまで楽しみたい方には、花道に近い1階1列目、通路側の席がおすすめです。
2階席・3階席からは客降り中に何が起きているのか見えにくいため、役者さんを間近に感じたい方はこちらを検討してみてください。
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