松本幸四郎(十代目)プロフィール完全解説|高麗屋三代同時襲名から劇団☆新感線まで

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2018年1月、歌舞伎座で祖父・本人・息子の三代が同時に名前を改める「高麗屋三代同時襲名」が行われ、大きな話題となりました。
このとき「市川染五郎」から「松本幸四郎」を十代目として襲名したのが、高麗屋の現当主・松本幸四郎(まつもと こうしろう)です。

この記事では、十代目松本幸四郎の家系図・経歴から、高麗屋三代同時襲名の詳細、古典から劇団☆新感線まで及ぶ芸域の広さ、そして父・二代目松本白鸚との関係まで、まとめて解説します。

目次

松本幸四郎(十代目) プロフィール・家系図

本名藤間照薫(ふじま てるまさ)
生年月日1973年1月8日
屋号高麗屋(こうらいや)
初舞台1979年3月、歌舞伎座『侠客春雨傘』で三代目松本金太郎を名のり初舞台

父は、人間国宝でもある名優・二代目松本白鸚です。
母は藤間紀子で、父の所属事務所「株式会社松本幸四郎事務所」の代表を務める実業家としても知られています。
姉は女優・演出家の松本紀保、妹は女優の松たか子と、芸能一家として広く知られる高麗屋に生まれ育ちました。

1979年3月、歌舞伎座『侠客春雨傘』で三代目松本金太郎を名のり初舞台を踏み、1981年10月には歌舞伎座『仮名手本忠臣蔵』七段目の大星力弥ほかで七代目市川染五郎を襲名しました。
以来、「市川染五郎」として長らく歌舞伎界の花形役者のひとりとして活躍を続けてきました。

妻は藤間園子さんで、2003年11月に結婚しています。
高校時代からの知り合いだった一般女性と結ばれたことでも知られ、二人の間には長男(八代目市川染五郎)と長女(松田美瑠)が生まれています。

高麗屋三代同時襲名|歌舞伎座で37年ぶりの大襲名

2018年1月2日、歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』にて、祖父・父・本人(当時の視点でいえば自身・父・息子)の三代が同時に名前を改める「高麗屋三代同時襲名」が行われました。
歌舞伎座では実に37年ぶりとなる大きな襲名披露で、前回は1981年に曽祖父・初代松本白鸚が名を改めた際にさかのぼるとされています。

この日、九代目松本幸四郎(父)は二代目松本白鸚を襲名し、七代目市川染五郎(本人)は十代目松本幸四郎を襲名、そして松本金太郎(長男)は八代目市川染五郎を襲名しました。
披露狂言『勧進帳』では、三代がそろって舞台に立ち、当時12歳だった長男も同じ舞台で大役を務めるという、高麗屋にとって記念すべき一日となりました。

「高麗屋」という屋号は、初代松本幸四郎の経歴に由来します。
初代は下総国香取郡小見川(現在の千葉県香取市)の生まれで、10歳の頃に佐原の小間物屋「高麗屋」へ奉公に出たと伝えられています。
この奉公先の店名が、後の屋号の由来になりました。
ただし初代自身の屋号は「大和屋」で、「高麗屋」を名乗るようになったのは二代目以降のことです。
定紋は「三つ銀杏」、替紋は「四つ花菱」で、歌舞伎座の舞台幕や祝儀の品などでもたびたび目にする、高麗屋を象徴する意匠です。

「市川染五郎」という名は、その後長男が2018年に八代目として引き継いでいます。
親から子へと名跡が受け継がれていく歌舞伎の伝統を、まさに自らの体験として重ねてきたのが、十代目松本幸四郎という役者だといえるでしょう。

古典から劇団☆新感線まで|芸域の広さ

十代目松本幸四郎(七代目市川染五郎時代を含む)の大きな特徴は、その芸域の広さにあります。
二枚目・実悪・色悪・女方まで幅広い役柄をこなし、古典の大作から復活狂言、新作歌舞伎まで積極的に取り組んできました。

高麗屋にとって特に重要な演目のひとつが『勧進帳』です。
武蔵坊弁慶を主人公とするこの演目は、市川團十郎家の歌舞伎十八番としても知られていますが、高麗屋の役者にとっても代々大切にされてきた当たり役のひとつであり、十代目幸四郎も数多くの公演で弁慶を務めてきました。

歌舞伎の舞台にとどまらず、劇団☆新感線の舞台にも出演し、テレビドラマや映画でも幅広く活躍してきたことも大きな特徴です。
翻訳劇やテレビドラマへの出演も多く、歌舞伎役者としての様式美と、現代的な演技表現の両方を行き来できる役者として、長年にわたり高い人気を誇ってきました。

劇団☆新感線との代表的な仕事が『阿修羅城の瞳』です。
2000年版・2003年版のいずれにも主役の病葉出門役として出演し、2000年版では富田靖子、2003年版では天海祐希がヒロインを務めました。
歌舞伎の様式美と、疾走感のあるエンターテインメント性を兼ね備えたこの舞台は、映画化もされるほどの人気作となり、歌舞伎役者が現代演劇の世界でも通用することを世に示した代表作のひとつといえます。

こうした「古典と現代を自在に行き来する」姿勢は、息子である八代目市川染五郎の活動スタイルにも色濃く受け継がれています。
大河ドラマや映画、海外の戯曲まで幅広く挑戦する息子の姿には、父である十代目幸四郎自身の歩みが重なって見える部分も多いのではないでしょうか。

受賞歴

  • 1996年:第17回松尾芸能賞新人賞、第16回眞山青果賞奨励賞
  • 2001年:重要無形文化財(歌舞伎)総合認定、伝統歌舞伎保存会会員
  • 2003年:第2回朝日舞台芸術賞秋元松代賞(『アテルイ』)、文化庁芸術祭新人賞
  • 2005年12月:第30回報知映画賞主演男優賞(『阿修羅城の瞳』ほか)

