2018年、祖父・父と共に「高麗屋三代同時襲名」という大きな話題を巻き起こし、以来着実に大役を務め続けているのが八代目市川染五郎(いちかわ そめごろう)です。
2026年には歌舞伎の枠を超え、初めての舞台『ハムレット』で主演を務めることも発表され、大きな注目を集めています。
若干21歳にして、歌舞伎座の大役から大河ドラマ、映画まで幅広く活躍する、まさに次世代を担う存在です。
この記事では、市川染五郎の家系図・経歴から、2018年の三代同時襲名の詳細、大河ドラマや映画での活躍、そして素顔のエピソードまで、まとめて解説します。
これから応援したいという方にも分かりやすいよう、経歴の背景や周辺のエピソードもあわせて紹介していきます。
市川染五郎 プロフィール・家系図
| 本名 | 藤間齋(ふじま いつき) |
| 生年月日 | 2005年3月27日 |
| 出身 | 東京都 |
| 屋号 | 高麗屋 |
| 襲名 | 2018年1月、歌舞伎座にて八代目市川染五郎を襲名 |
市川染五郎は、歌舞伎界屈指の名門「高麗屋」に生まれました。
父は十代目松本幸四郎、祖父は二代目松本白鸚(人間国宝)。
曽祖父にあたる初代松本白鸚、大叔父にあたる二代目中村吉右衛門など、名優を数多く輩出してきた家系です。
叔母には女優の松たか子、伯母には女優・演出家の松本紀保がいます。
2007年6月、歌舞伎座『侠客春雨傘』で初お目見得。
2009年6月、歌舞伎座『門出祝寿連獅子』の孫獅子役で正式に初舞台を踏み、同時に「四代目松本金太郎」を名乗りました。
祖母にあたる藤間紀子は、父の所属事務所「株式会社松本幸四郎事務所」の代表を務める実業家としても知られています。
歌舞伎役者としての芸だけでなく、興行や事務所運営といった裏側を支える存在が身近にいる環境で育ってきたことも、市川染五郎の特徴のひとつといえるでしょう。
妹には松田美瑠(本名・藤間薫子)がおり、名前は父が歌手・松田聖子のファンであることに由来すると伝えられています。
大叔父にあたる二代目中村吉右衛門をはじめ、親族には人間国宝や著名な俳優が名を連ねており、まさに歌舞伎界屈指の芸能一家に生まれ育ったといえるでしょう。

高麗屋三代同時襲名|祖父・父と共に迎えた特別な日
市川染五郎のその名前を一躍広く世に広めたのが、2018年1月2日、歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』で行われた「高麗屋三代同時襲名」です。
この日、祖父・父・本人の三代が同時に名前を改めるという、歌舞伎座では実に37年ぶりとなる大きな襲名披露となりました。
- 九代目松本幸四郎(祖父)→ 二代目松本白鸚
- 七代目市川染五郎(父)→ 十代目松本幸四郎
- 松本金太郎(本人)→ 八代目市川染五郎
披露狂言『勧進帳』では源義経を演じ、当時12歳ながら祖父・父と同じ舞台に立ちました。
三代同時襲名は、前回1981年に曽祖父・初代松本白鸚が名を改めた際以来の出来事とされ、歌舞伎界でも大きな話題となりました。
「高麗屋」という屋号は、江戸時代の初代松本幸四郎(一門の始祖にあたる人物で、曽祖父・初代松本白鸚とは別人です)の経歴に由来します。初代は下総国香取郡小見川(現在の千葉県香取市)の生まれで、10歳の頃に佐原の小間物屋「高麗屋」へ奉公に出たと伝えられています。
この奉公先の店名が、後の屋号の由来になりました。ただし初代自身の屋号は「大和屋」で、「高麗屋」を名乗るようになったのは二代目以降のことです。
定紋は「三つ銀杏」、替紋は「四つ花菱」で、いずれも歌舞伎座の舞台幕や祝儀の品などでも目にする機会の多い意匠です。
歌舞伎座に足を運んだ際は、こうした紋にも注目してみると、より一層観劇を楽しめるはずです。
なお、この襲名披露で名前を改めたのは白鸚・幸四郎・染五郎の三代のみであり、市川團十郎の名跡とは無関係です。
市川團十郎の襲名については、ドキュメンタリー映画『襲名』の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

初舞台から現在まで|着実に重ねてきた大役
市川染五郎は2022年6月、歌舞伎座『信康』で徳川信康役を演じ、これが歌舞伎座での初主演となりました。
以降も着実に大役を任されるようになり、2025年1月の新春浅草歌舞伎では『絵本太功記』で武智光秀/真柴久吉を演じて主演を務めています。
