坂東巳之助プロフィール完全解説|父・十代目三津五郎の急逝と若き家元継承の道のり

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若くして立役の中心として活躍しながら、日本舞踊・坂東流の家元でもある――そんな二足のわらじを背負う歌舞伎俳優が、二代目坂東巳之助です。
屋号は大和屋。
父は「踊りの三津五郎」と呼ばれた名手・十代目坂東三津五郎、祖父は九代目坂東三津五郎という、舞踊と歌舞伎の両輪を体現する家に生まれました。

しかしその歩みは、決して順風満帆だったわけではありません。
父・十代目三津五郎を若くして亡くし、二十代半ばという年齢で坂東流家元という重責を継承することになったのです。
この記事では、坂東巳之助の家系図やプロフィール、当たり役、そして父の死という試練をどう乗り越えてきたのかを、複数の情報源で確認できる事実に基づいて丁寧に解説します。

目次

プロフィール・家系図

本名守田 光寿(もりた みつひさ)
生年月日1989年9月16日
屋号大和屋
定紋三ツ大
初舞台1995年11月歌舞伎座『倭仮名在原系図』(蘭平物狂)の繁蔵、『寿靱猿』の小猿で二代目坂東巳之助を襲名

坂東巳之助は、十代目坂東三津五郎の長男として1989年に誕生しました。
父方の祖父にあたるのは九代目坂東三津五郎で、九代目の妻(十代目にとっての母)が八代目坂東三津五郎の長女にあたるため、坂東家は代々「大和屋」の芸と日本舞踊・坂東流を受け継いできた家系です。
1991年9月には歌舞伎座『傀儡師』の唐子役で初お目見得を果たし、1995年11月に二代目坂東巳之助を襲名して正式に初舞台を踏みました。
母は元宝塚歌劇団で雪組・花組の男役スターとして活躍した寿ひずると伝えられています。
巳之助は3人きょうだいの第3子で、2人の姉の後に生まれた待望の長男でした。
姉が2人おり、女優として活動する守田菜生と、舞踊家として活動する守田幸奈です。
巳之助自身は2018年に結婚し、長男の守田緒兜くんは2025年10月、錦秋十月大歌舞伎(歌舞伎座)の『通し狂言 義経千本桜』で初お目見得を果たしています。

幼少期から培われた芸の基礎

坂東巳之助は、幼い頃から歌舞伎と日本舞踊の両方に親しんで育ちました。
父・十代目三津五郎は「踊りの三津五郎」の異名を持つほどの舞踊の名手で、坂東流の家元でもあった人物です。
巳之助もまた、その芸の厳しさと美しさを間近で学びながら舞台に立ってきました。

特に若手時代を象徴するのが「新春浅草歌舞伎」での活躍です。
浅草公会堂で毎年正月に行われるこの公演は、ベテラン俳優が出演せず、若手俳優だけで大役に挑む「登竜門」として知られています。
普段は大先輩が演じるような大役に挑戦できる貴重な場であり、巳之助は同世代の尾上松也中村隼人らとともに、長年にわたり公演の中心的な存在として腕を磨きました。
2024年1月公演では、同世代の俳優たちとともにこの公演から“卒業”し、次の世代へとバトンを渡す節目を迎えています。

父・十代目坂東三津五郎の早すぎる死

坂東巳之助の歩みを語るうえで欠かせないのが、父・十代目坂東三津五郎の死です。
十代目は2013年9月に膵臓がんの手術を受け、翌2014年4月には舞台に復帰しました。
しかし同年9月の定期検診で肺への転移が判明し、同年12月に予定されていた一人舞台『芭蕉通夜舟』を降板。
療養を続けましたが、2015年2月21日、59歳で逝去しました。

十代目の逝去当時、坂東巳之助は25歳でした。
父の死からわずか2カ月後の2015年4月、巳之助は日本舞踊・坂東流の家元を継承しています。
本人は「三津五郎の名前は、今はまだ身の丈に合わない」という考えから、歌舞伎の名跡そのものは継がず「坂東巳之助」のまま芸に打ち込む道を選んだと伝えられています。
若くして一門を背負う立場になったことについて、巳之助自身が多くを語ることは多くありませんが、その後の舞台での活躍が、覚悟の大きさを物語っていると言えるでしょう。

当たり役・代表的な出演演目

坂東巳之助は古典の立役から新作歌舞伎まで、幅広い役柄をこなす俳優として知られています。
正月恒例の曾我物『対面』では、豪快な力士姿で存在感を放つ朝比奈三郎を勤めることが多く、若手ながら大きな役どころを任されてきました。
『助六由縁江戸桜』の朝顔仙平は、粋な江戸っ子が集う吉原を舞台にした演目の中で、コミカルな味わいを見せる敵役です。
また『御浜御殿綱豊卿』の富森助右衛門は、忠臣蔵の外伝的な演目における重要な役どころで、抑えた演技力が求められます。
2026年3月の歌舞伎座「三月大歌舞伎」では、通し狂言『三人吉三巴白浪』で和尚吉三を勤めています。

