中村時蔵(六代目)プロフィール完全解説|本名・家系図・襲名の経緯

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中村時蔵

萬屋(よろずや)の女方として、長く「中村梅枝」の名で活躍し、2024年に大名跡「中村時蔵」を継いだのが六代目中村時蔵(なかむら ときぞう)です。
2026年7月からのスーパー歌舞伎『もののけ姫』では、エボシ御前役として観客・メディアの双方から高い評価を受けています。

この記事では、六代目中村時蔵の本名・家系図から、梅枝時代の歩みと時蔵襲名の経緯、当たり役、そして『もののけ姫』での評判まで、まとめて解説します。

「時蔵」という名前は歌舞伎に詳しくない方にとっては馴染みが薄いかもしれませんが、萬屋という名門一門の女方を代々担ってきた、歌舞伎界でも屈指の重い名跡です。
その最新の当主が、どんな経歴と実力を持つ役者なのか、この記事を通じて知っていただければと思います。
『もののけ姫』で初めて名前を知った方にも、参考にしていただける内容になっています。

目次

六代目中村時蔵 プロフィール・家系図

本名小川義晴(おがわ よしはる)
生年月日1987年11月22日
出身東京都
屋号萬屋(よろずや)
定紋桐蝶
初お目見得1991年6月、歌舞伎座『人情裏長屋』鶴之助役

六代目中村時蔵の父は、女方として知られる中村萬壽(初代)です。
曽祖父は三代目中村時蔵、祖父は四代目中村時蔵と、萬屋の女方の芸を代々受け継ぐ家に生まれました。

実弟は中村萬太郎で、兄弟そろって萬屋の芸を継ぐ役者として活躍しています。
妻は表千家茶道の家系出身の千葉素美さんで、長男・大晴くんは2024年、五代目中村梅枝を襲名しました。
つまり自身が名乗ってきた「梅枝」の名を、時蔵襲名と同時に息子へ引き継いだことになります。

萬屋は、映画スターとして知られた萬屋錦之介や、中村獅童を輩出したことでも知られる一門です。
六代目中村時蔵も、こうした萬屋一門の芸の系譜に連なる役者のひとりといえます。

所属は尾上菊五郎を頭取とする菊五郎劇団で、梅枝時代から長きにわたりこの一座の中核として舞台を務めてきました。
菊五郎劇団は古典の様式を重んじる一座として知られており、その中で若女形としての基礎を磨いてきたことが、現在の確かな実力につながっています。

30年間の「梅枝」時代から「時蔵」襲名へ

1991年6月、歌舞伎座『人情裏長屋』の鶴之助役で初お目見得を果たすと、1994年6月には歌舞伎座『幡随長兵衛』『道行旅路の嫁入』で四代目中村梅枝を襲名し、初舞台を踏みました。

以来30年にわたり「中村梅枝」の名で舞台に立ち続け、菊五郎劇団の一座で数多くの役を務めながら、若女形としての実力を着実に積み重ねてきました。
2024年6月、歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』三笠山御殿のお三輪ほかの役で、六代目中村時蔵を襲名。
30年間慣れ親しんだ「梅枝」の名から、萬屋を代表する大名跡「時蔵」を継ぐという、大きな節目の襲名となりました。

「時蔵」は、萬屋にとって女方の大名跡であり、代々の当主が歌舞伎界を代表する女方として活躍してきた名前です。
その名を継いだことは、六代目自身のこれまでの実績が高く評価された結果ともいえるでしょう。

襲名披露の演目に選ばれた『妹背山婦女庭訓』のお三輪は、恋する男性を思うあまり嫉妬に狂い、悲劇的な最期を迎える町娘の役で、女方の技芸と感情表現の両方が問われる大役として知られています。
数ある女方の演目の中でも屈指の難役とされるこの役を襲名披露に選んだことからも、六代目の実力への期待の大きさがうかがえます。

当たり役・芸風|若女形として本領を発揮

六代目中村時蔵は、女方を得意としながらも、若衆や二枚目役でも本領を発揮する役者として知られています。
『義経千本桜』の典侍の局、『紅葉狩』、『南総里見八犬伝』など、古典の重要な役どころを数多く務めてきました。

公式の歌舞伎俳優名鑑では「何を演じても本格で見物を唸らせる末頼もしい花形」と評されており、確かな古典の実力を持つ役者として高く評価されています。
1995年にはNHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』にも出演するなど、歌舞伎の舞台以外での活動歴もあります。

典侍の局は『義経千本桜』の中でも重厚な役どころで、安徳天皇の乳母として気高さと悲しみを併せ持つ人物です。
『紅葉狩』は更科姫と鬼女という正反対の二面性を一人で演じ分ける舞踊の大曲であり、女方としての力量が如実に問われる演目でもあります。
こうした重い演目を若い頃から任され続けてきたこと自体が、菊五郎劇団内での信頼の厚さを物語っています。

受賞歴

  • 国立劇場奨励賞(複数回受賞)
  • 国立劇場優秀賞(複数回受賞)
  • 第41回松尾芸能賞新人賞(2020年)

梅枝時代から数々の賞を積み重ねてきたことは、若女形としての実力が長年にわたり評価され続けてきた証といえます。
松尾芸能賞新人賞の受賞は、梅枝としてのキャリアの集大成であり、時蔵襲名への大きな後押しにもなったと考えられます。