2025年4月には歌舞伎座『木挽町のあだ討ち』で伊能菊之助を主演し、2026年1月の新春浅草歌舞伎でも『梶原平三誉石切』で梶原平三景時を主演しています。
新春浅草歌舞伎は、若手役者が主要な役を任される登竜門的な公演として知られており、そこで主演を重ねていることは、着実に力をつけている証といえるでしょう。
ほかにも、コミカルな現代風の演出で人気の「東海道中膝栗毛」シリーズで伊月梵太郎役を務めるなど、古典から新作まで幅広い役柄をこなしています。
2020年からはセルリアンタワー能楽堂での自主的な舞踊公演も重ねており、若いうちから研鑽を積む姿勢がうかがえます。
新春浅草歌舞伎は、若手役者が座頭・主演級の大役を任される、いわば登竜門的な公演として知られています。
そこで2025年・2026年と連続して主演を務めていることは、高麗屋の次代を担う役者として、周囲からの期待の大きさを物語っています。
2025年以降も、8月の八月納涼歌舞伎、9月の秀山祭大歌舞伎(『菅原伝授手習鑑』通し狂言では武部源蔵・梅王丸の一人二役)、11月の三谷かぶき、12月の『与話情浮名横櫛』での与三郎役など、ほぼ毎月のように歌舞伎座の舞台に立ち続けています。
2026年3月には『三人吉三巴白浪』、7月には『時今也桔梗旗揚』で森蘭丸を演じるなど、古典の大作にも次々と挑戦しています。
歌舞伎の枠を超えて|大河ドラマ・映画・そして初の舞台『ハムレット』
市川染五郎は、歌舞伎の舞台以外でも活躍の場を広げています。
2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では木曽義高役を演じ、2023年の映画『レジェンド&バタフライ』では森蘭丸役で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。
時代劇専門チャンネルの『鬼平犯科帳』では長谷川銕三郎役を務め、2026年には同シリーズで主演を務めることも予定されています。
2024年公開の映画『鬼平犯科帳 血闘』でも同役を演じました。
ほかにも、NHK BSプレミアムのドラマ『妻は、くノ一』(2013年)や、Amazon Prime Videoの配信作品『人間標本』(2025年)にも出演。
アニメ映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』(2021年)では、主人公チェリーの声を担当し、声優としても実力を発揮しています。
時代劇からアニメの声優まで、役柄の幅広さは同世代の役者の中でも際立っています。
そして2026年5月〜6月、日生劇場ほかにて上演される舞台『ハムレット』では、主人公ハムレット役を演じることが発表されました。
歌舞伎以外の舞台作品では初めての出演かつ初主演となり、歌舞伎役者としての枠を超えた挑戦として注目を集めています。
2025年にはNHK Eテレ「芸能きわみ堂」で特集が組まれたほか、MBS「情熱大陸」やテレビ朝日「徹子の部屋」にも出演するなど、メディア露出も増えています。
2026年に入ってからもNHK「あさイチ」のプレミアムトークコーナーに出演するなど、歌舞伎ファン以外にも広く名前が知られるようになってきました。
受賞歴
- 2012年:国立劇場特別賞(『奴凧廓春風』)
- 2013年:国立劇場特別賞(『春興鏡獅子』)
- 2020年:国立劇場奨励賞(『雪の石橋』)
- 2023年:第40回ベストジーニスト 次世代部門
- 2024年:第47回日本アカデミー賞 新人俳優賞(映画『レジェンド&バタフライ』森蘭丸役)
日本アカデミー賞の新人俳優賞は、歌舞伎役者としての活動にとどまらず、映像俳優としての実力も広く認められた証といえます。
10代のうちから国立劇場の賞を重ねてきた実績も含め、若くして高い評価を受け続けている役者です。
ベストジーニストの次世代部門受賞も、伝統芸能の枠を超えて幅広い世代から支持されていることを示すエピソードのひとつといえるでしょう。
人柄・素顔
意外な趣味として知られるのが「仏像フィギュア」の収集で、なかでも不動明王のフィギュアが最も多いと語っています。
幼稚園から高校まで青山学院に通っていましたが、2022年5月、高校3年生への進級を前に中退し、芸事に専念する道を選びました。
公演が立て込む中で学業との両立が難しくなったことが理由とされており、10代の若さで芸の道一本に絞る決断をしたことになります。