一方で、新作歌舞伎やスーパー歌舞伎にも積極的に取り組んでいるのが特徴です。
スーパー歌舞伎II『ワンピース』では複数の役を演じ分け、2018年には新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』で主人公・うずまきナルトを演じました。
同作は中村隼人演じるうちはサスケとの共演でも大きな話題を呼び、「歌舞伎になじみのない世代にも楽しんでほしい」という思いのもと、原作ファンからも高い評価を受けています。
古典の型を大切にしながら、新しい観客層にも歌舞伎の魅力を伝える――そうした姿勢が、坂東巳之助という俳優の幅の広さを支えています。

父の死後、一門と坂東流をどう継承してきたか

父の急逝という大きな試練を経て、坂東巳之助は日本舞踊・坂東流の家元として一門を率いる立場になりました。
歌舞伎俳優としての稽古と並行して舞踊の家元としての務めも果たすというのは、若手俳優としては極めて重い責務です。
それでも巳之助は、新春浅草歌舞伎という若手の登竜門で経験を積みながら、歌舞伎座や国立劇場といった大舞台でも着実に大役を任されるようになっていきました。

2018年には重要無形文化財(総合認定)として、伝統歌舞伎保存会の会員にも認定されています。
これは歌舞伎という伝統芸能全体を保存・継承する担い手として国から公的に位置づけられたことを意味し、若くして一門を支えてきた歩みが、公的な形でも評価された出来事といえるでしょう。

受賞歴

坂東巳之助は、若手時代からの実績を積み重ね、以下のような賞を受けています。
国立劇場奨励賞は、国立劇場が主催する公演で特に優れた成果を上げた若手俳優に贈られる賞であり、20代前半での連続受賞は、当時から高い評価を得ていたことを示しています。

  • 2011年・2012年 国立劇場奨励賞
  • 2018年 国立劇場特別賞
  • 2018年 重要無形文化財(総合認定)伝統歌舞伎保存会会員認定
  • 2022年 第43回松尾芸能賞 新人賞

特に2022年の松尾芸能賞新人賞は、若手俳優としての充実ぶりが対外的にも高く評価された結果と言えます。

人柄・素顔

坂東巳之助は、SNSに頼らず舞台そのもので勝負するタイプの俳優として知られています。
派手な話題作りよりも、日々の稽古と本番の積み重ねを大切にする姿勢は、父・十代目三津五郎譲りの職人気質を感じさせます。

プライベートでは2018年に一般女性と結婚し、家庭を持ちました。
2025年10月には長男・守田緒兜くんが歌舞伎座『通し狂言 義経千本桜』で初お目見得を果たしており、大和屋の芸が次の世代へと受け継がれていく様子を、多くのファンが温かく見守っています。
取材などでは、歌舞伎という伝統芸能を次の世代にどう伝えていくかについて語ることが多く、新作歌舞伎への挑戦も、その延長線上にある試みだと考えられます。

また、父が「踊りの三津五郎」と称された舞踊の名手だったこともあり、巳之助自身も舞踊の稽古には人一倍の時間をかけていると言われています。
歌舞伎の立役としての華やかさと、坂東流家元としての品格の両方を併せ持つ点も、この俳優ならではの魅力です。

まとめ

坂東巳之助は、大和屋の芸と坂東流の伝統を受け継ぎながら、古典から新作歌舞伎まで幅広く活躍する俳優です。
父・十代目坂東三津五郎を若くして亡くすという大きな試練を経験しながらも、日本舞踊・坂東流の家元として一門を支え、着実に歌舞伎俳優としての実績を積み重ねてきました。

  • 屋号は大和屋、本名は守田光寿
  • 父は「踊りの三津五郎」十代目坂東三津五郎、祖父は九代目坂東三津五郎
  • 2015年、25歳の若さで坂東流家元を継承
  • 『NARUTO』『ワンピース』などの新作歌舞伎でも活躍
  • 2022年に松尾芸能賞新人賞を受賞

古典の重厚な役どころと、『NARUTO』『ワンピース』のような新作歌舞伎の両方をこなせる俳優は多くありません。
その振れ幅の広さこそが、坂東巳之助という俳優の大きな武器と言えるでしょう。
今後もさらに大役を任されていくことが予想される坂東巳之助。
歌舞伎座や地方公演などで出演機会を見かけたら、ぜひその舞台に注目してみてください。

よくある質問(FAQ)

坂東巳之助の本名は何ですか?

本名は守田光寿(もりた みつひさ)です。
1989年9月16日生まれで、屋号は大和屋です。

坂東巳之助の父親は誰ですか?

父は「踊りの三津五郎」と呼ばれた十代目坂東三津五郎です。
2015年2月21日、膵臓がんのため59歳で亡くなりました。

坂東巳之助はいつ坂東流の家元を継いだのですか?

父・十代目三津五郎の逝去から間もない2015年4月、25歳で日本舞踊・坂東流の家元を継承しました。
歌舞伎の名跡「三津五郎」は継がず、坂東巳之助のまま活動を続けています。

坂東巳之助の当たり役は何ですか?

『対面』の朝比奈三郎や『助六由縁江戸桜』の朝顔仙平などの古典に加え、新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』の主人公・うずまきナルト役、スーパー歌舞伎II『ワンピース』での出演がよく知られています。

坂東巳之助の家族構成は?

父は十代目坂東三津五郎、祖父は九代目坂東三津五郎です。
母は元宝塚歌劇団の寿ひずると伝えられており、女優の守田菜生さんと舞踊家の守田幸奈さんという2人の姉がいます。
2018年に結婚し、長男は2025年10月に歌舞伎座で初お目見得を果たしました。

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