国立劇場奨励賞・優秀賞をそれぞれ複数回受賞していることからも、単発の高評価ではなく、若手時代から継続して安定した実力を発揮し続けてきたことがわかります。
歌舞伎の世界では、名跡を継ぐ際にそれまでの舞台実績が重視される傾向がありますが、六代目中村時蔵の場合も、こうした地道な受賞歴の積み重ねが「時蔵」襲名という大きな決断を後押しした一因といえるでしょう。

スーパー歌舞伎『もののけ姫』のエボシ御前役

2026年7月から新橋演舞場で上演されているスーパー歌舞伎『もののけ姫』では、タタラ場を率いるエボシ御前を演じています。
病人や行き場を失った女性たちを救いながらタタラ場を発展させ、森を切り開こうとする、善悪では割り切れない複雑な人物像です。

実際に観劇した個人ブログのレポートでは、六代目中村時蔵のエボシ御前について「麗しくて、佇まいが凛としていて、なにより発声が好きすぎる」と絶賛する声も上がっており、女方としての実力があらためて注目される公演になっています。

エボシ御前は、弱者を救う一方で森を切り開こうとする、映画の中でも特に評価が分かれる人物です。
典侍の局や紅葉狩のような古典の重厚な女方役を数多く務めてきた六代目中村時蔵だからこそ、単純な悪役にも聖人にもならない、その複雑な人間味を舞台上で説得力を持って表現できているのだと感じます。

人柄・家族としての顔

実弟の中村萬太郎とは、萬屋の芸を共に受け継ぐ間柄として、同じ舞台に立つ機会も少なくありません。
兄弟でそれぞれ違う持ち味を発揮しながら、萬屋という一門を二人三脚で支えている点も注目したいところです。

父・中村萬壽も女方として活躍してきた役者であり、親子二代にわたって萬屋の女方の芸を守り続けている家系でもあります。
こうした家族ぐるみで芸を継承していく姿は、歌舞伎という伝統芸能ならではの世界であり、ファンにとっても大きな見どころのひとつです。
血のつながりだけでなく、日々の稽古を通じて芸そのものが受け継がれていく過程を、これからも見守っていきたいところです。

長男・大晴くんへ「梅枝」の名を引き継いだことは、単なる名跡の継承にとどまらず、三代目・四代目から続く女方の芸を次の世代へつなぐという、萬屋にとって大きな意味を持つ出来事でした。
自身が30年かけて育ててきた「梅枝」という名前を、今度は父として見守る立場になったことは、六代目自身にとっても感慨深いものがあるはずです。

歌舞伎が初めての方へ

歌舞伎自体が初めてだと「どう観ればいいの?」と迷うこともあるかもしれません。
歌舞伎には独特の約束ごとや表現がありますが、基本を少し知っておくだけで、面白さがぐっと伝わりやすくなります。
歌舞伎とは?初心者向けにわかりやすく解説

まとめ|萬屋の芸を受け継ぐ大名跡

  • 本名は小川義晴。萬屋の女方として、曽祖父・三代目、祖父・四代目に続く名跡を受け継ぐ
  • 1994年から30年間「四代目中村梅枝」として活動し、2024年6月に六代目中村時蔵を襲名
  • 『義経千本桜』典侍の局など古典の重要な女方役を数多く務める実力派
  • 2026年スーパー歌舞伎『もののけ姫』ではエボシ御前役で高い評価を受けている

30年にわたり「梅枝」として培ってきた実力を土台に、萬屋の大名跡「時蔵」を継いだ六代目中村時蔵。
『もののけ姫』のエボシ御前役でも、その確かな芸の力が発揮されています。
次代の梅枝を継いだ長男・大晴くんの成長とあわせて、これからも萬屋の歩みから目が離せません。

古典の名門女方としての実績と、スーパー歌舞伎という新作への挑戦、その両方を同時にこなしている点も、六代目中村時蔵の懐の広さを示しています。
『もののけ姫』をきっかけにこの役者を知ったという方は、ぜひ『義経千本桜』や『紅葉狩』といった古典の舞台にも注目してみてください。

よくある質問(FAQ)

中村時蔵の本名は何ですか?

本名は小川義晴(おがわ よしはる)です。
1987年11月22日生まれ、東京都出身です。

中村時蔵はいつ襲名しましたか?

2024年6月、歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』三笠山御殿のお三輪ほかの役で六代目中村時蔵を襲名しました。
それ以前は30年間、四代目中村梅枝として活動していました。

中村時蔵の家族構成は?

父は中村萬壽、実弟は中村萬太郎です。
妻は表千家茶道の家系出身の千葉素美さんで、長男・大晴くんは2024年に五代目中村梅枝を襲名しています。

中村時蔵は『もののけ姫』で何の役を演じていますか?

タタラ場を率いるエボシ御前役を演じています。
2026年7月〜8月、新橋演舞場での上演です。

中村時蔵の当たり役は何ですか?

『義経千本桜』の典侍の局、『紅葉狩』、『南総里見八犬伝』などが代表的な当たり役です。
若女形として、二枚目役でも本領を発揮する役者として評価されています。

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