MBS「情熱大陸」では、稽古に打ち込む日常や、大役へのプレッシャーと向き合う素顔が取り上げられ、話題となりました。
祖父・二代目松本白鸚や父・十代目松本幸四郎という重圧の中でも、着実に自分なりの芸を築こうとする姿勢が、多くの視聴者の心をつかんだといえるでしょう。
テレビ朝日「徹子の部屋」への出演も、若手歌舞伎役者としては異例の早さで実現しており、注目度の高さがうかがえます。
あるインタビューでは、自身を「21歳らしくない21歳」と表現し、息抜きの方法は「舞台と運転」だと語っています。
周囲が年上の役者ばかりという環境で育ったため、同世代との会話にはむしろ新鮮さを感じるとも話しており、早くから芸の世界にどっぷり浸かってきたことがうかがえます。
舞台『ラ・マンチャの男』の「現実を見つめて生きるか、夢を追い続けるか」というテーマのセリフに強く共感していると語るなど、10代のうちから独自の人生観を育んできた様子も見て取れます。
祖父・父という大きな存在のもとで育ちながらも、着実に自分の道を切り拓いている点が、市川染五郎という役者の魅力です。
2023年公開の映画『レジェンド&バタフライ』では、木村拓哉演じる織田信長の小姓・森蘭丸を演じ、日本アカデミー賞受賞につながりました。
歌舞伎の家に生まれながら、映像作品という異なる表現の世界でも高い評価を得たことは、本人にとっても大きな自信になったと考えられます。
その後、舞台『時今也桔梗旗揚』でも同じ森蘭丸を歌舞伎の演目として演じており、映像と舞台の両方で同じ役に取り組んでいる点も興味深いところです。
まとめ|若くして大役を任される高麗屋の期待の星
- 市川染五郎は、高麗屋(祖父・二代目松本白鸚、父・十代目松本幸四郎)に生まれた歌舞伎役者
- 2018年1月、歌舞伎座で祖父・父と共に「高麗屋三代同時襲名」を実現
- 2022年『信康』で歌舞伎座初主演、以降も新春浅草歌舞伎などで主演を重ねる
- 大河ドラマ・映画でも活躍し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞
- 屋号は「高麗屋」、定紋は「三つ銀杏」
- 2026年には歌舞伎以外で初の舞台『ハムレット』に主演予定
名門・高麗屋の次代を担う存在として、若いうちから大役を任され続けている市川染五郎。
歌舞伎の枠を超えた挑戦も始まっており、今後さらに活躍の場を広げていくことが期待されます。
2026年の舞台『ハムレット』での挑戦が成功すれば、歌舞伎役者としてだけでなく、演劇界全体を代表する存在へと成長していく可能性も十分にあるでしょう。
よくある質問(FAQ)
- 市川染五郎の父・祖父は誰ですか?
-
父は十代目松本幸四郎、祖父は二代目松本白鸚(人間国宝)です。
2018年1月、歌舞伎座にて祖父・父・本人の三代が同時に名前を改める「高麗屋三代同時襲名」を行いました。 - 「高麗屋三代同時襲名」で市川團十郎も襲名しましたか?
-
いいえ、2018年1月の襲名は白鸚・幸四郎・染五郎の三代のみで、市川團十郎の名跡とは無関係です。
市川團十郎の襲名については、別の機会・別の記事にまとめていますのでご確認ください。 - 市川染五郎はどんな大河ドラマ・映画に出演していますか?
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NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(木曽義高役)、映画『レジェンド&バタフライ』(森蘭丸役)などに出演しています。
『レジェンド&バタフライ』では第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。 - 市川染五郎はいつ初舞台を踏みましたか?
-
2009年6月、歌舞伎座『門出祝寿連獅子』の孫獅子役で初舞台を踏み、同時に「四代目松本金太郎」を名乗りました。
2018年1月に「八代目市川染五郎」を襲名しています。 - 市川染五郎の屋号は何ですか?
-
屋号は「高麗屋(こうらいや)」です。
祖父・二代目松本白鸚、父・十代目松本幸四郎と同じ、歌舞伎界屈指の名門の屋号です。 - 市川染五郎は現在何歳ですか?
-
2005年3月27日生まれのため、2026年時点で21歳です。
高校3年生への進級を前に学業を離れ、以降は芸事に専念しています。
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