1996年の松尾芸能賞新人賞や眞山青果賞奨励賞など、若手時代から数々の賞を受賞し、着実に評価を積み重ねてきました。
2001年には重要無形文化財(歌舞伎)の総合認定を受け、伝統歌舞伎保存会の会員となるなど、伝統芸能の担い手としての立場も確立しています。

2003年の朝日舞台芸術賞秋元松代賞は、アテルイ役を演じた新作歌舞伎『阿弖流為-アテルイ』での功績によるもので、古典だけでなく新作歌舞伎への貢献も高く評価されていることがわかります。
2005年には、映画版『阿修羅城の瞳』などの映像作品での演技により報知映画賞主演男優賞を受賞しており、歌舞伎の舞台と映像作品の両方で高い評価を得てきたことが、これらの受賞歴からもうかがえます。

父・二代目松本白鸚と『ラ・マンチャの男』

父・二代目松本白鸚を語るうえで欠かせないのが、ミュージカル『ラ・マンチャの男』です。
1969年の日本初演以来、実に50年以上にわたって主人公ドン・キホーテ役を演じ続けてきたことで知られ、これほど長期間にわたり同じ俳優が主演を務め続けたミュージカルは、日本はもちろん世界的にも類を見ない記録とされています。

父が六代目市川染五郎、九代目松本幸四郎、二代目松本白鸚と名を改めながら演じ継いできたこの大役は、歌舞伎役者がミュージカルという異なる舞台表現の世界でも第一線に立ち続けた稀有な例といえます。
2023年には、よこすか芸術劇場での公演を最後に、54年にわたる上演の歴史に幕を下ろしました。

歌舞伎の枠を超えて活躍する父の姿を間近で見てきたことは、十代目幸四郎自身が古典とミュージカル・現代劇の両方に積極的に取り組む姿勢にも、大きな影響を与えているのではないでしょうか。
高麗屋という一門が、歌舞伎という伝統芸能の枠にとどまらず、幅広い舞台表現に挑戦し続けてきた歴史そのものが、この家の大きな特色といえるでしょう。

父・二代目松本白鸚は、歌舞伎役者としても『勧進帳』の弁慶や数々の時代物の大役を務めた実力者であり、人間国宝にも認定されています。
ミュージカルという畑違いの舞台で50年以上第一線に立ち続けながら、同時に歌舞伎の大名跡も背負い続けてきたという事実は、高麗屋の芸の懐の深さを何よりも物語っているといえるでしょう。

まとめ|歌舞伎と現代劇を行き来する高麗屋の当主

  • 十代目松本幸四郎は、2018年1月の「高麗屋三代同時襲名」で市川染五郎から幸四郎を襲名
  • 父は人間国宝の二代目松本白鸚、姉は松本紀保、妹は松たか子
  • 妻・藤間園子さんとの間に、長男(八代目市川染五郎)と長女(松田美瑠)がいる
  • 『勧進帳』の弁慶など古典の当たり役から、劇団☆新感線まで幅広い芸域を持つ
  • 父・二代目松本白鸚は、ミュージカル『ラ・マンチャの男』を50年以上にわたり演じ続けた

高麗屋三代同時襲名という歴史的な節目を経て、大名跡「松本幸四郎」を継いだ十代目は、古典と現代劇の両方を行き来する稀有な役者として、これからも歌舞伎界を牽引していく存在です。
息子・八代目市川染五郎とともに、高麗屋の芸をどう次の世代へつないでいくのか、引き続き注目していきたいところです。

いずれ長男・八代目市川染五郎が「松本幸四郎」を、そして十代目自身が父と同じく「松本白鸚」を襲名する日が訪れることになります。
初代から数えて連綿と受け継がれてきた高麗屋の芸と名跡が、これから先どのように歴史を重ねていくのか、長い目で見守っていきたい一門です。

よくある質問(FAQ)

松本幸四郎(十代目)はいつ襲名しましたか?

2018年1月2日、歌舞伎座での「高麗屋三代同時襲名」で市川染五郎から十代目松本幸四郎を襲名しました。
同時に父が二代目松本白鸚、長男が八代目市川染五郎を襲名しています。

松本幸四郎と松たか子はどんな関係ですか?

松たか子は松本幸四郎の妹です。
姉には女優・演出家の松本紀保もおり、いずれも二代目松本白鸚の子どもです。

松本幸四郎の息子は誰ですか?

長男は八代目市川染五郎です。
2018年の高麗屋三代同時襲名で、当時の松本金太郎から八代目市川染五郎を襲名しています。

「高麗屋」という屋号の由来は何ですか?

初代松本幸四郎が佐原の小間物屋「高麗屋」に奉公していたことに由来します。
初代自身の屋号は「大和屋」で、「高麗屋」を名乗ったのは二代目以降です。
定紋は「三つ銀杏」、替紋は「四つ花菱」です。

松本幸四郎の当たり役は何ですか?

『勧進帳』の武蔵坊弁慶をはじめ、二枚目から実悪・色悪・女方まで幅広い役柄をこなします。
歌舞伎の舞台以外にも、劇団☆新感線の舞台やテレビドラマ、映画にも数多く出演しています。

松本幸四郎はどんな賞を受賞していますか?

1996年の松尾芸能賞新人賞、2003年の朝日舞台芸術賞秋元松代賞、2005年の報知映画賞主演男優賞など、舞台・映像の両方で数多くの賞を受賞しています。
2001年には重要無形文化財(歌舞伎)の総合認定も受けています。

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